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古典文法 助動詞・助詞の意味と係り結びの法則

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 今回は、主な助動詞・助詞の意味・用法、準体法・連体形止め・連用形中止法など活用形の役割や係り結びの法則、陳述の副詞(呼応の副詞)など最低限覚えておきたい「古典文法の必須知識」について、主に「児のそら寝」などを例に紹介します。 

 品詞分解をすることのできる文法力がなければ、古文を正しく解釈することはできません。

 品詞分解をするためには、「活用形」の役割、「助動詞と助詞」(付属語)の接続と意味、「用言と助動詞」(活用語)の活用などの知識が必要になります。

 つまり、これらの知識がないと、「古文が苦手ですぅ~。いつもフィーリングで解答していますぅ~。この前の模試で古文が10点でしたぁ~。どうしたらいいでしょう~。」と嘆き、大学受験で涙する人になってしまいます。

 また、漢文の学習においても文法力があれば、句法なども短時間で楽にマスターできますし、漢字さえ分れば解釈も上手にできるようになります。

 文法書や古語辞典などを使って、自分で品詞分解ができる基礎学力を身につけましょうね。
 おすすめの参考書や辞書については、最下段にリンクをつけてありますので、あとで参照してください。

 是非、センター試験レベルの古典なら、短時間でやっつけて8割~満点を取ることのできる人になってくださいね。
 そうすれば、現代文に十分な時間を使うことができます。


<最低限覚えておきたい活用形の役割(働き)>

■「連用形」は、「用言(動詞・形容詞・形容動詞)」に連なる形だから、「後に用言を続ける」のが基本的な役割。
(もちろん、後の語が助動詞・助詞の場合や連用形中止法などの場合を除く。)

・例1(児のそら寝) :もの《申し候は》ん :申し《動詞・連用形》+候は《動詞》
・例2(児のそら寝) :おどろか《せ給へ》 :せ《助動詞・連用形》+給へ《動詞》

■「連体形」は、「体言(名詞)」に連なる形だから、「後に体言を続ける」のが基本的な役割。=「連体法」。
(もちろん、後の語が助動詞・助詞の場合や連体形止め、係り結びによる連体形の結びなどの場合を除く。)

・例1(児のそら寝) :《笑ふこと》 :笑ふ《動詞・連体形》+こと《名詞》
・例2(児のそら寝) :寝《たる由》 :たる《助動詞・連体形》+由《名詞》

■準体法
連体形のあとに本来あるはずの体言がなく、連体形が体言を伴わずに体言と同じ役割で働く。
「こと・もの・とき・様子」など文脈に適した体言、または、体言の代用をする準体格の格助詞「の」を補って訳出する。

・例1(和歌の詞書) :雪の降り《ける》をよめ《る》 :雪が降った《様子》を詠んだ《歌》
・例2(児のそら寝) :「いざ、かいもちひせん」といひ《ける》を :「さあ、ぼたもちを作ろう」と言った《の》

■係り結びの法則
「係り結びの法則」とは、「文中に一定の係助詞《ぞ・なむ・や・か・こそ》がある場合、それを受ける活用語が特定の活用形《連体形・已然形》となる現象」のこと。
※活用語=動詞・形容詞・形容動詞・助動詞。

◇係り結びの形
・係助詞「ぞ・なむ・や・か(やは・かは・もぞ)」→受ける活用語が「連体形」となる。
・係助詞「こそ(もこそ)」→受ける活用語が「已然形」となる。
・係助詞「は・も」→単独では係り結びに関与しない。(終止形で結ぶとする立場もある。)
※「は・も」は、「やは・かは(疑問・反語)」・「もぞ・もこそ(懸念・困惑)」などのように他の係助詞とセットのときに係り結びに関与する。

◇係助詞「ぞ・なむ・や・か・こそ」の意味と訳し方
・「ぞ・なむ・こそ」=強調(強意) 「特に訳出しない」(係助詞が、その前の語や語句を強調している。)
・「や・か」=疑問 「~か。」、反語 「~か、いや、~ではない。」
※「こそ」には下で示すように逆接の意味もある。
※「もぞ・もこそ」は、「~すると困る。~するといけない。~すると大変だ。」

