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古今集 年ふればよはひは老いぬしかはあれど 品詞分解と訳

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 今回は、「古今和歌集」収録和歌の現代語訳(口語訳・意味)・品詞分解・語句文法解説・修辞法(表現技法)・おすすめ書籍などについて紹介します。


古今集・巻1・春歌上・52 前太政大臣(藤原良房:ふじわらのよしふさ)

染殿后のお前に、花瓶に桜の花をささせ給へるを見てよめる

(染殿の后のお側近くに、花瓶に桜の花をお挿させになってあるのを見て詠んだ歌。)


年ふればよはひは老いぬしかはあれど花をし見れば物思ひもなし


<現代語訳>

年月が経ったので、私はすっかり年老いてしまった。そうではあるけれど、この桜の花(わが娘である染殿后)を見ていると、なにも思いわずらうことがない気持ちになる。


<語句文法解説> 詞書

「ささせ給へる」の「せ」 :使役の助動詞「す」の連用形
※この「せ」は、尊敬ではなく使役の助動詞


<品詞分解・語句文法解説> 歌

年 :名詞

ふれ :動詞ハ行下二段「経(ふ)」の已然形

ば :順接確定条件(原因理由)の接続助詞
※訳は原因理由(~ので)としたが、恒常的条件とする説もある。

よはひ :名詞 年齢。

は :係助詞

老い(おい) :動詞ヤ行上二段「老ゆ(おゆ)」の連用形

ぬ :完了の助動詞「ぬ」の終止形

しかはあれど :連語「然は有れど」 そうではあるが。
「しか(副詞)+は(係助詞)+あれ(動詞ラ変「あり」の已然形)+ど(接続助詞)」

花 :名詞 花を自分の娘である染殿后に見立てている。

を :格助詞

し :強意の副助詞。 ※強意の副助詞「し」は、無理に訳出しなくてもOK。
                
見れ :動詞マ行上一段「見る」の已然形

ば :順接確定条件(偶然的条件)の接続助詞 ~すると
※強意の副助詞「し」~接続助詞「ば」=「AしBば構文」(「し」が強意の副助詞であることを識別できる形)

物思ひ(ものおもひ) :名詞 思い煩うこと。

も :係助詞

なし :形容詞ク活用「なし」の終止形
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<文法特記>

※この歌の他に「AしBば構文」の和歌としては、「唐衣きつつなれにし~」「名にし負はばいざ言問はむ~」などなど。

※この構文の接続助詞「ば」の意味は、文脈に応じて4つの意味の中から選択する。

※接続助詞「ば」については、下にリンクを付けてある「古典文法の必須知識」を読んでね。


<古典文法の基礎知識>

「古文」を苦手科目から得意科目にする古典文法の基礎知識です。

◇「現代仮名遣い」のルールについては、「現代仮名遣い・発音(読み方)の基礎知識」の記事をどうぞ。

◇「用言の活用と見分け」については、「用言(動詞・形容詞・形容動詞)の活用と見分け方」の記事をどうぞ。

◇「助動詞・助詞の意味」や「係り結び」・「準体法」などについては、「古典文法の必須知識」 の記事をどうぞ。

◇「助動詞の活用と接続」については、「助動詞の活用と接続の覚え方」の記事をどうぞ。

◇「音便」や「敬語(敬意の方向など)」については、 「音便・敬語の基礎知識」の記事をどうぞ。


<和歌の基礎知識>

◎和歌の文法、用語、和歌集、歌風などについては、「和歌の文法・用語の基礎知識」をどうぞ。

◎和歌の修辞法(表現技法)については、「和歌の修辞法(表現技法)の基礎知識」をどうぞ。


<修辞法(表現技法)>

句切れ :二句切れ

見立て :花を自分の娘である染殿后に見立てている。


<私の一言>

詞書(ことばがき)にある、染殿后(そめどののきさき)は、文徳天皇の后で良房の娘です。

この和歌は、栄華を達成した娘の姿を見る満足感を言外に表しています。

伊勢物語の83段「小野の雪」で在原業平が詠んだ、
忘れては夢かとぞ思ふ思ひきや雪踏み分けて君を見むとは

「君=惟喬親王」を出家させて、自分の孫である惟仁親王を皇太子にしたのが、この良房です。

ちなみに、枕草子の「清涼殿の丑寅のすみの」には、この歌をもとにして「花をし見れば」を「君をし見れば」と書き換えたやり取りが出ています。


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