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百人一首(1) 秋の田のかりほの庵の苫をあらみ 品詞分解と訳

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 今回は、「小倉百人一首」収録和歌(歌番号 1番)の現代語訳(口語訳・意味)・品詞分解・語句文法解説・修辞法(表現技法)・作者・出典・英訳・MP3音声・おすすめ書籍などについて紹介します。


小倉百人一首 歌番号(1) 天智天皇


秋の田のかりほの庵の苫をあらみ わが衣手は露にぬれつつ


<平仮名> (歴史的仮名遣い)

あきのたの かりほのいほの とまをあらみ わがころもでは つゆにぬれつつ


<読み(発音)>

アキノタノ カリオノイオノ トマヲアラミ ワガコロモデワ ツユニヌレツツ


<音声> ※音声はDownloadして自由に使って下さい。

百人一首001.mp3
(クリックすると、ちょっと音痴なカワイイ棒読みちゃんが歌を読んでくれます。)


<現代語訳>

秋の稲田に作られた仮の番小屋で夜を明かしていると、その庵の屋根を葺いた苫の編み目が粗いので、私の袖は夜露にしきりに濡れることだよ。


<英訳>

Coarse the rush-mat roof
Sheltering the harvest-hut
Of the autumn rice-field;
And my sleeves are growing wet
With the moisture dripping through.
  
『University of Virginia Library Japanese Text Initiative, Ogura Hyakunin Isshu 100 Poems by 100 Poets 』 より英訳を引用


<出典>

後撰集・巻6・秋歌中・302 「題しらず・天智天皇御製」


<作者>

天智天皇(てんじてんのう)
626年~671年。第38代天皇。舒明天皇皇子(中大兄皇子)。蘇我入鹿を討伐し大化の改新を行った。
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<品詞分解・語句文法解説>

秋 :名詞

の :格助詞

田 :名詞

の :格助詞

かりほ :名詞 仮庵(かりいほ)のつづまった音(約音)。

の :格助詞

庵(いほ) :名詞
※「かりほの庵」は、「仮庵の庵」であり、語調を整えるために「庵」を重ねて用いた重言。
※重言(じゅうげん・じゅうごん)=同じ意味の言葉を重ねて用いること。

の :格助詞

苫(とま) :名詞 すげ、かや、わら等をむしろのように編んで屋根を葺くなどに用いる。

を :間投助詞 下段の<文法特記>を参照のこと。

あら :形容詞ク活用「粗し(あらし)」の語幹

み :接尾語 下段の<文法特記>を参照のこと。 

わ :代名詞

が :格助詞

衣手(ころもで) :名詞 袖。

は :係助詞

露 :名詞

に :格助詞

ぬれ :動詞ラ行下二段活用「濡る(ぬる)」の連用形

つつ :接続助詞  「つつ止め」 下段の<文法特記>を参照のこと。

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<文法特記>

『 苫をあらみ 』
名詞+間投助詞「を」+形容詞語幹+接尾語「み」 (間投助詞「を」は、省略される場合もある。)
※なお、形容詞シク活用の語幹の扱いには説の違いがあるので、シク活用の場合は《「を」+「シク活用・終止形」+「み」》で覚えておいた方がよい(例:野をなつかしみ)。

「AをBみ」の「を・み構文」 (原因理由を表し)AがBなので。
例 :「瀬を早み」「人言を繁み」「人目を多み」「潟を無み」「野をなつかしみ」「山高み」「山深み」「国遠み」

助動詞「べし」などの形容詞型活用語の語幹+接尾語「み」の形もある。
「知りぬべみ」「泣きぬべみ」「散り過ぎぬべみ」

※このブログで取り上げた、「を・み構文」の和歌としては、「山高み見つつわがこし~」「若の浦に潮満ち来れば~」などなど。

『 つつ 』
和歌の末尾に用いられる「つつ止め」。(継続と詠嘆を余情的に表現)しきりに~することだよ。


<古典文法の基礎知識>

「古文」を苦手科目から得意科目にする古典文法の基礎知識です。

◇「現代仮名遣い」のルールについては、「現代仮名遣い・発音(読み方)の基礎知識」の記事をどうぞ。

◇「用言の活用と見分け」については、「用言(動詞・形容詞・形容動詞)の活用と見分け方」の記事をどうぞ。

◇「助動詞・助詞の意味」や「係り結び」・「準体法」などについては、「古典文法の必須知識」 の記事をどうぞ。

◇「助動詞の活用と接続」については、「助動詞の活用と接続の覚え方」の記事をどうぞ。

◇「音便」や「敬語(敬意の方向など)」については、 「音便・敬語の基礎知識」の記事をどうぞ。

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<和歌の基礎知識>

◎和歌の文法、用語、和歌集、歌風などについては、「和歌の文法・用語の基礎知識」をどうぞ。

◎和歌の修辞法(表現技法)については、「和歌の修辞法(表現技法)の基礎知識」をどうぞ。


<修辞法(表現技法)>

・掛詞 :「かりほ」が、「仮庵」と「刈り穂」の掛詞


<関連>

万葉集・巻10・2174・作者不明

秋田刈るかりほを作りわがをれば衣手寒く露ぞ置きにける
 (秋の収穫のために稲田に仮小屋を作って私がいると、私の袖に冷たく夜露がおりているよ。)

この歌が原型とされ、伝承の間に語句を変え天智天皇御製になったと言われている。


<私の一言>

今日から小倉百人一首を投稿します。

棒読みちゃんに、もう少し上手に詠ませられるといいんだけど・・・。
音質もあまり良くありませんが、容量を大きくしたくないのでお許しを・・・。

諸説あるようですが、小倉百人一首は鎌倉時代、藤原定家の撰とするのが一般的。
小倉百人一首については、「和歌の基礎知識」を参照して下さい。

天智天皇が農民と共に農作業をし、「かりほの庵」で夜を明かしたのかどうかは、私にはわからないが、この記事を書いていて、司馬遼太郎の「この国のかたち(二) (文春文庫)」の中で読んだ文章を思い出した。

 正確には覚えていませんが、その中で、イギリスの貴族階級は職人仕事はしなかったし、その子弟が大学へ進学する折には工学部は選ばない。工学部へ行けばブルーカラーと変わらなくなるから・・・。
 そして、中国の清の高官は「いっしょにテニスをしませんか」と誘われた時に「使用人にやらせましょう」と答えた。スポーツであってもラケットを振るなどして身を労せば民衆からの尊敬を失うから・・・。

 ご苦労様なことですね。


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