◇通常の場合、係り結びの法則では、係助詞を受ける活用語が特定の活用形(連体形・已然形)になることで「結ぶ」、つまり文は終止する。
しかし、文が終止する場合でも、
・結びとなるはずの文節や述部が省略される「結びの省略」《例:~こそ。(「あれ・あらめ」などの省略。)》
また、以下のように文が終止しない場合もある。
・逆接を表す(逆接強調法)「こそ~已然形、」(~のに。~けれども。)《例:中垣こそあれ、~。(中垣はあるけれど、~。)》
・結びの箇所に接続助詞などが存在することによる「結びの消滅(流れ)」《例:なむ~思ひて、~。》
(通常は「なむ」→「思ふ(連体形)」で文を終止するが、接続助詞「て(連用形接続)」により「思ひ(連用形)」となり、文が終止せずに続く。)

◎係り結びの実例は、「土佐日記 帰京」「徒然草 同じ心ならん人と」「古今集 春の夜の闇はあやなし~」など、作品の記事下段にある係り結び一覧を参照してください。
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■疑問語に呼応した連体形の結び
「係り結びの法則」ではないが、文中に「いかが」などの副詞(陳述の副詞・呼応の副詞)や「いづれ」などの代名詞のような「疑問語」があると、それに呼応してほとんどの場合に「連体形」で結びます。

■連用形中止法(中止法)
連用形で文を一旦中止して、さらにあとに続けて行く用法。 ※読点「、」の有無は問わない。

・例1(徒然草) :「花は盛りに、月はくまなきをのみ見るものかは」
「盛りに」=形容動詞「盛りなり」の連用形
・例2(額田王) :「君待つとわが恋ひをればわが屋戸の簾動かし秋の風吹く」
「動かし」=サ行四段活用「動かす」の連用形

■連体形止め(連体止め)
連体形で文を終止し、余情・余韻・詠嘆を表す。

・例1(徒然草) :「その人、ほどなく失せにけりと聞き侍りし」
「し」=過去の助動詞「き」の連体形
・例2(源氏物語・若紫) :「雀の子を犬君が逃がしつる
「つる」=完了の助動詞「つ」の連体形

※例2は、《主格の格助詞「の」・「が」に呼応して述語は連体形で結ぶ》文法規則によるものとも説明できる。
(犬君)「が(主格の格助詞」)→(逃がし)「つる(連体形)」


<覚えておきたい主な助動詞の意味・用法>

助動詞の意味には、分類上の大分類(属するグループ)としての大まかな意味と実際の意味である小分類としての意味がある。
例:「たり」の大分類での意味は「完了」グループ、小分類での意味は「完了」・「存続」

まずは、大分類としての大まかな意味を覚えましょうね。

■助動詞の意味(大分類・グループ)
・使役・尊敬 「す・さす・しむ」
・受身・可能・自発・尊敬 「る・らる」
・打消 「ず」
・過去 「き・けり」
・完了 「つ・ぬ・たり・り」
・推量 「む・むず・らむ・けむ・まし・べし」
・推定 「めり・らし・なり」
・打消推量 「じ・まじ」
・希望 「たし・まほし」
・断定 「なり・たり」
・比況 「ごとし」

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■助動詞「む」《未然形接続》の意味の覚え方=【スイカ買え】

・助動詞「む」の大分類の意味は「推量」、小分類の意味は以下の通り。

「ス:推量:~だろう。」
「イ:意志:~(し)よう。」
「カ:勧誘(適当):~がよい。」
「カ:仮定:~なら、その~。」
「エ:婉曲:~ような」 ※婉曲=遠回しに言うこと。

◇文末の「む」=推量・意志・勧誘(適当)
大まかな目安として(ただし、確率は7割程度で絶対ではない)、
推量(主語が3人称)、意志(主語が1人称)、勧誘・適当(主語が2人称)

◇文中の「む」(連体形)=仮定・婉曲
連体形で用いられ、体言を修飾する「連体法」や体言に準じた働きをする「準体法」として働く。
・例(児のそら寝) :「し出ださを」(婉曲:作り上げる(ような)を)
※婉曲は「ような」と無理に訳出せずに「作り上げるのを」のように「ような」を省略する場合も多い。、

※文中の「む」は、仮定・婉曲のどちらの意味でも解釈できる場合もあるが、形の上での大まかな目安(これも絶対ではない)としては、「む」+「名詞」=婉曲、「む」+「助詞」=仮定

