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百人一首(23) 月見ればちぢに物こそ悲しけれ 品詞分解と訳

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 今回は、「小倉百人一首」収録和歌(歌番号 23番)の現代語訳(口語訳・意味)・品詞分解・語句文法解説・修辞法(表現技法)・作者・出典・英訳・MP3音声・おすすめ書籍などについて紹介します。


小倉百人一首 歌番号(23) 大江千里
  
 
月見ればちぢに物こそ悲しけれ わが身ひとつの秋にはあらねど


<読み(発音)>

ツキミレバ チヂニモノコソ カナシケレ ワガミヒトツノ アキニワアラネド


<音声> ※音声はDownloadして自由に使って下さい。

百人一首023.mp3
(クリックすると、ちょっと音痴なカワイイ棒読みちゃんが歌を読んでくれます。)


<現代語訳>

月を見ていると、あれこれと限りなく物悲しくなる。私一人だけの秋ではないのだけれど。

(この歌は、白居易の漢詩を翻案したものと言われていて、「ちぢ」と「ひとつ」を対照させた漢詩的技巧が評価されているようですね。)

※翻案(ほんあん)=原作の内容を基にして改作すること。
※白居易の漢詩については、下段を参照のこと。


<英訳>

As I view the moon,
Many things come into my mind,
And my thoughts are sad;
Yet it's not for me alone,
That the autumn time has come
  
『University of Virginia Library Japanese Text Initiative, Ogura Hyakunin Isshu 100 Poems by 100 Poets 』 より英訳を引用


<出典>

古今集・巻4・秋歌上・193 「是貞親王家歌合によめる・大江千里」

是貞親王家歌合(これさだのみこのいへのうたあはせ)
寛平5年(893年)光孝天皇第二皇子の是貞親王家で催された歌合で、秋の歌のみ約90首が残っていて、古今集には22首が入っている。
歌合=左右二組に分かれて、決められた題のもと一首ずつ和歌の優劣を競う遊戯


<作者>

大江千里(おおえのちさと)
生没年未詳。平安前期の漢学者、歌人。音人の子。在原行平・業平の甥。菅原家と並んで江家といわれる学問の家柄で、宇多天皇の勅命で「白氏文集」の詩句を題として和歌を詠んだ「句題和歌」がある。
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<品詞分解・語句文法解説>

月 :名詞

見れ :動詞マ行上一段活用「見る」の已然形

ば :順接確定条件の接続助詞 ~すると。

ちぢに(千々に) :形容動詞ナリ活用「千々なり」の連用形 さまざまに。

物 :接頭語 なんとなく。どことなく。

こそ :係助詞

悲しけれ :形容詞シク活用「悲し」の已然形
※「物こそ悲しけれ」は、形容詞シク活用「物悲し(ものがなし)」の間に係助詞「こそ」が入った形。

わ :代名詞

が :格助詞

身 :名詞
「わが身」は、「月」との対照。

ひとつ :名詞 ここでは一人の意味で、「千々(ちぢ)」と対照させて「一人(ひとり)」ではなく、「ひとつ」としている。

の :格助詞

秋 :名詞

に :断定の助動詞「なり」の連用形

は :係助詞

あら :補助動詞ラ行変格活用「あり」の未然形

ね :打消の助動詞「ず」の已然形

ど :逆接確定条件の接続助詞 ~けれども。

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<文法特記>

『 ちぢ(千々) 』
「ち」は、千。「ぢ」は、ものを数える時に数詞に添える助数詞。
四十(よそぢ)の「ぢ」と同じ。

『 にはあら 』 (断定の助動詞「に」+(助詞)+ラ変「あり」)
断定の助動詞「なり」の語源は「に・あり」、この歌の場合は間に係助詞「は」が挟まった形で、「に」の識別頻出形。


<古典文法の基礎知識>

「古文」を苦手科目から得意科目にする古典文法の基礎知識です。

◇「現代仮名遣い」のルールについては、「現代仮名遣い・発音(読み方)の基礎知識」の記事をどうぞ。

◇「用言の活用と見分け」については、「用言(動詞・形容詞・形容動詞)の活用と見分け方」の記事をどうぞ。

◇「助動詞・助詞の意味」や「係り結び」・「準体法」などについては、「古典文法の必須知識」 の記事をどうぞ。

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<和歌の基礎知識>

◎和歌の文法、用語、和歌集、歌風などについては、「和歌の文法・用語の基礎知識」をどうぞ。

◎和歌の修辞法(表現技法)については、「和歌の修辞法(表現技法)の基礎知識」をどうぞ。


<修辞法(表現技法)・係り結び>

・句切れ :三句切れ

・倒置 :上の句と下の句

・係り結び :「こそ」→「悲しけれ」


<翻案>

大江千里の歌は、白居易(白楽天)による白氏文集の「燕子楼」と題する詩の翻案と言われている。
※翻案(ほんあん)=原作の内容を基にして改作すること。

「燕子楼中霜月の夜 秋来只一人の為に長し」
(霜の降る寒い月夜に、燕子楼に一人で過ごしていると、秋になって、つくづく夜が長く感じられることだ)

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<関連 :ヨルタモリ>

日本古典文学講座 第5回 百人一首 (2014/12/21)
国文学者 李澤京平(すももざわきょうへい)教授

二十三 大江千里(おおえせんり)


月見蕎麦千々にものこそ悲しけれ 白身ひとつはむだにはあらねど


<読み>

つきみそば ちぢにものこそ かなしけれ しろみひとつは むだにはあらねど


<歌意・解説>

長年連れ添った夫に先立たれた妻が詠んだ(原歌の作者は男)、月見=秋の歌。月見蕎麦は卵の黄身だけが入っていて白身は除いてあることから、月見蕎麦を見ると元々は存在した白身が捨てられてどこかへ行ってしまったことを思い出し非常に物悲しくなると共に栄枯盛衰の公家社会の悲哀をも表現したもの。「むだにはあらねど」は、「白身一つだって無駄ではないのに」と表向きは詠みながらも、実際には無駄であることを強調した日本人独特の遠回しに表現する手法。

なんか、李澤教授の解説がヘンテコリンな感じで、前回あたりから非常に歌意・解説が書きにくいです。
李澤教授には準備不足を感じますねぇ・・・。
かなりボケてきているようです・・・(笑)


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