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おすすめ古文の参考書・単語帳・問題集

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 今回は、古文の参考書・問題集・単語帳などの学習書について紹介します。

 古文が苦手な人の悩みとして、「何を勉強したらいいのか分からない」、「何から始めたらいいのか分からない」ということがあるようです。
 古文が出来るようになるためには「文法・単語・常識・解釈」の4つの要素が必要なのですが、この中で最も重要なのは「文法」です。
 古典文法の知識は文法問題を解くためというよりも、古文を正しく読むために必要なのです。ですから、まずは「文法」をしっかりマスターすることから始めましょう。

 なお、漢文の参考書と問題集については、「コチラの記事(漢文)」を参照してください。

 また、現代文の参考書と問題集については、「コチラの記事(現代文)」を参照してください。

◇このページの紹介書籍にはAmazonへのリンクを付けてありますので参考にして下さい。


<中学生の古文問題集>

 中学生が古文・漢文を学ぶ上で大事な勉強法は文章を音読することです。教科書などの文章を何度も音読することによって古文・漢文に慣れ親しむとともに、古典の文章がもつリズムを体得しましょう。

「古文完全攻略63選―入試頻出問題厳選 東京学参」
 高校入試に頻出の徒然草や説話(宇治拾遺物語・十訓抄など)をメインに63の文章を取り上げ、それぞれに現代語訳もついています。
 「よくでる古文」・「実戦問題」・「注目作品」・「知識」の4章から構成されていて、高校入試に必要な「古典文法」「古文読解」「古文単語」「古典常識」「文学史」などに関する古文の学力を養成することができます。
 だだし、難関校向けの高校入試対策としての古文問題集なので、設問は学力のない人には全く歯が立たないだろうし、高校生でもできない人がたくさんいるだろうと思われるレベルです。古文の苦手な人は、本文と現代語訳を音読するためのテキストとして使用するのがよいでしょう。

 また、古典文法は高校で本格的に習うのですが、中学生で古典文法に興味のある人は、下で紹介している高校生用の古典文法入門参考書「古文教室 古典文法編 旺文社」を使ってみてもよいでしょう。


<古典文法の参考書> 

 文法の参考書は「望月光 古典文法講義の実況中継(1・2)」がわかりやすくて、網羅性も高い。
 特に敬語や音便に関する記述のわかりやすさ、助動詞などの意味や用法、品詞分解に必要な識別に関する情報が充実しているので、中堅~難関大学受験用の古典文法の参考書では最もおすすめ。2015年6月発売の改訂版では、本文が上下2段組となり、巻末に「文法事項総まとめ」が付いている。

 望月の参考書の売れ筋では「古文教室 古典文法編 旺文社」もあります。この参考書は「動詞って何?」「形容詞って何?」という中学生レベルの極めてやさしい文法から丁寧に解説しているので、古文学習の入門者や古文が苦手な高校生にとっては非常に分かりやすいでしょう。しかし、大学受験には網羅性の点で少し足りません。あくまでも基礎レベルまでの参考書です。

 「古文教室」と「実況中継」との網羅性の違いは、「古文教室」は「用言(動詞・形容詞・形容動詞)、助動詞、主な助詞、敬語の基礎」までの範囲。「実況中継」は、古文教室の範囲に加えて「副詞・連体詞・接続詞・感動詞・音便・敬語の詳細・紛らわしい語の識別」までをカバーしている。

 センターや中堅大志望の受験生で、「望月光 古典文法講義の実況中継」までのレベルは必要ない人、1冊で古典文法をマスターしたい人には「鳥光宏の楽々古典文法 文英堂」がよいでしょう。「望月光 古典文法講義」ほどの網羅性はありませんが、呼応の副詞、音便、形容詞の語幹用法などの記載もあり、過不足なく古典文法が網羅されています。

 大学入試レベルの古典文法の問題集としては、「古文文法問題演習基本テーマ30 河合出版」が網羅的でよいでしょう。

 「ステップアップノート30古典文法基礎ドリル 河合出版」などの書き込み式のものも人気ですが、本の薄さに比例して解説が簡素ですし、網羅性にも欠けます。
 書き込み式のものなら、「まる覚え 古文文法ノート」の方が音便や副詞なども収録しており、文法項目の網羅性が高い。

