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古今集・伊勢 唐衣きつつなれにしつましあれば 品詞分解と訳

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 今回は、「古今和歌集」と「伊勢物語 東下り」収録和歌の現代語訳(口語訳・意味)・品詞分解・語句文法解説・修辞法(表現技法)・おすすめ書籍などについて紹介します。

◇「東下り」のこの他の和歌は、「リンク(駿河なる~)」「リンク(名にし負はば~)」からどうぞ。

◇東下り(全文)の品詞分解・訳・解説は、「リンク・東下り(全文)」からどうぞ。


古今集・巻9・羇旅(きりょ)歌・410 在原業平朝臣(在原業平) & 伊勢物語 第9段 「東下り」(第一首目)


古今集 詞書

東の方へ、友とする人ひとりふたりいざなひていきけり。三河国八橋といふ所にいたれりけるに、その川のほとりに、燕子花いとおもしろく咲けりけるを見て、木のかげにおりゐて、「かきつはた」といふ五文字を句のかしらにすゑて、旅の心をよまむとてよめる

(東国の方へ、同行する人ひとりふたりに呼びかけ連れだって行った。三河の国八橋という所に行き着いたところ、そこの川のほとりに、かきつばたがたいそう美しく咲いていたのを見て、木の陰に馬から下りて座って、「かきつはた」という五文字を各句の初めにおいて、旅の情趣を詠もうといって詠んだ歌。)


唐衣きつつなれにしつましあればはるばる来ぬる旅をしぞ思ふ


<平仮名>

らころも つつなれにし ましあれば るばるきぬる びをしぞおもふ


<現代語訳>

着つづけて体になじんだ唐衣のように、なれ親しんだ妻が都にいるので、都を遠く離れてはるばる来てしまった旅をしみじみと思うことだ。


<作者>

在原業平(ありわらのなりひら)
825年~880年。六歌仙、三十六歌仙の一人。平城(へいぜい)天皇の皇子である阿保(あぼ)親王の第五子、母は桓武天皇の皇女である伊都(いと)内親王。在原の姓を賜って皇族の身分を離れ臣籍に下る。在原行平の異母弟。容姿端麗、奔放でおおらかな性格であったといわれており、「伊勢物語」の主人公「昔男」のモデル。また、「源氏物語」の主人公「光源氏」のモデルとする説も一部にはある。蔵人・右馬頭などを経て蔵人頭・右近権中将・美濃権守に至る、従四位上。在五中将(在原家の五男の意味)、在中将と呼ばれた。朝臣(あそん)は、五位以上の人の姓名につける敬称。


<語句文法解説> 詞書

燕子花 :名詞 かきつばた。

おもしろく :形容詞ク活用「おもしろし」の連用形 美しい。

おりゐ :動詞ワ行上一段活用「下り居る(おりゐる)」の連用形 下りて座る。
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<品詞分解・語句文法解説> 歌

唐衣 :枕詞 (からころも or からごろも、古くは清音)

き :動詞カ行上一段活用「着る」の連用形

つつ :接続助詞 ~し続けて。

なれ :動詞ラ行下二段活用「慣る・馴る・萎る」(なる)の連用形
                       
に :完了の助動詞「ぬ」の連用形

し :過去の助動詞「き」の連体形

つま :名詞

し :強意の副助詞 (※無理に訳出しなくてもOK。)

あれ :動詞ラ行変格活用「あり」の已然形

ば :順接確定条件(原因理由)の接続助詞 
◇強意の副助詞「し」~接続助詞「ば」=「AしBば構文」(「し」が強意の副助詞であることを識別できる形)

はるばる :副詞

来(き) :動詞カ行変格活用「来(く)」の連用形

ぬる :完了の助動詞「ぬ」の連体形

旅 :名詞

を :格助詞

し :強意の副助詞 (※無理に訳出しなくてもOK。)

ぞ :係助詞
◇「しぞ」 :強意の副助詞「し」+係助詞「ぞ」=「し」が強意の副助詞である形。

思ふ :動詞ハ行四段活用「思ふ」の連体形

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<文法特記>

※この他に「AしBば構文」の歌としては、「名にし負はばいざ言問はむ~」「年ふればよはひは老いぬ~」などなど。

※この構文の接続助詞「ば」の意味は、文脈に応じて4つの意味の中から選択する。

※接続助詞「ば」については、下にリンクを付けてある「古典文法の必須知識」を読んでね。


<古典文法の基礎知識>

「古文」を苦手科目から得意科目にする古典文法の基礎知識です。

◇「現代仮名遣い」のルールについては、「現代仮名遣い・発音(読み方)の基礎知識」の記事をどうぞ。

◇「用言の活用と見分け」については、「用言(動詞・形容詞・形容動詞)の活用と見分け方」の記事をどうぞ。

◇「助動詞・助詞の意味」や「係り結び」・「準体法」などについては、「古典文法の必須知識」 の記事をどうぞ。

◇「助動詞の活用と接続」については、「助動詞の活用と接続の覚え方」の記事をどうぞ。

◇「音便」や「敬語(敬意の方向など)」については、 「音便・敬語の基礎知識」の記事をどうぞ。


<和歌の基礎知識>

◎和歌の文法、用語、和歌集、歌風などについては、「和歌の文法・用語の基礎知識」をどうぞ。

◎和歌の修辞法(表現技法)については、「和歌の修辞法(表現技法)の基礎知識」をどうぞ。

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<修辞法(表現技法)・係り結び>

◇折句
各句の頭の音が「か・き・つ・は・た」
※清音・濁音(は・ば)は、こだわらない。

◇枕詞
「唐衣」が、「き(着)」に係る枕詞

◇序詞
「唐衣きつつ」が、「なれ」を導く掛詞による序詞

◇掛詞
「なれ」が、「着なれる」と「なれ親しむ」の意味の掛詞

「つま」が、「妻」と「褄(つま=着物のすそ)」の掛詞

「はるばる」が、「遥々(はるばる=はるか遠く)」と「張る張る(=着物を張る)」の意味の掛詞

「きぬる」の「き」が、「来」と「着」の掛詞

◇縁語
「なれ」・「つま」・「はる」・「き」が、「衣」の縁語

◇係り結び :「ぞ」→「思ふ」

※「修辞法」が分からない人は、上にリンクをつけてある「修辞法の基礎知識」を、「係り結び」が分からない人は、「文法・用語の基礎知識」を読んでね。


<私の一言>

伊勢物語の第9段「東下り」にもある有名な歌ですが、修辞のオンパレード、てんこ盛りですね。

ちょっと盛り過ぎのような気もしますが・・・(笑)

「かきつばた」は、「燕子花」とも「杜若」とも書きます。

ちなみに、詞書にある「おりゐ」の「おり」は、「降りる」ではなく「下りる」です。
下馬するのですから。


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<古文や和歌の学習書と古語辞典>

古文や和歌を学ぶための学習書や古語辞典については、おすすめ書籍を紹介した下の各記事を見てね。
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