※助動詞「む」の意味は、最終的には文脈判断です。形だけで判断しないこと。

■助動詞「べし」の意味の覚え方=【スイカ止めてギョ】
《終止形接続・ラ変型には連体形接続》

「べし」は「む」の意味を強くしたイメージで当然性を表す=「べし」の中心語義は「当然」。
それそれの意味に「《当然》~だろう」のように「当然」のニュアンスを含む。

「ス:推量:~だろう。~にちがいない。」
「イ:意志:~つもりだ。~(し)よう。」
「カ:可能:~できる。~できそうだ。」
「ト:当然:~はずだ。」
「メ:命令:~せよ。」
「テ:適当(勧誘):~がよい。」
「ギ:義務:~(し)なければならない。」
「ョ:予定:~(する)ことになっている。」

・助動詞「べし」は、大分類の意味の上では「推量」グループに属するが、小分類の意味としては上記のような多義語で、どちらの意味とも取れる曖昧な場合も多いので、不自然でなければ、ある程度の幅をもった解釈が許される。
・例(徒然草):「争ふべからずと知るべし(べし=当然・義務・命令)※べから=可能

※「べし」がラ変型の語の連体形に接続するのは、「べし」などの「終止形(ラ変型は連体形)接続」の助動詞がウ段音に接続する性質のため。
形容詞の補助活用、形容動詞、打消の助動詞「ず」の補助活用もラ変型に含む。
形容詞活用型・助動詞「ず」の補助活用に終止形がないのも「終止形(ラ変型は連体形)接続」の助動詞が同じ性質を持つため。

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■打消の助動詞「ず」と打消推量の助動詞「じ」・「まじ」
・「ず」《未然形接続》 (打消)~ない。
・「じ」《未然形接続》 (打消推量・打消意志)~まい。=助動詞「む」の打消のイメージ。
・「まじ」《終止形接続・ラ変型には連体形接続》 「打消当然・打消推量・打消意志・打消適当・禁止・不可能」の意味を持つ多義語だが、要するに助動詞「べし」の打消のイメージだということ。

■助動詞「らむ」・「けむ」の意味の覚え方=【田園の水源(伝婉の推原)】

◇「らむ」《終止形接続・ラ変型には連体形接続》

・現在の推量 :文末:(今頃~ているだろう。) 
※実際には目に見えていないことを推量
例(山上憶良) :「憶良らは今は罷らむ子泣くらむそれその母も吾を待つらむそ」

・現在の原因(理由) :文末:(どうして~なのだろう、だから~ているのだろう。) 
※実際に目に見えていることの原因(理由)
例(紀友則) :「ひさかたの光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ

・現在の伝聞 :文中(連体形):(~とかいう。)
・現在の婉曲 :文中(連体形):(~ているような。)

・この他に「(単なる)推量 :~だろう。」の意味もある。

◇過去推量の助動詞「けむ」(連用形接続)は、「らむ」の意味を過去にしたもの。
ちなみに、助動詞「む」は未来のことを表わす。

■助動詞「たり」《連用形接続》 & 助動詞「り」《サ変未然形・四段已然形接続》
助動詞「り」の接続の覚え方=《サ未四已(さみしい)「り」》(助動詞「り」の前はエ段音だということ。)

完了の助動詞「たり」・「り」は、基本義が「存続」であるため、「~ている。~てある。」と訳して意味が不自然でない場合には「存続」、不自然であれば「完了:~た。」と判断する。

※完了の助動詞「り」は、《サ未・四命接続》とする立場もある。

■助動詞「る・らる・す・さす」 接続の覚え方=《ヨンナラ「る・す」、その他「らる・さす」》

《未然形接続》の助動詞「る」・「らる」は、助動詞「す」・「さす」とともに、「四・ナ・ラ」=「る」・「す」です。
「る」・「す」は、四段・ナ変・ラ変の未然形に接続し、「らる」・「さす」はそれ以外の未然形に接続する。
助動詞「る」・「す」の前はア段音だということ。

◇「受身・可能・自発・尊敬」の助動詞「る」・「らる」

・「可能」(~できる。) :打消(反語)がしていれば「可能」(ただし中古=平安時代まで)
例(伊勢物語) :「ものも言はず」(ものも言うことができない。)
例(徒然草) :中世以降は肯定文に可能用例「いかなる所にも住ま」(どんな所にも住むことができる。)