 また、売れ筋である「富井の古典文法をはじめからていねいに 富井健二 東進ブックス」は、記述内容に不十分さを感じますし、同じく売れ筋の「マドンナ古文 荻野文子 学研」も、体系的ではないし、記述内容に首をかしげたくなる点が多々あるのでおすすめしません。
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 古文の学習に欠かせない用言・助動詞の活用、助動詞と助詞の接続は、「望月古典文法講義の実況中継」に取り組みながら、まずは教科書や辞書などに付属している活用表で用言(動詞・形容詞・形容動詞)の活用を覚え、それを基に助動詞を接続別と活用型別とに分類するなどして、呪文を唱えるように1週間程度で覚えてしまいましょうね。

■このブログの古典文法関連記事
・「現代仮名遣いのルール」=「現代仮名遣い・発音(読み方)の基礎知識」
・「用言の活用と見分け方」=「用言(動詞・形容詞・形容動詞)の活用と見分け方」
・「助動詞・助詞の意味」や「係り結び」・「準体法」などの基本文法項目=「古典文法の必須知識」
・「助動詞の活用と接続」=「助動詞の活用と接続の覚え方」
・「音便」や「敬語(敬意の方向など)」= 「音便・敬語の基礎知識」

 古典文法の参考書でマスターした文法知識を、実際の読みに生かすことができるかどうかを確認するための参考書としては、「古文読解教則本 高橋正治 駿台文庫」を読んでみるのがよいでしょう。この本は362例文の中に読解に必要な助動詞・助詞・敬語の知識が網羅されていますし、「ク語法」などにも触れていますので古文に諸説あることを学ぶこともできます。薄い本なので2~3日程度で通読することができるでしょう。
 ただし、解説は詳しくないので力のない人が使うと混乱するかもしれません。

 古典文法を網羅的にまとめた文法書としては、「ベネッセ全訳古語辞典」の編集主幹である中村幸弘による、「正しく読める古典文法 中村幸弘 駿台文庫」が良い。学校支給の文法書と違って、練習問題の別冊解答も付いています。リファレンス用として是非備えておきたい文法書です。

 また、《「射る」はア行上一段活用といってもいいと思うが、どうしてヤ行上一段活用動詞とするのか。》、《過去の助動詞「き」の未然形「せ」については、サ変動詞「す」の未然形という考え方もあるが、一般には、その考え方が否定されているのはなぜか。》、《「となむ人々申す。(枕草子:中納言参り給ひて)」の「申す」は、普通の「申す」と用法が違うが、だれに対する敬意を表し、どのような種類の敬語なのか。》のような少しレベルの高い100の疑問に答えてくれる古典文法書としては、「先生のための古典文法Q&A100 中村幸弘 右文書院」が参考になるでしょう。
 なお、2016年7月には続編として「続・先生のための古典文法Q&A101 中村幸弘 右文書院」も発売されました。

 類書では、完了の助動詞「り」の四段活用動詞への接続における已然形説と命令形説、形容詞の本活用未然形「く・しく」の有り無しなど84の疑問に大野晋が答えている、「古典文法質問箱 大野晋 角川ソフィア文庫」があります。

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<古文解釈・読解の学習書>

・日常の古文学習を補う解釈・読解参考書・問題集

 学研の「古文の核心 長尾高明」は約40の主要作品の例題や定期試験予想問題と40題の関連した入試問題研究で構成されており、マイナーな存在ですが、教科書の替わりにもなる日常の古文学習に適した古文解釈の参考書です。
 この参考書のよい所は約40の例題に品詞分解が付いていること。品詞分解の付いている古文の参考書はほとんどありませんから貴重な存在です。また、別冊の約40ページからなる「古文の基礎知識」も必須の文法項目、敬語、古典常識などが簡潔にまとめられていて便利です。
 
 「古文の核心」の品詞分解収録作品については、関連記事「全文全訳古語辞典・古文の核心の品詞分解収録作品」に記載しましたので参考にしてください。

 日常の古文学習をフォローするための古文問題集としては、絶版だが、「基礎古文問題精講 高橋正幸 旺文社」が41の例題と26の「基礎学習」から構成されていて、特に古典文法や古文の基礎知識をまとめた「基礎学習」は簡潔にまとまっていてよい。


