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万葉集 春の苑紅にほふ桃の花 品詞分解と訳

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 今回は、「万葉集」収録和歌の現代語訳(口語訳・意味)・品詞分解・語句文法解説・修辞法(表現技法)・おすすめ書籍などについて紹介します。


万葉集 巻19・4139 大伴家持(おおとものやかもち)

天平勝宝二年三月一日の暮(ゆふべ)に、春の苑(その)の桃李(ももすもも)の花を眺矚め(ながめ)て作る二首
(天平勝宝二年三月一日の夕方に、春の園の桃・李の花を眺めて作る二首)

※この歌は一首目、二首目の「わが園の~」については、「こちらのリンク(わが園の~)」から参照してください。


春の苑紅にほふ桃の花下照る道に出で立つ少女

※初句「春の苑」=「春の園」


<平仮名> (歴史的仮名遣い)

はるのその くれなゐにほふ もものはな したでるみちに いでたつをとめ

◇この歌の「現代仮名遣い・発音・読み方」(ひらがな)は下記の別サイトからどうぞ。
《⇒現代仮名遣いサイトへ行く》


<万葉仮名>

春苑 紅尓保布 桃花 下照道尓 出立嫺嬬


<現代語訳>

春の園が紅色に美しく輝く(ように咲いている)桃の花の色が、木の下までも照り映えている道に出て立っている乙女よ。

(天平勝宝2年(750年)陰暦3月1日、家持が越中(今の富山県)の国守として赴任していた頃の作。「桃の花」と「少女」という中国の漢詩的な取り合わせにより、その色彩豊かな美しさを詠んだ絵画的な歌。
また、雪国に訪れた遅い春に対する喜びも感じられる。春の美しい風景が流れていく中で、体言を多用して、焦点となる美しいものが次第に切り替わって行くような印象の歌ですね。
「あぁ~何もかも美しい」って感じですかね。決してブサイクな乙女が、鼻水を垂らしながらボーっと口を開けて阿呆っぽく立っているわけではありませんね・・・笑)


<作者>

大伴家持(おおとものやかもち)
718頃~785。奈良時代の歌人。万葉集第四期歌人。大伴旅人の子。中納言従三位。三十六歌仙の一人。
越中守などを経て中納言となったが、晩年は藤原氏の隆盛により政治的には不遇であった。繊細で優雅な歌風。万葉集の最終的編者といわれている。
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<品詞分解・語句文法解説>

春 :名詞

の :格助詞

苑・園(その) :名詞 庭園。

紅(くれなゐ) :名詞 ベニバナの汁で染めた鮮やかな赤色。
※たま~に、「べににほふ」だと思っている人がいます。これだと「五・七・五・七・七」ではなく、「五・五・五・七・七」になってしまいますね(笑)

にほふ :動詞ハ行四段活用「匂ふ(にほふ)」の連体形 美しく照り映える。美しく輝く。
※二句切れとした場合は、「終止形」。

桃 :名詞

の :格助詞

花 :名詞

下照る(したでる・したてる) :動詞ラ行四段活用「下照る」の連体形 木の下が花の色などで美しく照り映える。

道 :名詞

に :格助詞

出で立つ(いでたつ) :動詞タ行四段活用「出で立つ」の連体形 出てそこに立つ。出てたたずむ。

少女(をとめ) :名詞 若い女性。未婚の女性。

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<古典文法の基礎知識>

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◇「現代仮名遣い」のルールについては、「現代仮名遣い・発音(読み方)の基礎知識」の記事をどうぞ。

◇「用言の活用と見分け」については、「用言(動詞・形容詞・形容動詞)の活用と見分け方」の記事をどうぞ。

◇「助動詞・助詞の意味」や「係り結び」・「準体法」などについては、「古典文法の必須知識」 の記事をどうぞ。

◇「助動詞の活用と接続」については、「助動詞の活用と接続の覚え方」の記事をどうぞ。

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<和歌の基礎知識>

◎和歌の文法、用語、和歌集、歌風などについては、「和歌の文法・用語の基礎知識」をどうぞ。

◎和歌の修辞法(表現技法)については、「和歌の修辞法(表現技法)の基礎知識」をどうぞ。


<修辞法(表現技法)>

句切れ :このブログの現代語訳は「句切れなし」としているが、この歌には「二句切れ」や「三句切れ」とする解釈もある。
・「二句切れ」とした場合の現代語訳 ※二句切れの場合、「にほふ」は終止形。
「春の園が紅色に美しく輝いている。桃の花の色が明るく照り映える道に出て立っている乙女よ。」
・「三句切れ」として場合の現代語訳
「春の園が紅色に美しく輝く(ように咲く)桃の花よ。(その桃の花の色が)木の下までも照り映えている道に出て立っている乙女よ。」

体言止め :少女

※句切れに諸説あることを書きましたが、古典文法や古文解釈には、このように意見が分かれるものもあるということです。
あなたに指導者がいるのなら、その解釈に従ってくださいね。


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