HOME > 古今和歌集 > 古今集 ひさかたの月の桂も秋はなほ 品詞分解と訳

古今集 ひさかたの月の桂も秋はなほ 品詞分解と訳

Sponsored Links
 今回は、「古今和歌集」収録和歌の現代語訳(口語訳・意味)・品詞分解・語句文法解説・修辞法(表現技法)・おすすめ書籍などについて紹介します。


古今集・巻4・秋歌上・194 壬生忠岑(みぶのただみね)

是貞親王家歌合によめる
(是貞親王の家の歌合に詠んだ歌)


ひさかたの月の桂も秋はなほ紅葉すればや照りまさるらむ


<平仮名> (歴史的仮名遣い)

ひさかたの つきのかつらも あきはなほ もみぢすればや てりまさるらむ


<現代語訳>

月に生えるという桂の木も秋はやはり紅葉するので、秋の月は一段と明るく照り輝いているのであろうか。

(秋の月が他の季節よりも美しいことを、月の中に桂の木が生えているという古代中国の伝説を典拠として、その木が紅葉するために美しいのだと詠んだんですね。なかなか小洒落てますねぇ。)

※典拠(てんきょ)=もとになった確かなより所。


<作者>

壬生忠岑(みぶのただみね)
生没年未詳。平安前期の歌人。三十六歌仙の一人。古今集撰者の一人。御書所に仕え、卑位卑官に終わったが、師の紀貫之らと古今和歌集を撰集した。家集は「忠岑集」。子の忠見も歌人として有名。


<語句文法解説> 詞書

是貞親王家歌合(これさだのみこのいへのうたあはせ)
寛平5年(893年)光孝天皇第二皇子の是貞親王家で催された歌合で、秋の歌のみ約90首が残っていて、古今集には22首が入っている。

歌合=左右二組に分かれて、決められた題のもと一首ずつ和歌の優劣を競う遊戯

よめ :動詞マ行四段活用「詠む」の已然形

る :完了の助動詞「り」の連体形
※準体法なので、この場合は「歌」を補って解釈する。

※準体法、「る」の識別については、下にリンクを付けてある「古典文法の必須知識」を読んでね。
Sponsored Links
<品詞分解・語句文法解説> 歌

ひさかたの(久方の) :枕詞

月 :名詞

の :格助詞

桂(かつら) :名詞
※「月の桂」=中国の伝説では、月に生えているという高さ5百丈(約1500m)の桂の大木。

も :係助詞

秋 :名詞

は :係助詞

なほ :副詞 やはり。

紅葉(もみぢ) :名詞 紅葉すること。
※「もみぢ」【ダ行上二段活用「もみづ」の連用形】(紅葉する。)とする説もある。

すれ :動詞サ行変格活用「す」の已然形
※「紅葉すれ」を一語のサ変複合動詞する場合もある。

ば :順接確定条件(原因理由)の接続助詞 ~ので。

や :疑問の係助詞

照りまさる :動詞ラ行四段活用「照りまさる」の終止形 一段と明るく照り輝く。
※「照る」+「まさる」の複合動詞

らむ :現在の原因推量の助動詞「らむ」の連体形 (だから)~ているのだろう。

※助動詞「らむ」や接続助詞「ば」などについては、下にリンクを付けてある「古典文法の必須知識」を読んでね。

Sponsored Links


<古典文法の基礎知識>

「古文」を苦手科目から得意科目にする古典文法の基礎知識です。

◇「現代仮名遣い」のルールについては、「現代仮名遣い・発音(読み方)の基礎知識」の記事をどうぞ。

◇「用言の活用と見分け」については、「用言(動詞・形容詞・形容動詞)の活用と見分け方」の記事をどうぞ。

◇「助動詞・助詞の意味」や「係り結び」・「準体法」などについては、「古典文法の必須知識」 の記事をどうぞ。

◇「助動詞の活用と接続」については、「助動詞の活用と接続の覚え方」の記事をどうぞ。

◇「音便」や「敬語(敬意の方向など)」については、 「音便・敬語の基礎知識」の記事をどうぞ。


<和歌の基礎知識>

◎和歌の文法、用語、和歌集、歌風などについては、「和歌の文法・用語の基礎知識」をどうぞ。

◎和歌の修辞法(表現技法)については、「和歌の修辞法(表現技法)の基礎知識」をどうぞ。


<修辞法(表現技法)・係り結び>

枕詞 :「ひさかたの」は、「月」に係る枕詞

係り結び :「や」→「らむ」


<関連>

壬生忠岑の歌と同じく「月の桂」の伝説を踏まえた先例歌

万葉集・巻10・2202 作者未詳


黄葉する時になるらし月人の楓の枝の色づく見れば


(紅葉する秋になったらしい。月の中の桂の枝が色づいたのを見ると。)

黄葉(もみち)=紅葉 ※上代(奈良時代以前)は清音
月人(つきひと)=月を擬人化したもの
楓(かつら)=桂


<和歌索引>

◆ブログ内の和歌を探す時は、カテゴリーではなく下に示す各一覧を利用してね。

和歌:ブログ収録・歌別一覧
和歌:ブログ収録・作者別一覧
万葉集:ブログ収録和歌一覧
古今集:ブログ収録和歌一覧
新古今集:ブログ収録和歌一覧
小倉百人一首:歌番号順一覧
伊勢物語:ブログ収録和歌一覧
ヨルタモリ:日本古典文学講座:百人一首一覧


<古文や和歌の学習書と古語辞典>

古文や和歌を学ぶための学習書や古語辞典については、おすすめ書籍を紹介した下の各記事を見てね。
《古文・和歌の学習書の記事へ⇒》

《品詞分解付き対訳書の記事へ⇒》

《古語辞典の記事へ⇒》
Sponsored Links
◇関連記事 (前後の7記事を表示)
 その他の記事は、右サイドメニューの「カテゴリ」(和歌などは索引)からどうぞ。
 

Comment (コメント)

 (任意) 未入力時 = よみ人しらず
 (任意) 入力時もコメント欄には非表示
 (必須) 管理人承認後に表示
Private

Categories (カテゴリ)
Search This Blog (ブログ内検索)
Featured Posts (特集・古典の基礎知識)
◆ 古典を得意科目にする記事
My Recommended Books (おすすめ書籍)
◆ 辞書と学習書の記事
Popular Posts (人気記事)
All Posts (すべての記事)
This and That (あれこれ)
  • ブログ記事に誤字や記述間違い等がある場合は、コメント欄から教えてください。
  • このブログのリンクはご自由にどうぞ。
    その際に連絡の必要はありません。
  • 古典作品の解説や和歌の鑑賞文などを目的とした中学生の読者さんもいるようですね。

    このブログの古典文法などは、詳しい文法的説明を求める高校生以上の読者を想定して書いています。一般の中学生には必要のない知識なので、わからなくても気にしないでね。
About This Blog (このブログについて)

んば

Author:んば
Since May 9,2014


くらすらん
暮らす欄くらすらむClass Run

この絵は私のお気に入りで
アンリ・ルソー『眠るジプシーの女』