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徒然草(序段) つれづれなるままに 品詞分解と現代語訳

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 今回は、「徒然草(つれづれぐさ) 序段(冒頭) つれづれなるままに」の原文・現代語訳(口語訳)・品詞分解(文法的説明)・語句の意味・文法解説・係り結び・鑑賞・おすすめ書籍などについて紹介します。


「徒然草(つれづれぐさ) 序段 つれづれなるままに」(兼好法師・吉田兼好・卜部兼好)


<原文>

◇全文の「現代仮名遣い・発音・読み方(ひらがな)」は下記の別サイトからどうぞ。
《⇒現代仮名遣いサイトへ行く》

 つれづれなるままに、日ぐらし、硯(すずり)にむかひて、心にうつりゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。


<現代語訳>

 することもなく、手持ちぶさたであるのにまかせて、朝から晩まで一日中、硯にむかって、心に浮かんでは消えてゆく、たわいもないことを、とりとめもなく書きつけていくと、不思議なくらい正気を失ったような感じになっていくことだ。


<解釈特記>

『 うつりゆく 』には二通りの解釈がある。
①「移りゆく」 心に浮かんでは消えてゆく。
②「映りゆく」 心の鏡に映ってゆく
※このブログでは一般的な①とした。

『 ものぐるほしけれ 』の解釈
この解釈には、諸説ありますが、その主なものは、
①作者自身の心が②書くこと自体が③書かれた作品の内容が
※このブログでは一般的な①とした。

また、「ものぐるほし」の訳語自体も悩ましいですね。
このブログでは、汎用性を考慮して、当たり障りのない、「正気を失っているようだ」を採用しました。
私個人の見解(下段に記載)は多少違うのですが・・・(笑)

昔は「気違いじみているようだ」が一般的な訳でしたが、今では「キチガイ」が差別用語とされているので、「正気を失っているようだ」としている訳が多いようです。


<古典文法の基礎知識>

「古文」を苦手科目から得意科目にする古典文法の基礎知識です。

◆「現代仮名遣い」のルールについては、「現代仮名遣い・発音(読み方)の基礎知識」の記事をどうぞ。

◆「用言の活用と見分け」については、「用言(動詞・形容詞・形容動詞)の活用と見分け方」の記事をどうぞ。

◆「助動詞・助詞の意味」や「係り結び」・「準体法」などについては、「古典文法の必須知識」 の記事をどうぞ。

◆「助動詞の活用と接続」については、「助動詞の活用と接続の覚え方」の記事をどうぞ。

◆「音便」や「敬語(敬意の方向など)」については、 「音便・敬語の基礎知識」の記事をどうぞ。
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<品詞分解(文法的説明=文法解釈)・語句文法解説>

・つれづれなる :形容動詞・ナリ活用「つれづれなり」の連体形 :することがなく退屈な。
◇「つれれなる」だと思っている「ズレズレ」な人たちがいますよぉ。
現代仮名遣いでも「つれれなる」です。

・まま :名詞

・に :格助詞  「ままに」 ~にまかせて。 

・日ぐらし(日くらし) :副詞 :朝から晩まで。一日中。
※名詞とする説もある。その場合は名詞の副詞的用法。

・硯(すずり) :名詞

・に :格助詞

・むかひ :動詞・ハ行四段活用「むかふ」の連用形 

・て :接続助詞 (連用形接続) 
※「硯にむかひて」は、「机に向かって」と同じ意味。

・心 :名詞

・に :格助詞

・うつりゆく :動詞・カ行四段活用「うつりゆく」の連体形 :物事が次々に浮かんでは消えてゆく。 

・よしなし事 :名詞 :とりとめもないこと。つまらないこと。たわいもないこと

・を :格助詞

・そこはかとなく :形容詞・ク活用「そこはかとなし」の連用形 :とりとめもなく。はっきりとした目的もなく。
※そこはかと(副詞)+なし(形容詞)の連語とする説もある。
◇「そこはかとなく」の現代仮名遣いは「そこかとなく」ではなく、例外的に「そこかとなく」で無変化。

・書きつくれ :動詞・カ行下二段活用「書きつく」の已然形 書きつける。
※「書く」+「つく」の複合動詞。

・ば :順接確定条件(偶然的条件)の接続助詞 (已然形接続) ~すると。
※接続助詞「ば」や「順接確定条件」などについては、上にリンクを付けてある「古典文法の必須知識」を読んでね。

・あやしう :形容詞・シク活用「あやし」の連用形「あやしく」のウ音便 :不思議だ。
◇ウ音便については、上にある「音便の基礎知識」のリンクから参照してください。

・こそ :係助詞

・ものぐるほしけれ :形容詞・シク活用「物狂ほし」の已然形 正気を失っているようだ。ばかげている。
※もの :形容詞・形容動詞に付く接頭語 なんとなく。どことなく。

◇この「けれ」を過去の助動詞「けり」の已然形と勘違いしないこと。
もし、この「けれ」が過去の助動詞ならば、過去の助動詞「けり」は形容詞の補助活用の連用形に接続しますから、「ものぐるほしかりけれ」になりますね。

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<ワンポイント古典文法>

◆形容詞ク活用・シク活用の識別

形容詞の語幹(「あやし」の場合だと「あや」)に「く」or「しく」+「なる」をつけて、自然な形になる方。
「~くなる」=ク活用(例:そこはかとなし)、「~しくなる」=シク活用(例:あやし)