・「受身」(~れる。~られる。) :多くの場合「(対象となる人に)~れる。」(まれに人以外の動物または無生物の場合もある。)
例(枕草子) :「人に憎まむこと」(人に憎まれるようなこと。)

・「自発」 :「笑ふ・見る・思ふ・驚く・泣く」など、「心情」や「知覚」を表す動詞に接続する場合は「自発」で用いられる場合が多い。
訳語は、「自然と~れる。~しないではいられない。ふと・思わず・つい~してしまう。」
例(更級日記) :「人知れずうち泣かぬ」(人知れず泣かないではいられなかった。)

・「尊敬」(お~になる。~なさる。) :主語が貴人。
例(大鏡) :「かの大納言、いづれの舟にか乗らべき」(あの大納言は、どの舟にお乗りになるのだろうか。)

「れ給ふ」・「られ給ふ」の「れ」・「られ」は、「尊敬」以外。「受身・可能・自発」のどれか。

◇「使役・尊敬」の助動詞「す」・「さす」

・「使役」(~せる。~させる。) :尊敬の補助動詞の下接がなければ「使役」。
例(竹取物語) :「妻の媼にあづけて養は下線文す」(妻のおばあさんにあずけて育てさせる。)
・尊敬の補助動詞が下接してる場合は、文脈から「使役・尊敬」を判断する。

・「受身」(~れる。~られる。) ※中世以降の軍記物での用法
例(平家物語) :「息子を討たせ」(息子を討たれ)

■「る」・「れ」の識別

・動詞のエ段音+「ら・り・る・れ」=完了の助動詞「り」 《サ未・四已接続》
例 :「書ける」、「住める」、「給へる」、(もちろん、下一段の「蹴る(ける)」を除く。)

・動詞のア段音+「る・れ」=受身・可能・自発・尊敬の助動詞「る」 《四・ナ・ラの未然形接続》
例 :「書かる」、「住まる」、「今一声呼ばていらへん」

・動詞のイ段音ORウ段音+「る・れ」=動詞の活用語尾

■完了の助動詞「つ」と「ぬ」《連用形接続》
「つ・ぬ」の基本義は、「確信を持ってはっきり述べる」(~た。~てしまう。)

人の意志が加わった動作(他動詞に接続する場合が多い)=「つ」
例 :「石投げ」(石を投げた。)

人の意志を伴わない自然発生的動作(自動詞に接続する場合が多い)=「ぬ」
例 :「花咲き」(花が咲いた。)

◇「にき」・「にけり」・「にたり」の「に」は、完了の助動詞「ぬ」の連用形
(もちろん形容動詞ナリ活用の連用形やナ変の連用形の活用語尾などの「~に」を除く。)

■強意(=確述)の助動詞
完了の助動詞「つ」・「ぬ」+推量の助動詞(「む」・「べし」など)の場合、原則として、「つ」・「ぬ」は「完了」ではなく、まだ終了していない未確定なことをはっきり述べる「強意(確述)」の助動詞となる。

※この用法の場合、推量の助動詞の意味は、「ス:推量」、「イ:意志」、「カ:可能」、「テ:適当」のどれかになる場合が多い。
例(児のそら寝) :「わろかりなん」(きっと~だろう。)

◇また、「つ・ぬ」単独でも「強意(確述)」の意味となる場合もある。

例(伊勢物語) :「はや船に乗れ。日も暮れ(早く船に乗れ。日も暮れてしまう。)
確定(完了)した事柄=「完了」(~た。)、未確定(未完了)の事柄=「強意(確述)」(~てしまう。)

■過去の助動詞「き」と「けり」《連用形接続》

◇過去の助動詞「けり」

①過去の回想・伝聞 (他者が体験した過去・人から聞いた話) 
※主に地の文で用いられる場合が多い。
「~たそうだ。~たのだった。」
例(徒然草) :「徒歩より詣でけり

②(今まで気づかなかった事実に気づいた驚き)詠嘆 
※主に和歌・会話文・心内文で用いられる場合が多い。(和歌の「けり」は必ず「詠嘆」)
※「なりけり(断定「なり」+けり)」、「べかりけり(推量「べし」の連用形「べかり」+けり)」の場合。
「~たのだなあ。~なことよ。」
例(徒然草) :「尊くこそおはしけれ

