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古今集・伊勢 人知れぬわが通ひ路の関守は 品詞分解と訳

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 今回は、「古今和歌集」と「伊勢物語 通ひ路の関守」収録和歌の現代語訳(口語訳・意味)・品詞分解・語句文法解説・修辞法(表現技法)・おすすめ書籍などについて紹介します。


古今集・巻13・恋歌3・632 業平朝臣(在原業平) & 伊勢物語 5段 「通ひ路の関守」

古今集 詞書

東の五条わたりに、人を知りおきてまかり通ひけり。忍びなる所なりければ、門よりもえ入らで、垣の崩れより通ひけるを、たびかさなりければ、主聞きつけてかの道に夜毎に人を伏せて守らすれば、行きけれども逢はでのみ帰りて、よみてやりける


人知れぬわが通ひ路の関守はよひよひごとにうちも寝ななむ


<平仮名> (歴史的仮名遣い)

ひとしれぬ わがかよひぢの せきもりは よひよひごとに うちもねななむ


<現代語訳>

人に知られないように、私がひそかに通う道の見張り番は、夜になるといつも眠っていてほしいものだ。(そうすれば女に逢うことができるのだが。)

(内密の仲であった女のところへ通う道の途中に見張りを置かれ逢えずに帰ってきて詠んだ歌。)


<作者>

在原業平(ありわらのなりひら)
825年~880年。六歌仙、三十六歌仙の一人。平城(へいぜい)天皇の皇子である阿保(あぼ)親王の第五子、母は桓武天皇の皇女である伊都(いと)内親王。在原の姓を賜って皇族の身分を離れ臣籍に下る。在原行平の異母弟。容姿端麗、奔放でおおらかな性格であったといわれており、「伊勢物語」の主人公「昔男」のモデル。また、「源氏物語」の主人公「光源氏」のモデルとする説も一部にはある。蔵人・右馬頭などを経て蔵人頭・右近権中将・美濃権守に至る、従四位上。在五中将(在原家の五男の意味)、在中将と呼ばれた。朝臣(あそん)は、五位以上の人の姓名につける敬称。

《参考》 二条の后(にじょうのきさき)
842年~910年。藤原長良(ふじわらのながら)の娘で高子(たかいこ)。清和天皇の即位に伴う大嘗祭(859年)において、五節の舞姫を務め、清和天皇が東宮であった時に女御(866年)となり、貞明親王(後の陽成天皇)を生んで(869年)、中宮(877年)を経て皇太后(882年)となった。
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<品詞分解・語句文法解説>

人 :名詞

知れ :動詞ラ行下二段活用「知る」の未然形 知られる。
※四段活用の「知る」(理解する。交際する)ではない。

ぬ :打消の助動詞「ず」の連体形

わ :代名詞

が :格助詞

通ひ路(かよひぢ) :名詞 女の所に通う道。

の :格助詞

関守(せきもり) :名詞 関所の番人。 ※この歌では、見張りの番人の意味

は :格助詞

よひよひ :名詞 毎夜。

ごと :接尾語 ~のたびに。いつも。

に :格助詞

うち :接頭語 ①語調を整える役割②ほんのちょっと。 (無理に訳出しなくてもOK)
※ナ行下二段「打ち寝(うちぬ)」(寝る)の間に係助詞「も」が入った形。

も :強調の係助詞

寝(ね) :動詞ナ行下二段活用「寝(ぬ)」の連用形

「ななむ」 ~てしまってほしい。
「な」(完了の助動詞「ぬ」の未然形)+「なむ」(誂えの終助詞) 
※誂え(あつらえ)=他者への願望

この他に、「ななむ」が使われている歌としては、「おしなべて峰もたひらに~」

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<修辞法(表現技法)>

※句切れを含め、修辞は特にありません。


<関連>

古今集の詞書と伊勢物語の内容はほとんど同じで、古今集の成立は平安前期、伊勢物語の成立は平安中期ですが、伊勢物語の原形は古今集以前であったと、いわれているようです。


<私の一言>

業平が二条の后にしていた夜這いとは少し意味合いが違いますが、
明治・大正時代まであった、日本の農漁村における夜這いの風習では、複数の男が夜這いをしている女性が妊娠した場合、その女性に、夜這いした男の中から父親を指名する権利があったそうで、指名された男はその女と結婚する義務があったと、何かで読んだ記憶があります。
たとえ自分の子供ではないと、分かっていても・・・。


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