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万葉集 あな醜賢しらをすと酒飲まぬ 品詞分解と訳

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 今回は、「万葉集」収録和歌の現代語訳(口語訳・意味)・品詞分解・語句文法解説・修辞法(表現技法)・おすすめ書籍などについて紹介します。


万葉集 巻3・344 大伴旅人(おおとものたびと)

太宰帥(だざいのそち)大伴卿(おほとものまへつきみ)、酒を賛むる(ほむる)歌十三首


あな醜賢しらをすと酒飲まぬ人をよく見れば猿にかも似る

あな醜賢しらをすと酒飲まぬ人をよく見ば猿にかも似る


※第四句を「人をよく見れば」→「人をよく見ば」とする本もある。


<平仮名>

あなみにく さかしらをすと さけのまぬ ひとをよくみれば さるにかもにる


<万葉仮名>

痛醜 賢良乎為跡 酒不飲 人乎熟見者 猿二鴨似


<現代語訳>

ああみっともない。利口ぶって酒を飲まない人をよく見ると猿に似ているではないかなあ。


<私の一言>

ヤケ酒を飲んで愚痴る男の和歌ですね。

みっともないのは、アンタですからぁ、旅人さん(笑)

でも、大宰府赴任に同行した奥さんに先立たれて、頼りにしていた長屋王も藤原氏の陰謀によって自害に追い込まれ、名門であった大伴氏が藤原氏に押されまくっていたのだから仕方がないかなぁ・・・。

旅人はこの時、大宰師(大宰府の長官)として九州に赴任していました。
同時期に筑前国守(福岡県北部)として赴任していた山上憶良らと筑紫歌壇(つくしかだん)を構成して宴を開き、歌を詠んでいた頃のものです。

「酒を賛むる歌十三首」では、この他に、「この世にし~」「験なき~」「なかなかに~」などが有名。


<作者>

大伴旅人(おおとものたびと)
665年~731年。飛鳥時代後期~奈良時代前期の廷臣で歌人。家持の父。太宰帥を経て従二位大納言に至る。万葉集に残した歌のほとんどは太宰帥の在任中に山上憶良らとの親交の中(筑紫歌壇)で詠まれた。漢文学の影響を受けた浪漫的な歌や亡妻を悼んだ叙情歌などが有名。


<語句文法解説> 題詞

帥(そち) :名詞 長官

卿(まへつきみ) :名詞 三位以上の人への敬称

※「題詞(だいし)」=和歌の前書き。万葉集以外では「詞書(ことばがき)」。
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<品詞分解・語句文法解説> 歌

あな :感動詞 ああ。

醜(みにく) :形容詞ク活用「醜し(みにくし)」の語幹 見苦しい。みっともない。
※「あな」+「形容詞語幹」の形で、一語の感動詞的な用法。

賢しら(さかしら) :名詞 利口ぶること。

を :格助詞

す :動詞サ行変格活用「す」の終止形

と :格助詞

酒 :名詞

飲ま :動詞マ行四段活用「飲む」の未然形

ぬ :打消の助動詞「ず」の連体形

人 :名詞

を :格助詞

よく :副詞
※形容詞ク活用「よし」の連用形とする説もある。

見れ :動詞マ行上一段活用「見る」の已然形

ば :順接確定条件(偶然的条件)の接続助詞 ~すると。
※第四句が「見ば」の場合は、マ行上一段活用「見る」の未然形+順接仮定条件の接続助詞(~なら。)
※接続助詞「ば」については、下にリンクを付けてある「古典文法の必須知識」を読んでね。

さる(猿) :名詞

に :格助詞

かも :係助詞 (詠嘆の気持ちを含んだ疑問を表す上代語) ~かなあ。 
     (「か」係助詞+「も」係助詞とする説もある)

似る :動詞ナ行上一段活用「似る」の連体形

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<古典文法の基礎知識>

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<修辞法(表現技法)・係り結び>

句切れ :初句切れ

係り結び :「かも」or「か」→「似る」

※「修辞法」が分からない人は、上にリンクをつけてある「修辞法の基礎知識」を、「係り結び」が分からない人は、「文法・用語の基礎知識」を読んでね。


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