◇過去の助動詞「き」
・自分が直接体験した過去・確実に存在した事実。
例(小野小町) :「うたた寝に恋しき人を見てより夢てふものは頼みそめて

※特に徒然草では明確に使い分けているが、他の作品の場合は曖昧な使い分けも多い。

■断定の助動詞「なり」と伝聞・推定の助動詞「なり」
・断定の「なり」(~である。)・存在(~にある。~にいる。)
=《体言・連体形・一部の副詞や助詞に接続》
・伝聞(~そうだ。~と聞いている)・(聴覚に基づく)推定(~ようだ。)の「なり」。
=《終止形接続・ラ変型には連体形接続》

例(土佐日記) :「男もすなる①日記といふものを、女もしてみむとてするなり②
(男も書くと聞いている日記というものを、女も書いてみようと思って書くのである。)
なり①=伝聞推定 なり②=断定

・断定の「なり」が、「場所」+「なる(なりける)」+「人・物・場所」=「存在」(~にある。~にいる。)

・「あんなり」のような撥音便、または「あなり」のような撥音便無表記のあとの「なり」は「伝聞・推定」(「断定」であることはない)。

■助動詞「まし」《未然形接続》
助動詞「まし」は、主に反実仮想の構文で用いられる。 (もし)~だったら~だろうに。

・「せば~まし」 「せ」(過去の助動詞「き」の未然形)+「ば」順接仮定条件の接続助詞~「まし」
・「ませば~まし」 「ませ」(反実仮想の助動詞「まし」の未然形)+「ば」順接仮定条件の接続助詞~「まし」
・「ましかば~まし」 「ましか」(反実仮想の助動詞「まし」の未然形)+「ば」順接仮定条件の接続助詞~「まし」
・「仮定(活用語の未然形+ば)~まし」 
の4つがある。

「反実仮想」=事実とは反対のことを仮定して想像する。
例(小野小町) :「思ひつつ寝ればや人の見えつらむ夢と知りせば覚めざらましを」

・「疑問語~まし」=ためらい意思(~しようかしら。)
例 :「しやせまし、せずやあらまし」(しようかしら、しないでおこうかしら)

※未然形と已然形の「ましか」
接続助詞「ば」は未然形・已然形に接続するが、「ましかば」のときは未然形であって、已然形である例はない。已然形の「ましか」は「こそ」の結びのとき。

■助動詞「めり」・「らし」《終止形接続・ラ変型には連体形接続》

「推量」と「推定」の違いは根拠があるかどうか。根拠があって推測していれば「推定」。

◇「めり」
・推定(~のように見える。)=視覚に基づく推定。
・婉曲(~のように思える。)=断定を避けた婉曲

◇「らし」
・推定(~らしい。)=確かな根拠に基づく推定。(ほとんどが和歌での用例)

※伝聞・推定「なり」=聴覚に基づく推定。

■希望の助動詞「たし」《連用形接続》・「まほし」《未然形接続》

~たい。~てほしい。

■助動詞「ごとし」《連体形・格助詞「が・の」に接続(中世以降は体言にも接続)》

・比況(まるで)~ようだ。 ※比況=たとえ。
・例示(たとえば)~のような。


<最低限覚えておきたい主な助詞の接続・意味・用法>

■主な接続助詞 「ば」、「て」、「で」、「ど・ども」、「つつ」

◇「ば」《未然形接続または已然形接続》

・「順接」(先行文と後続文が対立せずに順当)⇔「逆接」(先行文と後続文が矛盾・対立)
・「確定条件」とは、「声のしければ」の場合だと、「声がした」という条件を確定したということ。

A、順接仮定条件の「ば」(~なら。)=《未然形接続》
B、順接確定条件の「ば」の意味は、後続する文脈に応じて、以下の3つに分かれる。=《已然形接続》
①原因・理由(~ので。)
②偶然的条件(~すると。)
③恒常的条件(~するといつも。)

さらに、接続助詞「ば」で、動作の主体(動作をする人)と客体(動作をされる人)がわかる場合が多い。 
「A(主体)がB(客体)に~《ば》、Bが~」
例(児のそら寝) :「えい」といらへたりければ、僧たち笑ふこと限りなし。
A(児)がB(僧たち)に~《ば》、B(僧たち)~