ちなみに、このブログの読者の検索ワードを見ていると、入門レベルで古文を苦手にしている人の多くが、形容詞の活用と音便を曖昧にしている人たちですね。


<係り結び>

「こそ」→「ものぐるほしけれ」

◇係り結びが分からない人は上段にリンクを付けてある「古典文法の必須知識」を読んでね。


<鑑賞>

 この序段は「徒然草」の書名の由来、執筆の動機(つれづれなるままに)、内容(心にうつりゆくよしなし事)、執筆の態度(そこはかとなく書きつく)などを述べたもの。

 「随筆」という文学ジャンルが、「つれづれなるままに、心にうつりゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつく」ものであるということも表していますね。

 また、序段ではあるが、「書きつくれば」としていることから、徒然草の執筆途中ないし完成後に書かれたものとも言われている。

 さらに、以下に示す枕草子の最終段(跋文:ばつぶん)の冒頭からの影響を受けているであろうことも想像される。
 「この草子、目に見え心に思ふことを、人やは見むとすると思ひて、つれづれなる里居のほどに書き集めたるを」
 (この草子は、目に見えたことや心に思うことを、人が見ようとするだろうか、いや見る筈がないと思って、退屈な里住まいの間に書き集めたものだが)

 ちなみに、徒然草の最終段は第243段「八つになりし時」です。

「徒然草(つれづれぐさ)」
作者=兼好法師(けんこうほうし)・兼好(けんこう)は法号、俗名=卜部兼好(うらべかねよし)、通称=吉田兼好(よしだけんこう)・生家が京都吉田神社の神官であることに由来。
文学ジャンル=随筆。 成立=鎌倉時代末期。
「枕草子」(平安時代中期)、「方丈記」(鎌倉時代初期)とともに日本三大随筆のひとつ。
隠者文学(いんじゃぶんがく)=俗世間を離れ、仏道修行や悠々自適の生活を送る者による文学作品の総称。代表的な作者は兼好法師・鴨長明・西行など。

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<私の一言>

 徒然草の序段「つれづれなるままに」は、中学生でも習う、一見簡単そうに見える短い作品ですが、解釈には諸説あって非常に悩ましい作品でもありますね。

 小林秀雄の「無常という事 (新潮文庫)」の中にも、「徒然草」の評論があるので参考になります。

 その中で、小林秀雄は、以下のように評しています。
 『書いたところで彼の心が紛れたわけではない。紛れるどころか、目が冴えかえって、いよいよ物が見え過ぎ、物が解り過ぎる辛さを「怪しうこそ物狂ほしけれ」と言ったのである。』


 平安末期~鎌倉時代は、戦乱や天変地異(飢饉・地震など)が相次いだこともあって、徒然草だけではなく、方丈記や平家物語など中世文学の共通主題は、「無常」(生あるものは必ず滅び、何一つとして不変・常住のものはない)であり・・・、

 ちょっと偏った個人的な見解ですが・・・、

 人の命のはかなさ、無常を受け入れ、わずらわしい阿呆な奴らとの交際を断ち、心安らかににツレヅレ坊主として生きている兼好。そんな彼が、退屈しのぎに、とりとめもなく書いているうちに・・・、

 「どうして、今の世の中、《仁和寺の坊主》みたいに、阿呆ばっかりいるんだろう。あぁ~書いておきたい事があり過ぎる。書かないと、この国が阿呆で埋め尽くされてしまう。ツレヅレ坊主なんかやっている場合じゃないやぁ。あぁぁぁ~。」
と思い始めて、「ものぐるほしく」なったのではないかと思っています(笑)

 わたしも、ブログ記事を書かなくては・・・。
 このブログで記事を書くことは、答を書いているようなものなので、自分で辞書を引いたり、考えたりしない阿呆を増やしているだけかも知れませんが・・・、
 皆さんの場合は、おそらく自分で考えた上で、このブログを閲覧してくれているのでしょうね(笑)

 ちなみに、
「無常を積極的に受け入れ、徒然なる生活を楽しみながら、のんびりと清らかな心で、とりとめもなく書いちゃったから、他人から見たら、この作品はばかばかしく見えちゃうかなぁ」
と解釈することも出来ることを付け加えておきます。

 読み手である私たちの頭の中が、「ものぐるほしく」なってきますね。
 作者のツレヅレ坊主は、読者を「ものぐるほしく」させることを狙ったのではないかとさえ思えてきます(笑)

 日本人の教養として、この「つれづれなるままに」や枕草子、方丈記、平家物語、奥の細道、土佐日記、源氏物語などの冒頭文は覚えておきましょうね。50回音読する根気さえあれば、自然に覚えられます。
 大人になっても、これらをサラッと言えるのは、ちょっとカッチョイイものです。


<このブログに収録済みの品詞分解作品>

 品詞分解:ブログ収録作品一覧


<古文の学習書と古語辞典>

 古文を学ぶための学習書や古語辞典については、おすすめ書籍を紹介した下の各記事を見てね。
 《⇒古文学習書の記事へ》 

 《⇒品詞分解付き対訳書の記事へ》 

 《⇒古語辞典の記事へ》
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