HOME > 小倉百人一首 > 百人一首(3) あしひきの山鳥の尾のしだり尾の 品詞分解と訳

百人一首(3) あしひきの山鳥の尾のしだり尾の 品詞分解と訳

Sponsored Links
 今回は、「小倉百人一首」収録和歌(歌番号 3番)の現代語訳(口語訳・意味)・品詞分解・語句文法解説・修辞法(表現技法)・作者・出典・英訳・MP3音声・おすすめ書籍などについて紹介します。


小倉百人一首 歌番号(3) 柿本人麻呂
  

あしひきの山鳥の尾のしだり尾の ながながし夜をひとりかも寝む


<平仮名> (歴史的仮名遣い)

あしひきの やまどりのをの しだりをの ながながしよを ひとりかもねむ


<読み(発音)>

アシヒキノ ヤマドリノオノ シダリオノ ナガナガシヨヲ ヒトリカモネン


<音声> ※音声はDownloadして自由に使って下さい。

百人一首003.mp3
(クリックすると、ちょっと音痴なカワイイ棒読みちゃんが歌を読んでくれます。)


<現代語訳>

山鳥の尾の、あの垂れ下がった長い尾のように長い長い夜を、私はひとりで寂しく寝るのであろうかなあ。


<英訳>

Oh, the foot-drawn trail
Of the mountain-pheasant's tail
Drooped like down-curved branch!
Through this long, long-dragging night
Must I lie in bed alone?
  
『University of Virginia Library Japanese Text Initiative, Ogura Hyakunin Isshu 100 Poems by 100 Poets 』 より英訳を引用


<出典>

拾遺集・巻13・恋歌3・778 「題しらず・人麿」


<作者>

柿本人麻呂or人麿(かきのもとのひとまろ)
生没年未詳。持統天皇・文武天皇の頃の宮廷歌人で下級官吏であったといわれている。万葉集第二期。三十六歌仙の一人。歌風は重厚壮大で枕詞・序詞・対句などの多彩な技巧を凝らし、特に長歌は感動あふれる表現形式を完成させた。山部赤人とともに歌聖といわれる。
Sponsored Links
<品詞分解・語句文法解説>

あしひきの :枕詞 後世には「あしびきの」とも。

山鳥 :名詞 キジ科の野鳥で雄は尾が長い。

の :連体格の格助詞

尾(を) :名詞

の :同格の格助詞 ~で。~であって。

しだり尾(垂り尾) :名詞

の :連用格(比喩)の格助詞 (特に和歌で序詞を導く) ~のように。

ながながし :<文法特記>参照

夜(よ) :名詞

を :格助詞

ひとり :名詞 (「ひとりで」という意味の副詞とする説もある)

か :疑問の係助詞

も :詠嘆の係助詞 (「かも」で、一語の係助詞とする説もある)

寝(ね) :動詞ナ行下二段活用「寝(ぬ)」の未然形

む :推量の助動詞「む」の連体形

Sponsored Links


<文法特記>

『 ながながし夜 』 (二説ある)

①形容詞シク活用「長々し」の終止形。 
上代(奈良時代以前)の用法で、終止形の形で「夜」を連体修飾している。

②形容詞のシク活用の語幹に名詞「夜」がついたもの。


<古典文法の基礎知識>

「古文」を苦手科目から得意科目にする古典文法の基礎知識です。

◇「現代仮名遣い」のルールについては、「現代仮名遣い・発音(読み方)の基礎知識」の記事をどうぞ。

◇「用言の活用と見分け」については、「用言(動詞・形容詞・形容動詞)の活用と見分け方」の記事をどうぞ。

◇「助動詞・助詞の意味」や「係り結び」・「準体法」などについては、「古典文法の必須知識」 の記事をどうぞ。

◇「助動詞の活用と接続」については、「助動詞の活用と接続の覚え方」の記事をどうぞ。

◇「音便」や「敬語(敬意の方向など)」については、 「音便・敬語の基礎知識」の記事をどうぞ。


<和歌の基礎知識>

◎和歌の文法、用語、和歌集、歌風などについては、「和歌の文法・用語の基礎知識」をどうぞ。

◎和歌の修辞法(表現技法)については、「和歌の修辞法(表現技法)の基礎知識」をどうぞ。


<修辞法(表現技法)・係り結び>

・枕詞 :「あしひきの」は、「山」に係る枕詞 (山鳥に係るとの説もある)