・古文の楽しさを知りたい高校生・社会人用の解釈・読解参考書

 気楽に読める大学受験問題を扱った参考書では、「山本古文読解講義の実況中継(上・下) 山本康裕」(上6題・下8題)が良い。
 この本は受験参考書でありながら、大人のための古典解説書の感がある。古文解釈・読解のテクニックと言うよりも古文常識などを含めた古文の感覚が理解できる学習書です。

 例えば宇治拾遺物語の「児のそら寝」の中で、「おどろかせ給へ」と二重尊敬(最高敬語)が使われているが、これはこの児が高貴な家柄の子だからではなく、僧と児の間に男色があるためだと・・・(笑)

 他にも「更科日記 源氏の五十余巻」の中に出てくる、「はしるはしる」という表現の解釈には、「とびとび説」、「わくわく説」、「ビュンビュン説」などの諸説があることを面白く解説してくれている。

 語り口が軽妙で読み物としても楽しい本であり、古文は案外おもしろいかも知れないと思わせてくれる、親しみやすい解釈・読解の参考書です。

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・大学受験用の解釈・読解参考書

 <古典文法と単語は一通りやったけれど、主語や話の筋がつかめないという人におすすめ>
 「古文解釈はじめの一歩(改訂版) 関谷浩 駿台文庫」(2015/7/29改訂)は、「古文解釈の方法」の基礎的な部分をやさしい表現と例題で示した薄い参考書で、古文解釈の初級者や古文解釈の苦手な受験生向け。センター試験程度の読解に必要な知識ならこの参考書で間に合う。なお、改訂版では解釈編と基本文法をまとめた基礎編とに分けた構成になっている。

 <古文解釈はじめの一歩の上級バージョン>
 駿台文庫の「古文解釈の方法(改訂版) 関谷浩」は、古文解釈の参考書ですが、主に解釈に必要な文法・語法を解説している。
 少し難しい本だが、助詞や名詞の補入、助詞「を」や「ば」による主体と客体の割り出し、文節の係り受け、準体法や中止法、荘重体敬語を含む敬語、引用文と挿入文に関する記述は非常に参考になる。
※荘重体敬語については「敬語の基礎知識」の記事下段を参照のこと。
 「望月古典文法講義の実況中継」などで得た基本的な文法知識をこの参考書でさらに深め、発展させることによってしっかりとした文法知識に基づいた古文解釈が出来るようになるでしょう。
 著者の関谷浩は、古文界の伊藤和夫(ビジュアル英文解釈などの著者)とも言われているので、文法を重視した解釈が好きな人にはピッタリの参考書です。
 なお、改訂版では記述内容が易化し、一部の練習問題も削除されている。個人的には旧版のままで良かったような気がする。

 「古文解釈はじめの一歩」や「古文解釈の方法」に連動した問題集として、「はじめの一歩古文読解問題集(改訂版)」(30題)、「古文解釈の実践 1(日記・随筆篇)」(30題)と「古文解釈の実践 2(説話・物語篇)」(32題)などがあります。
 いずれも実践的な解釈力を養成するための良い問題集なのですが、少し難しいことと関谷独自の一般的ではない解釈をしている部分がチラホラ見受けられます。「こういう解釈もあるんだなあ」ぐらいに余裕をもって使う力のある人ならよいのですが、一般的な受験生は戸惑うことが予想されますので、関谷の問題集はおすすめしません。

 古文解釈・読解のテクニックを重視した定番の学習書としては、「土屋の古文講義1(基礎篇) 土屋博映 代々木ライブラリー」(8問)と「土屋の古文講義2(錬成篇) 土屋博映 代々木ライブラリー」(8問)のシリーズがある。
 一色刷りで古めかしいレイアウトだが、解説が丁寧で解りやすく、物語や随筆など文章タイプ別に取り組み方などが記載されていて非常に参考になる。
誤植情報として、《古文講義1基礎編の第5講問3EⅡは「1」でも正解。》これは、以下の立場の違いがあるため。
《形容詞未然形の「く・しく」を認める立場では「は」を接続助詞、認めない立場では「く・しく」を連用形・「は」を係助詞とする。》
 上級用の「土屋の古文講義3(応用篇) 土屋博映 代々木ライブラリー」は絶版です。