◇「て」《連用形接続》 (単純な接続)~て。

◇「で」《未然形接続》 (打消)~ないで。

◇「ど」・「ども」《已然形接続》 (逆接の確定条件)~けれども。~が。

◇「つつ」《連用形接続》 (動作の反復・継続)~し続けて。何度も~して。(動作の並行)~ながら。

◇「ながら」《連用形接続》 (逆接の確定条件)~けれども。~が。(動作の並行)~ながら。

◇「ものの・ものを・ものから・ものゆゑ」《連体形接続》  (逆接の確定条件)~けれども。のに。

■格助詞「の・が」の意味・用法
①主格 「~が。」
②連体格(連体修飾格) 「~の。」
③準体格 「~のもの。」
④連用格(比喩) 「~のように。」
例(崇徳院) :「瀬を早み岩にせかるる滝川われても末にあはむとぞ思ふ」
⑤同格 「~で。」
◇同格の格助詞「の」の例(徒然草) :「連歌しける法師、行願寺の辺にありけるが」
「連歌しける法師の、行願寺の辺にありける(法師)が」(連歌をやっていた僧で、行願寺のあたりに住んでいた僧が)
「連歌しける」=「行願寺の辺にありける」→同じ法師のことを表している。

◇同格の格助詞「が」の例(枕草子) :「短き袖がちなる着て」
「短き(衣)が袖がちなる(衣)着て」(丈が短い着物で、袖ばかり目立つのを着て)

※同格の格助詞「の」と「が」の違い
◇同格の格助詞「の」の前は「体言」、同格の格助詞「が」の前は「連体形(準体法)」

■引用の格助詞「と」の前は終止形か
引用の格助詞「と」の前では引用文が終止しますから、その前が活用語の場合は終止形であることが多いのは確かですが、それ以外に、命令形、「係り結び」による連体形・已然形、詠嘆・余情を表す「連体形止め」、「連用形中止法」などが考えられますし、体言や助詞の場合もあります。

■格助詞の省略

古文では格助詞が省略されている場合も多い。

・主格の格助詞「の・が」の省略 (「が」または「は」を補って訳出する。)
「春過ぎて~」 (春過ぎて~)
「秋来ぬと~」 (秋来たと~)

・連用格(目的語)の格助詞「を」の省略 (「を」を補って訳出する。)
「月見れば~」 (月見ると~)
「花さそふ~」 (花誘う~)

※格助詞「に」が省略されることは原則としてない。

■主な終助詞
・「ばや」《未然形接続》 (自己の願望)~したい。
・「なむ」《未然形接続》 (他への願望)~してほしい。
・「もがな」《体言・形容詞連用形などに接続》 (状態の願望)~があったらなあ。

■主な副助詞
・「だに」 類推(~さえ。) 最小限の希望(せめて~だけでも。)
・「すら」 類推(~さえ。)
・「さへ」 添加(その上~までも。)
・「し」 強意(特に訳出しない。)


<陳述の副詞(呼応の副詞)>

陳述の副詞(呼応の副詞)は、打消・禁止・推量・疑問(反語)・仮定・願望などと呼応する。
代表的なものを以下に示す。

・打消と呼応する代表的な例=「え」
「え~打消」(不可能を表し)~できない。
打消の語となるものには「ず・じ・まじ・で・なし」などがある。

・禁止と呼応する代表的な例=「な」
「な+動詞の連用形(カ変・サ変は未然形)+そ(終助詞)」
(懇願する穏やかな禁止を表し)~してくれるな。~しないでくれ。

・疑問・反語に呼応する例は、上段で示した「いかが」などで、ほとんどが連体形で結ぶ。


<古文学習に必須の古典文法の基礎知識>

「古文」を苦手科目から得意科目にする古典文法の基礎知識です。

◆「現代仮名遣い」のルールについては、「現代仮名遣い・発音(読み方)の基礎知識」の記事をどうぞ。

◆「用言の活用と見分け」については、「用言(動詞・形容詞・形容動詞)の活用と見分け方」の記事をどうぞ。

◆「助動詞の活用と接続」については、「助動詞の活用と接続の覚え方」の記事をどうぞ。

◆「音便」や「敬語(敬意の方向など)」については、 「音便・敬語の基礎知識」の記事をどうぞ。


<古文の学習書と古語辞典>

 古文を学ぶための学習書や古語辞典については、おすすめ書籍を紹介した下の各記事を見てね。
 《⇒古文学習書の記事へ》 

 《⇒品詞分解付き対訳書の記事へ》 

 《⇒古語辞典の記事へ》
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