・序詞 :上の句「あしひきの山鳥の尾のしだり尾の」は、「ながながし」を導く比喩による序詞

・脚韻(きゃくいん)=句の終わりの音が「オ段音」(第五句を除いて)

・係り結び :「か」→「む」

※「修辞法」が分からない人は、上にリンクをつけてある「修辞法の基礎知識」を、「係り結び」が分からない人は、「文法・用語の基礎知識」を読んでね。

Sponsored Links


<関連>

・山鳥は昼は雄雌が一緒にいて、夜になると谷を隔てて別々に寝るという言い伝えを踏まえた歌。

・待つ人の来ない嘆きを詠んだとする説が一般的だが、嘆いていた時に待ち人が来た喜びを言外に詠んだとする説もある。

・この歌は、下に示す万葉集・巻11・2802番の左注に、「ある本の歌に曰はく」作者不明で載っているが、平安時代以降に柿本人麻呂の歌とされるようになった。

万葉集・巻11・2802

思へども思ひもかねつあしひきの山鳥の尾の長きこの夜を


<私の一言>

「望月光 古典文法講義の実況中継」の「第11回」に「序詞というのは、歌の中でのイントロのようなもの」と書いてあったのを読んで「な~るほど」と思った。

この歌は上の句までが長~いイントロで、下の句の「ながながし夜をひとりかも寝む」が本文なんですね。

この長いイントロと「の」の多用で、山鳥の尾の長さと、待つ人の来ない夜の長さを表現しているんですね。

音楽でも和歌でもイントロがいいと、歌全体が映えます。


<和歌索引>

◆ブログ内の和歌を探す時は、カテゴリーではなく下に示す各一覧を利用してね。

和歌:ブログ収録・歌別一覧
和歌:ブログ収録・作者別一覧
万葉集:ブログ収録和歌一覧
古今集:ブログ収録和歌一覧
新古今集:ブログ収録和歌一覧
小倉百人一首:歌番号順一覧
伊勢物語:ブログ収録和歌一覧
ヨルタモリ:日本古典文学講座:百人一首一覧


<古文や和歌の学習書と古語辞典>

古文や和歌を学ぶための学習書や古語辞典については、おすすめ書籍を紹介した下の各記事を見てね。
《古文・和歌の学習書の記事へ⇒》

《品詞分解付き対訳書の記事へ⇒》

《古語辞典の記事へ⇒》
Sponsored Links
◇関連記事 (前後の7記事を表示)
 その他の記事は、右サイドメニューの「カテゴリ」(和歌などは索引)からどうぞ。
 

Comment (コメント)

 (任意) 未入力時 = よみ人しらず
 (任意) 入力時もコメント欄には非表示
 (必須) 管理人承認後に表示
Private

Categories (カテゴリ)
Search This Blog (ブログ内検索)
Featured Posts (特集・古典の基礎知識)
◆ 古典を得意科目にする記事
My Recommended Books (おすすめ書籍)
◆ 辞書と学習書の記事
Popular Posts (人気記事)
All Posts (すべての記事)
This and That (あれこれ)
  • ブログ記事に誤字や記述間違い等がある場合は、コメント欄から教えてください。
  • このブログのリンクはご自由にどうぞ。
    その際に連絡の必要はありません。
  • 古典作品の解説や和歌の鑑賞文などを目的とした中学生の読者さんもいるようですね。

    このブログの古典文法などは、詳しい文法的説明を求める高校生以上の読者を想定して書いています。一般の中学生には必要のない知識なので、わからなくても気にしないでね。
About This Blog (このブログについて)

んば

Author:んば
Since May 9,2014


くらすらん
暮らす欄くらすらむClass Run

この絵は私のお気に入りで
アンリ・ルソー『眠るジプシーの女』