 「山村由美子 図解古文読解講義の実況中継」
 昨年、コメント欄でこの本に関する質問があったときには具体的な回答ができなかったので、改めて立ち読みしてみました。
 この本は、古文読解に必要な85のポイントを「ワザ85」としてまとめた基礎レベルの参考書で、評判も悪くないようですが、おすすめしたくない参考書でした。
 たとえば、格助詞「の・が」の真下が名詞なら「の」と訳す、つまり連体修飾格だということですが、「春の日の光にあたる我なれど頭の雪となるぞわびしき」の「頭の雪」のように、格助詞「の・が」の真下が名詞で主格を表わす場合だってたくさんあります。一応、この場合の「パターン的中率85%」と記載されていますが、入門者ほど確率なんか気にしないで、「絶対のルール」として信じたがる人たちが多いようです。
 「富井の古文読解をはじめからていねいに」などもそうですが、この手の「ルールやワザ」を強調した参考書を使うときには、十分に注意する必要があります。


・センターレベルの演習用問題集

 センターレベルの文法力と読解力を同時に養成するための問題集としては、「古文上達 基礎編 読解と演習45 仲光雄 Z会」がおすすめです。45のパートに分けた文法項目と練習問題、それに関連した長文の実践問題で構成されている。
特に、この問題集は文法の参考書としても優れていて、助動詞「む」と「べし」の人称による意味の判断が絶対ではないことや文脈に合っていれば複数の意味で解釈することが可能なことをきちんと書いてある。
「古文上達 基礎編 読解と演習45」1冊を繰り返すだけでも、センター・中堅私大程度の文法力と読解力は十分に養成できます。

 その他では、「マーク式基礎問題集古文 河合出版」(16題)も解説が丁寧で良い。

 センター試験の古文は、問題文が長いので難しそうに見えますが、基礎学力と論理的な思考力があれば、8割以上得点するのは決して難しいことではありません。


・中堅私大レベルの演習用問題集&難関大レベルの演習用問題集

 基礎的な文法を習得した後に使う、大学受験のための古文読解・演習の問題集としては、中堅私大をターゲットに24題で構成された「中堅私大古文演習 河合塾」が丁寧な解説をしている古文の読解演習問題集としておすすめです。ちなみに、この問題集は下の「古文上達 読解と演習56 Z会」の演習編と同じくらいのレベル。

 また、基礎編(30題)・演習編(26題)の計56題で構成された「古文上達 読解と演習56 小泉貴 Z会」も中堅私大以上を志望する人にとっては良い問題集ですが、基礎編の解説がやや簡素であったり、基礎編のレベルが「古文上達 基礎編 45」の実践問題と重複したりしているのが気になるところです。

 私立中~上位・地方国公立大用の問題集で、「古文上達 基礎編 45」との接続性を考慮した場合には、同じ仲光雄が書いた「体系古文 仲光雄 教学社」の方がよいでしょう。解説も丁寧で、主語関連・和歌関連・古典常識関連・古文名場面などの28題で構成されています。

 同じく私立中~上位・地方国公立大用の問題集としては「古文 入試精選問題集 河合出版」もあります。22題で構成され解説も丁寧です。

 記述対策用としては、「得点奪取古文 河合出版」(15題)があります。この問題集は記述式問題の採点基準を明確に示している点が特徴的。

 難関国公立大二次対策用としては絶版ですが、「ライジング古文 白鳥永興 桐原書店」(14題)が東大・京大など国公立二次の過去問を丁寧に解説していておすすめ。

 早稲田レベルの難関私大用問題集としては、「最強の古文 読解と演習50 Z会」をやっておいた方がよいでしょう。

 時間のない人には、絶版ですが5題で構成された難関私大用の「望月の〈一読即解!〉ハイレベル古文 望月光 代々木ライブラリー」も非常に丁寧な解説がなされていてよい。

 一橋大学などの近代文語文対策としては、「近代文語文問題演習 川戸 昌 駿台文庫」(14題)があります。


・基礎力を身につけた大学受験生に一押しの古文読解参考書

「改訂版 元井太郎の 古文読解が面白いほどできる本 中経出版」
 わたしが、大学受験生に一番おすすめしたい古文読解の参考書はこれです
 ここまで紹介してきた本は、古文を精読するための解説が丁寧で詳しいものばかりですが、この元井の参考書は、設問に対していかにスピーディに解答するかを述べた実践的な本です。
 古典文法・単語集・基礎的な読解の参考書をやり終え、過去問などの演習をするレベルの人で、素早く問題を解くためのテクニックを必要としている受験生にとっては非常に参考になるでしょう。


