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古今集 冬ながら空より花の散りくるは 品詞分解と訳

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 今回は、「古今和歌集」収録和歌の現代語訳(口語訳・意味)・品詞分解・語句文法解説・修辞法(表現技法)・おすすめ書籍などについて紹介します。


古今集・巻6・冬歌・330 清原深養父(きよはらのふかやぶ)

雪の降りけるを見てよめる
(雪が降ったのを見て詠んだ歌)


冬ながら空より花の散りくるは雲のあなたは春にやあるらむ


<平仮名>

ふゆながら そらよりはなの ちりくるは くものあなたは はるにやあるらむ


<現代語訳>

まだ冬でありながら空から花が散ってくるのは、雲の向こうはもう春なのであろうか。


(清原深養父は、清少納言の曾祖父です。地上の冬と雲上の春を対比させることで、春の訪れを待ち望んで詠んだ歌。清少納言の「ひいおじいちゃん」も、なかなか洒落てますね。)


<作者>

清原深養父(きよはらのふかやぶ)
生没年未詳。平安中期の歌人。房則の子。元輔の祖父。清少納言の曾祖父。従五位下。家集は「深養父集」。


<語句文法解説> 詞書

是貞親王家歌合(これさだのみこのいへのうたあはせ)
寛平5年(893年)光孝天皇第二皇子の是貞親王家で催された歌合で、秋の歌のみ約90首が残っていて、古今集には22首が入っている。

歌合=左右二組に分かれて、決められた題のもと一首ずつ和歌の優劣を競う遊戯

よめ :動詞マ行四段活用「詠む」の已然形

る :完了の助動詞「り」の連体形
※準体法なので、この場合は「歌」を補って解釈する。

※準体法、「る」の識別については、下にリンクを付けてある「古典文法の必須知識」を読んでね。
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<品詞分解・語句文法解説>

冬 :名詞

ながら :逆接確定条件の接続助詞 ~けれども。~のに。
※接尾語とする説もある。

空 :名詞

より :格助詞

花 :名詞

の :格助詞

散りくる :動詞カ行変格活用「散り来(ちりく)」の連体形 
※散る+来(く)の複合動詞

は :係助詞

雲 :名詞

の :格助詞

あなた :代名詞 向こう側。

は :係助詞

春 :名詞

に :断定の助動詞「なり」の連用形 ~だ。~である。 
※格助詞(~に。)ではありません。

や :疑問の係助詞
※「にや」 :~であろうか。
「にや」は、「にあり(~である。)」の間に「や」が入った形。あとに「あらむ」「あるらむ」「ありけむ」などを伴う。

ある :補助動詞:ラ行変格活用「あり」の連体形

らむ :現在推量の助動詞「らむ」の連体形 (今頃)~ているだろう。

※助動詞「らむ」などについては、下にリンクを付けてある「古典文法の必須知識」を読んでね。

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<文法特記>

「にや」が、「に」(格助詞)+「や」(疑問の係助詞)の和歌・・・「風吹けば沖つ白波~」


<古典文法の基礎知識>

「古文」を苦手科目から得意科目にする古典文法の基礎知識です。

◇「現代仮名遣い」のルールについては、「現代仮名遣い・発音(読み方)の基礎知識」の記事をどうぞ。

◇「用言の活用と見分け」については、「用言(動詞・形容詞・形容動詞)の活用と見分け方」の記事をどうぞ。

◇「助動詞・助詞の意味」や「係り結び」・「準体法」などについては、「古典文法の必須知識」 の記事をどうぞ。

◇「助動詞の活用と接続」については、「助動詞の活用と接続の覚え方」の記事をどうぞ。

◇「音便」や「敬語(敬意の方向など)」については、 「音便・敬語の基礎知識」の記事をどうぞ。


<和歌の基礎知識>

◎和歌の文法、用語、和歌集、歌風などについては、「和歌の文法・用語の基礎知識」をどうぞ。

◎和歌の修辞法(表現技法)については、「和歌の修辞法(表現技法)の基礎知識」をどうぞ。


<修辞法(表現技法)・係り結び>

句切れ :一般的ではないが、「散りくるは」の「は」を詠嘆の終助詞とみて、三句切れとする説もある。
その場合の訳は、「まだ冬でありながら空から花が散ってくるよ。雲の向こうは~」

見立て :「雪」を「花」に見立てている。

係り結び :「や」→「らむ」

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<関連>

古今集の中で、同じ作者による同じ発想の和歌として、

古今集・巻19・雑体(ざってい)・1021 清原深養父

明日春立たむとしける日、隣の家の方より、風の雪を吹き越しけるを見て、その隣へよみてつかはしける


冬ながら春のとなりの近ければ中垣よりぞ花は散りける


(まだ冬でありながら、春が隣に来ていて近いので、中垣を越えて花はこちら側に散ってくるのだなあ。)

中垣(なかがき) :隣家との間の垣根

見立て :「雪」を「花」に見立てている。

この歌は俳諧歌(用語や内容に滑稽味を持たせて詠んだ歌)に分類されている。


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