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古今集・伊勢 狩り暮らしたなばたつめに宿からむ 品詞分解と訳

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 今回は、「古今和歌集」と「伊勢物語 渚の院」収録和歌の現代語訳(口語訳・意味)・品詞分解・語句文法解説・修辞法(表現技法)・おすすめ書籍などについて紹介します。

◇「渚の院」第四首目(返歌)「一年に~」は、「こちらのリンク(一年に~)」からどうぞ。

◇「渚の院」のこの他の和歌は、「リンク(世の中に~)」「リンク(飽かなくに~)」からどうぞ。


古今集・巻9・羇旅(きりょ)歌・418 在原業平朝臣(在原業平) & 伊勢物語 第82段 「渚の院」(第三首目)

古今集 詞書

惟喬親王の供に、狩りにまかりける時に、天の川といふ所の川のほとりにおりゐて、酒など飲みけるついでに、親王の言ひけらく「狩りして天の河原にいたるといふ心をよみて、盃はさせ」と言ひければよめる

(惟喬親王のお供で狩りに参りました時に、天の川という所の川のほとりで馬から下りて座って、酒などを飲んだ折に、親王が言ったことには「狩りをして天の河原にやって来たという意味を詠んで、盃をさしなさい」と言ったので詠んだ歌)


狩り暮らしたなばたつめに宿からむ天の河原に我は来にけり


<平仮名> (歴史的仮名遣い)

かりくらし たなばたつめに やどからむ あまのかはらに われはきにけり


<現代語訳>

一日中狩りをして日暮れになったので、たなばた姫に宿を借りよう。天の河原に私は来たのだから。

(天の川という地名から天上の天の川を連想して詠んだ歌。)


<作者>

在原業平(ありわらのなりひら)
825年~880年。六歌仙、三十六歌仙の一人。平城(へいぜい)天皇の皇子である阿保(あぼ)親王の第五子、母は桓武天皇の皇女である伊都(いと)内親王。在原の姓を賜って皇族の身分を離れ臣籍に下る。在原行平の異母弟。容姿端麗、奔放でおおらかな性格であったといわれており、「伊勢物語」の主人公「昔男」のモデル。また、「源氏物語」の主人公「光源氏」のモデルとする説も一部にはある。蔵人・右馬頭などを経て蔵人頭・右近権中将・美濃権守に至る、従四位上。在五中将(在原家の五男の意味)、在中将と呼ばれた。朝臣(あそん)は、五位以上の人の姓名につける敬称。


<語句文法解説> 詞書

まかり :動詞ラ行四段活用「まかる」の連用形 参ります。

天の川 :大阪府枚方市の地名。 

ついで :名詞 機会。折。

※けらく 
「けら」(過去の助動詞「けり」の古い未然形)+「く」(準体助詞or接尾語) ~したことには。

心 :名詞 意味。気持ち。

※「まかり」は、古典文法の例外的な扱いで、「特殊な謙譲語(謙譲語Ⅱ) or 特殊な丁寧語」(荘重体敬語)。
作者が勅撰和歌集である古今集の読者(天皇)に、かしこまりの気持ちを表している。

「特殊な謙譲語(謙譲語Ⅱ) or 特殊な丁寧語」(荘重体敬語)については、 「音便」・「敬語」の基礎知識の記事を参照して下さい。
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<品詞分解・語句文法解説> 歌

狩り暮らし :動詞サ行四段活用「狩り暮らす」の連用形 狩りをして一日を過ごす。

たなばたつめ :名詞 七夕伝説の織女星(しょくじょせい)の別名。
※「つ」は、「の」の意味の上代(奈良時代以前)の格助詞  
※「め」は、おんな。女性。

に :格助詞

宿 :名詞

から :動詞ラ行四段活用「借る(かる)」の未然形

む :意志の助動詞「む」の終止形

天の河原(あまのかはら) :名詞
※「天の川原」とも書く。

に :格助詞

我(われ) :代名詞

は :係助詞

来(き) :動詞カ行変格活用「来(く)」の連用形

に :完了の助動詞「ぬ」の連用形
※「にけり(過去)」「にき(過去)」「にたり(存続)」の「に」は完了の助動詞。

けり :詠嘆の助動詞「けり」の終止形
※和歌で使われている助動詞「けり」は詠嘆。

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<古典文法の基礎知識>

「古文」を苦手科目から得意科目にする古典文法の基礎知識です。

◇「現代仮名遣い」のルールについては、「現代仮名遣い・発音(読み方)の基礎知識」の記事をどうぞ。

◇「用言の活用と見分け」については、「用言(動詞・形容詞・形容動詞)の活用と見分け方」の記事をどうぞ。

◇「助動詞・助詞の意味」や「係り結び」・「準体法」などについては、「古典文法の必須知識」 の記事をどうぞ。

◇「助動詞の活用と接続」については、「助動詞の活用と接続の覚え方」の記事をどうぞ。

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<和歌の基礎知識>

◎和歌の文法、用語、和歌集、歌風などについては、「和歌の文法・用語の基礎知識」をどうぞ。

◎和歌の修辞法(表現技法)については、「和歌の修辞法(表現技法)の基礎知識」をどうぞ。


<修辞法(表現技法)>

・掛詞 :「狩り暮らし」の「暮らし」は、「一日を暮らす」と「日が暮れる」の掛詞

・句切れ :三句切れ

・頭韻(とういん)=句の頭の音が「ア段音」(か・た・や・あ・わ)

・脚韻(きゃくいん)=句の終わりの音が第三句を除いて「イ段音」(し・に・○・に・り)


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<古文や和歌の学習書と古語辞典>

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