・作品の多読で読解力を養う

 本来は高校1年生の時から古文の品詞分解付き対訳書を使って、古典作品を多読することで、読解力はもちろんのこと古文の総合力を身につけるのが理想的です。
初級=「説話(宇治拾遺物語・十訓抄など)」・「徒然草」・「平家物語」
中級=「伊勢物語」・「更科日記」・「大鏡」
上級=「枕草子」・「源氏物語」
この他に、「百人一首」を覚えると古文の力がつきます。

 作品別の品詞分解つきの対訳書としては、「中道館の古典新釈シリーズ」「中道館の精釈シリーズ」などがあります。
 詳細は、「品詞分解付き対訳書」の記事を参照して下さい。


<古文の単語集>

 入試問題では単語集に載っている意味がそのまま出題されるとは限りませんから、語源や中心語義の記載されているものを選び、まずは中心語義を一通り覚え、次に訳語を覚えるようにした方がよいでしょう。
 また、単語集の例文の文法が分からずに足踏みしたり、悩んでしまう人たちもいるようですから、基礎的な文法を理解した後の方がスムーズに使用できます。

 古文の単語集としては、見出し語200~300レベルのものが主流のようですが、中堅~難関大を目指すのなら見出し語500~600レベルの単語集を使った方がよい。

 また、演習などをやったときに重要なもので自分の単語帳に載っていない単語や意味があったときには、自分で書き加えることを忘れずに。何でも載っている完璧な単語帳などありませんから、できるだけ自分で単語帳の穴を埋めていく作業が必要です。

 見出し語200語レベルで、文法知識のない高校1年生や古文がすごく苦手で取り敢えず重要単語だけでも覚えたいという受験生向けの単語集としては、「マドンナ古文単語230 荻野文子 学研」があります。現代文の例文を採用しているので例文の文法で悩むことはなく、付属の単語カードや無料でダウンロードできる音声も記憶の助けになるでしょう。
 しかし、あくまでも入門者が1冊目に使う単語集であって、例文が現代文であるために古文に触れる絶対量も不十分ですから、受験対策用としては足りません。中堅私大以上を目指す受験生は2冊目に志望レベルに応じた単語集を使うべきです。

 見出し語200語レベルの単語集としておすすめは、しばらく絶版でしたが2015年7月に出版社を変更して復刊した、「土屋の古文単語222(最新版) 土屋博映 タイレル出版」です。一見シンプルな単語帳で、中心語義と1例文をベースにしているので、サクッと終わらせることもできますし、解説では語源や重要な複数の訳語、応用欄では関連語などが収録されているので、見た目よりも内容は充実していて、トータルすると650語程度をカバー。
 また、この単語集は採用例文がよく、例文の簡単な文法・語句解説も付いています。1周目は中心語義と例文、2周目以降はその他の重要な訳語と関連語を覚えるような使い方がよいでしょう。
 なお、最新版では旧版には無かった単語の品詞名や活用の種類などが追記され、見出し語の収録順も多少変更されている。難を言えば最新版では単語ごとに土屋の画像が収録されていて煩わしいところかな。単語ごとにお爺ちゃんの顔は見たくない(笑)

 ちなみに、単語集と同時に復刊した「土屋の古文公式222(最新版) 土屋博映 タイレル出版」は、古文読解に必要な助動詞・助詞・呼応の副詞(陳述の副詞)・敬語の重要語句222項目をまとめたものです。古典文法の参考書を持っていれば必要ないかなって感じですが、古典文法の重要語句を一気に学びたい方にはよいでしょう。

 見出し語300語レベルの単語集としては、やはり「読んで見て覚える重要古文単語315 桐原書店」がいいですね。この単語集は訳語に応じた複数の例文が載っていて、関連語も含めると約600語をカバーしている。また、簡易な和歌修辞法や古典常識なども巻末に収録されています。

 見出し語400語レベルの単語集としては、最頻出語100語、頻出語100語、重要語150語で構成されている「出る順に学ぶ 頻出古文単語400(改訂版) 仲光雄 Z会」がよいでしょう。特に、この単語集は「速読古文常識」を簡略化したコラムが収録されているので、頻出の単語と古文常識をこれ1冊で身につけることができます。
この単語集は単語の選定に若干甘いところがありましたが、2016年の改訂版ではまあまあ改善されています。

