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早発白帝城(李白) 書き下し文と現代語訳

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 今回は、李白の漢詩「早白帝城」の白文(原文)、訓読文、書き下し文、現代語訳(口語訳・意味)、読み方(ひらがな)、形式、押韻、対句、語句・文法・句法解説、おすすめ書籍などについて紹介します。


【近体詩(唐詩)】 李白(りはく):盛唐
白帝城(早に白帝城を発す:つとにはくていじょうをはっす)


<要旨>

朝焼け雲の美しい朝、揚子江上流の急流を舟足の軽い舟で下る爽快感を詠んだ詩。


<白文(原文)>

朝辞白帝彩雲間

千里江陵一日還

両岸猿声啼不住

軽舟已過万重山



◇送り仮名などは本によって若干違う場合があるので、あなたのテキストに従ってください。

◇漢詩(近体詩)の規則をこのページ中段に記載しています。

◇書き下し文のルールについては、このページ下段に記載しています。

◇返り点の読み方、置き字などについて知りたい場合は、「漢文の基礎知識」を読んでね。

◇現代仮名遣いのルールについて知りたい場合は、「現代仮名遣いの基礎知識」をどうぞ。



《白》 白文
《訓》 訓読文(返り点・送り仮名・句読点など) ※返り点送り仮名 ※置き字
《書》 書き下し文(歴史的仮名遣い)
《仮》 読み方・現代仮名遣い(ひらがな)
《訳》 現代語訳(口語訳)
※《別の訓読および読みなどがある場合は訳の下に記載》


《白》 朝辞白帝彩雲間
《訓》 朝白帝彩雲
《書》 朝に辞す白帝彩雲の間
《仮》 あしたにじす はくてい さいうんのかん
《訳》 朝早く美しい朝焼け雲のたなびく白帝城に別れを告げ、

《白》 千里江陵一日還
《訓》 千里江陵一日ニシテ
《書》 千里の江陵一日にして還る
《仮》 せんりのこうりょう いちじつにしてかえる
《訳》 千里も離れた江陵まで、(わずか)一日で帰って行くのである。
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《白》 両岸猿声啼不住
《訓》 両岸猿声啼イテルニ
《書》 両岸の猿声啼いて住まざるに
《仮》 りょうがんのえんせい ないてやまざるに
《訳》 (揚子江の)両岸の猿の鳴き声が、まだ終わらないうちに、
※《不ルニ → 不ルニマラ:住まらざるに:とどまらざるに》

《白》 軽舟已過万重山
《訓》 軽舟已万重
《書》 軽舟已に過ぐ万重の山
《仮》 けいしゅう すでにすぐ ばんちょうのやま
《訳》 (私の乗った)舟足の軽い船は、幾重にも重なり合った山々を、早くも通り過ぎてしまった。



<漢詩(近体詩)の規則>

◇唐代に完成した形式(絶句・律詩)=「近体詩」、それ以前の形式=「古体詩」

五言絶句七言絶句五言律詩七言律詩
句数4句8句
字数一句5字・計20字一句7字・計28字一句5字・計40字一句7字・計56字
押韻2・4句の末尾1・2・4句の末尾2・4・6・8句の末尾1・2・4・6・8句の末尾
対句用いても用いなくてもよい。原則、頷聯(3・4句)&頸聯(5・6句)が対句。

◇絶句=起句(第一句)、承句(第二句)、転句(第三句)、結句(第四句)

◇律詩=二句をまとめて「聯(連):れん」という。
首聯(しゅれん)=第一句・第二句、頷聯(がんれん)=第三句・第四句、頸聯(けいれん)=第五句・第六句、尾聯(びれん)=第七句・第八句

◇押韻(おういん)=同じ響きの字を句末に置くこと。 
天(ten)・川(sen)、鳥(tyou)・少(syou

※ほとんどの押韻は上の例で示したように日本語の漢字音でもわかりますが、あくまでも詩人たちが生きていた時代(唐など)の中国音での押韻です。

◇対句(ついく)=二句の文法構造が同じで、互いの各語が意味などの上で何らかの対応をしていること。

さらに詳しく知りたい方は「漢詩の規則と基礎知識(漢詩のリズム・覚えておきたい詩人)」の記事をどうぞ。


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<形式>

七言絶句


<押韻>

間・還・山


<対句>

なし


<語句・文法・句法解説>

早 :朝早く。

白帝城 :四川省白帝山にあった城で、風景のよい所。

朝辞 :朝早く別れを告げる。

彩雲 :色どりの美しい雲。朝焼け雲。

千里 :極めて遠いことを形容したもの。

不住 :やまない。終わらない。 「やまざるに」・「とどまらざるに」二つの読み方がある。

軽舟 :軽くて速い船。舟足(ふなあし)の軽い船。

万重山 :幾重にも重なり合っている山。


<漢詩のリズム>

以下の二句は漢詩の持つリズム「七言の場合は、四(二+二)+三」を生かして、日本語としては倒置的に訓読するのが一般的。(漢詩自体は倒置ではないので誤解しないようにね。)

(起句) 朝辞白帝彩雲間
「朝に辞す白帝彩雲の間」 ※これが、散文の場合だと→「朝に白帝彩雲の間を辞す」

(結句) 軽舟已過万重山
「軽舟已に過ぐ万重の山」 ※これが、散文の場合だと→「軽舟已に万重の山を過ぐ」

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<ブログ内の漢詩索引>

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<書き下し文のルール>

◇書き下し文(かきくだしぶん)とは、訓点(返り点・送り仮名・句読点など)に従って、漢字仮名交じりで書いた歴史的仮名遣いの日本文のこと。

①漢文に付いているカタカナの送り仮名は歴史的仮名遣いのまま平仮名で書く。

②日本語の助詞や助動詞にあたる漢字は平仮名に直す。

③再読文字は最初の読みの部分は漢字+送り仮名、二度目の読みの部分は平仮名で書く。
・例:未。(未だ知らず。) 

④訓読しない漢字(置き字)は書き下し文に書かない。

⑤会話文・引用文の終わりの送り仮名「~」は、「と」を「」の外に出し、「~。」と。と書く。
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