 難関大用の見出し語500~600語レベルの単語集としては、「古文単語ゴロゴ手帖」(見出し語565語収録)がおすすめです。
 ゴロゴには通常版の「古文単語ゴロゴ」(Aランク語は例文・イラスト付き)もありますが、全単語にイラスト・解説入り(例文はなし)の手帖版の方がよいでしょう。
 ゴロ合わせで覚える単語集なので、子供っぽい印象を持ってしまいがちですが、単語集を選ぶにあたって重要なことは、自分にとって覚えやすく、最後までやり遂げられるかどうかです。ゴロゴは収録語の選定がよく、シンプルさと覚えやすさを追求した良い単語集だと思います。
 また、ゴロゴは多義語に弱いなどの意見もあるようですが、解説をきちんと読めば十分に対応できることがわかるはずです。

 もう1冊、見出し語600語レベルのおすすめ単語集としては、2017年3月に発売された「GROUP(グループ)30で覚える古文単語600 山村由美子 語学春秋社」(見出し語600・関連語約300)です。
 この単語集は、重要な古文単語を恋愛などのジャンルや古今異義語などの30のグループに分類していて、関連語も相関図で示しているので覚えやすいでしょう。また古典常識などのコラムも充実しています。


<古文常識>

 古文の読解には古文常識の知識も欠かせませんので、「速読古文常識 Z会」などの古文常識の参考書も1冊読んでおきましょう。

 また、「国語便覧」の古典文学編にも目を通しておきましょう。国語便覧については、「国語辞典の記事」の中段を参照してください。

 平安時代の生活を知るための読み物としては、「平安朝の生活と文学  池田 亀鑑 (ちくま学芸文庫)」などがあります。


<和歌の修辞(表現技法)>

 和歌の修辞法に特化した大学受験用の参考書としては、「吉野のパワーアップ古文 和歌の修辞法編 吉野敬介 東進ブックス 」「和歌の修辞法 荻野文子の特講マドンナ古文」がありますが、「吉野」の方がスッキリとして見やすく、要領よくまとまっていて良いでしょう。

 また、受験用の参考書ではありませんが、「和歌とは何か 渡部泰明 岩波新書」の作者他の共著による「和歌のルール 渡部泰明 笠間書院」も高校生だけではなく、大人も楽しく読める修辞法の本としておすすめです。

 小倉百人一首の勉強をしたのなら、「原色小倉百人一首 朗詠CDつき版 文英堂(シグマベスト)」がおすすめです。品詞分解・現代語訳・語句解説などのほかに百人一首の修辞法が一覧収載されているので有益です。

 歌集毎に全首の訳が掲載された書籍としては、「新版 古今和歌集 現代語訳付き 角川ソフィア文庫」などの角川ソフィア文庫のシリーズが手頃です。

■このブログの「和歌の基礎知識」を紹介した記事
・和歌の文法、用語、和歌集、歌風などについては、「和歌の文法・用語の基礎知識」
・和歌の修辞法(表現技法)については、「和歌の修辞法(表現技法)の基礎知識」


<復刊した古の学習書>

 以下に示す学習書は、絶版時には中古が高値で取引されていたこともあり、アマゾンでは人気の国語系学習書ですが、記述内容の古さは否めず、昔とは履修時間が違う現在の高校生や大学受験生にとっては内容も難しいので必要ありません。

 国語好きや国語に携わる大学生・一般・社会人が教養書として読むべき参考書です。

「古文研究法 小西甚一 (ちくま学芸文庫)」(2015/2/9復刊)

「古文の読解 小西甚一 (ちくま学芸文庫)」(2010/2/9復刊)


<このブログに収録済みの古文品詞分解作品>

 品詞分解:ブログ収録作品一覧

 以上、皆さまのお役に立てば幸いです。
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◇関連記事 (前後の7記事を表示)
 その他の記事は、右サイドメニューの「カテゴリ」(和歌などは索引)からどうぞ。
 

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Re: ↑の方へ

コメントありがとうございました。
返信が遅くなってゴメンナサイ。
このブログが少しでもあなたのお役に立てたのなら、私もうれしいです。
ご質問については・・・ナイショということで(^-^)
また来てくださいね!

このブログ、本当に参考書選びの参考になります。
ありがとうございます。
【ご質問】
文学史の参考書で何かお勧めはありますか。
また、文学史の勉強方法でお勧めはありますか。

Re: ミントさんへ

コメントありがとうございます。
ほめてもらって、うれしいです(^-^)

文学史は、国語便覧にザッと目を通しておくといいですよ。
学校支給の国語便覧を持っていなければ、このブログの↓の記事の中で紹介していますから参考にしてください。
「おすすめ国語辞典と漢和辞典」http://nbataro.blog.fc2.com/blog-entry-64.html

文学史に特化した参考書としては、「土屋の試験に出る文学史」が良いと思いますよ。
http://www.amazon.co.jp/%E5%9C%9F%E5%B1%8B%E3%81%AE%E8%A9%A6%E9%A8%93%E3%81%AB%E5%87%BA%E3%82%8B%E6%96%87%E5%AD%A6%E5%8F%B2%E2%80%95%E5%85%A5%E8%A9%A6%E3%81%AB%E5%BF%85%E8%A6%81%E3%81%AA%E7%9F%A5%E8%AD%98%E3%81%A0%E3%81%91%E8%A6%9A%E3%81%88%E3%82%89%E3%82%8C%E3%82%8B-%E5%9C%9F%E5%B1%8B-%E5%8D%9A%E6%98%A0/dp/4844035320/ref=pd_sim_14_1?ie=UTF8&refRID=0BWHKX7TX903E1C4N85K

また来てくださいね。

ありがとうございました❗️
実は私も国語、英語、中国語を勉強しています。
現在は訳あって、国語の勉強に専念しております。
また質問させてください(^^)ありがとうございました。

Re: ミントさんへ

>実は私も国語、英語、中国語を勉強しています。
>現在は訳あって、国語の勉強に専念しております。

あら、そうなんですか。
なぜか、このブログでコメントをくれる読者さんは少ないんです。
本当に5万人に1人くらいなので、気軽にコメントしてください。

最近は、スペイン語の勉強をしていたり、他に2つのブログを立ち上げたりしているので、このブログではあまり新規記事を書いていませんが、書きたい記事はたくさんありますから、もう少し落ち着いたら新規投稿を増やすつもりです。

今日は、テニスのデビスカップ観戦で徹夜しま~す。
では、またね(^-^)

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Re: ↑の方へ

そうなんですか。

わたしでお役に立てるなら、いつでもどうぞ。

頑張ってくださいね。

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Re: ↑の方へ

「山村の読解」を私は所有していないので、あまり具体的なことは言えませんが、立ち読みしたことはあります。

内容的には、ここで紹介している「元井の読解」と同系統の本で、読解に必要な文法項目などを図解入りで広く浅く解説していた印象かな。
レベル的にも係り結びや主な和歌の修辞法など、「元井」よりも基礎的なレベルを解説した本だったと思います。

悪くはなかったと思いますが、良くもなかったので、私は買わなかったと記憶しています。

ご返信ありがとうございます。
今、山本古文読解講義の実況中継(上下)読み終わりました。とても楽しく読める参考書でした。ありがとうございました。またこのような本がありましたらご紹介下さい(^^)

Re: ミントさんへ

「山本古文読解講義の実況中継(上下)」をお読みになったんですね。
なかなか楽しい本でしょ^_^
私は、この本からかなり影響を受けていて、このブログでもちょこちょこ引用しています。

1箇所だけ、敬語の文法解釈で賛同できない部分があります。
上巻132pで、「申させ給へば」の「せ給へ」を大納言伊周に対する「二重尊敬」と解説していますが、この「せ」は尊敬ではなく、謙譲の意味を強める助動詞と解するべきだと思います。
「申させ」は、中宮定子に対する敬意で、「給へ」が大納言伊周に対する敬意と解するべきだと。
「中納言参り給ひて」http://nbataro.blog.fc2.com/blog-entry-114.htmlの「奉らせ給ふ」と同じだと考えます。

では、また来てくださいね。よいお年をお迎えください。

勉強になります。ありがとうございます。
これから、問題の読解に移ろうと思うのですが、その前に古文解釈の方法(関谷)をやった方がいいでしょうか?
古典文法ハンドブック(Z会)と望月古典文法講義実況中継12、正しく読めん古典文法(中村)はやったのですが、古文解釈の方法まで手が回りそうになくて、古文解釈の方法をせずに、古文解釈の実践I、IIをしたら分かりづらいでしょうか?

Re: ミントさんへ

明けましておめでとうございます。
返信が遅くなって、ごめんなさい。

>古文解釈の方法をせずに、古文解釈の実践I、IIをしたら分かりづらいでしょうか?

ミントさんは、十分な学力をお持ちでしょうから、「古文解釈の方法」を無理にやる必要はないと思いますよ。
ただ、「古文解釈の実践I、II」の解説中に「古文解釈の方法」の参照ページが記載されていますから、できればリファレンス用として「古文解釈の方法」を手許に置いておいた方が良いと思います。
「古文解釈の実践I、II」は、決して易しくはありませんが、頑張ってください。

古文解釈の方法は購入してあります。リファレンス用として使います。ありがとうございます。
古文、漢文、現代文、国語に関する答申等夏までにやらなくてはいけないことが多くて、、本当にこのサイト助かっております。ありがとうございます。

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Re: ↑の方へ

それに関しては、以前にもお答えした通りです。
ご了承ください。


はい、ありがとうございます(^^)
これからの参考書選びの手助けをよろしくお願いいたします(^_^)

大学受験に関谷の参考書を使っているものです。
「関谷」の一般的ではない解釈とはどのような部分でしょうか??また、その解釈だと点数を落とす可能性があるということでしょうか?
少し不安になったのでお聞きしました、差し支えなければご回答よろしくお願いします。

↑の方へ

こんにちは。
不安にさせてしまってごめんなさいね。
例をいくつか紹介しますね。

・「はじめの一歩古文読解問題集」の大和物語(55段)
「誰が誰を思ひけるのか」
一般的には「男が女を思う」と解釈しますが、関谷は「女が男を思う」と解釈している。

・「古文解釈の実践」の土佐日記(亡児)
「悲しがらるる」
一般的には「るる」を「尊敬」で解釈しますが、関谷は「自発」で解釈している。

・「古文解釈の実践」の伊勢物語(83段)
「心もとながりて」
一般的には「早く帰してくれることを待ち遠しく思って」ですが、関谷は「もっと長く語っていたいのに夜が明けてしまうのを残念に思って」と解釈している。

いずれも関谷の解釈を否定するつもりはありませんが、一般的解釈でないことは確かです。
実は、以前はこれらの問題集をこのブログで「推奨」していたのです。

しかし、上記のような解釈が散見され、土佐日記(亡児)や伊勢物語(83段・小野の雪)は高校の教科書にも採用されていますし、万が一学校のテストや入試などで出題された場合に点数を落とす可能性を否定できないため、「非推奨」に書き換えた経緯があります。

全体的には良い問題集なんですけどね。

Re︰管理人んばさん

なるほど、そうなると問題集として使うには少し不安ですね…。
自分は今、望月の実況中継と文法問題集、それに駿台から新しく出た古文単語帳をやり終えたところで、
ここからは関谷のシリーズで揃えようかと思っていたのですが、問題集だけは他を探してみることにします。
アドバイスありがとうございますm(_ _)m

こんにちは。
私もみなさんのように古典文法を暗記して訳文ですが多読もしていざ解釈、読解へというところで二の足を踏んでいます。
おすすめされている土屋の講義がとても気に入り使っていこうと思っています。しかし多少主語や内容が掴みきれないことがあるので解釈本でワンクッションおこうと思っています。
関谷の問題集は独自的な解釈が多いみたいですが解釈本のはじめの一歩や方法にもその傾向は出ているのでしょうか?
もしその傾向が強いようでしたら土屋の講義に繋げやすい解釈本をあれば教えていただけますでしょうか?

「ぶっふぉん」さんへ

こんばんは。

問題集と違って、参考書の「はじめの一歩」や「解釈の方法」には私の知る限り独自の解釈というような所はありません。
ある程度の文法力があって、「土屋の講義」が気に入ったのなら、これだけでも十分だと思いますよ。
もちろんレベルに応じて「はじめの一歩」か「解釈の方法」をやってもいいですけどね。

最初のうちは覚えた文法の読解への運用をチェックしながら、古文の「精読」に力を注いで、読解の基礎力を養うのがよいでしょう。
教科書や参考書・問題集などの本文を主語・述語、指示語、接続助詞、敬語などに注意しながら丁寧にジックリと読むようにして、現代語訳と自分の解釈との間にズレがあった場合はシッカリと検証をすることです。
基礎力がついてきたら、志望レベルに応じた量をこなせばOKです。
頑張ってください。

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