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古典文法 助動詞の活用と接続の覚え方

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 今回は、古典文法の助動詞の活用・接続の覚え方を紹介します。

 なお、助動詞や助詞の意味については、「古典文法の必須知識」 の記事を参照してください。


 古文学習において助動詞を覚えることが文法力や読解力の重要なポイントの一つですね。

 「古文の活用が覚えられない」とか、「古文の助動詞の覚え方がわからない」なんて書込みをよく見かけるけど、この人たちは助動詞の活用表を丸暗記しようとするから覚えられないのです。
 こんなものをひとつずつ暗記していたら、爺さん・婆さんになるまで時間が必要かも知れませんよ(笑)

 ちょっとやり方を変えれば、古文の「用言(動詞・形容詞・形容動詞)や助動詞」(活用語)の活用、「助動詞・助詞」(付属語)の接続と意味は、ヤル気次第で必ず覚えることができます。

 助動詞の活用・接続・意味を覚えてしまえば、古文の学習が格段に楽になりますし、古典文法と言われるように漢文でも多少は必要な知識なので、まずは活用と接続を3日~1週間程度でさっさと覚えてしまいましょう。

  まず、9つの動詞の活用(四段、上一、上二、下一、下二、カ変、サ変、ナ変、ラ変)、形容詞のク・シク活用、形容動詞のナリ・タリ活用、計13の用言の活用を文句言わずにガッチリ覚えることが古文学習における最も大事な基本です。

 用言については、「古典 用言の活用と見分け方」の記事を参照してください。

 もしあなたが用言の活用を曖昧にしたまま、助動詞の活用を覚えようとしているのであれば、それは「非効率」です。

 用言の活用にはある程度の規則性があるから、活用表とニラメッコしながら呪文を唱えるように1~2日で覚えてしまいましょう。

◎特に形容詞には本活用(基本活用)と補助活用(カリ活用)があって、補助活用は主に助動詞を接続させて形容詞の表現を豊かにしたい欲求から「あり」を介在させて生まれたもの(く+あり→かり)。

《ただし断定の助動詞「なり」、比況の「やうなり」は、「高きなり」のように例外的に形容詞の本活用に接続する。また、形容詞の補助活用にある命令形は、形容詞の本活用には無かった命令表現をするために生まれたもので、形容詞の命令形に接続する助動詞はない。》

「久しかるべき」(伊勢物語)「めやすかるべけれ」(徒然草)などの初歩的な品詞分解ができずに、チンプンカンプン状態になってしまう人たちが、このブログの読者でも散見されますが、この人たちは、助動詞を覚える前段階として形容詞の活用を曖昧にしていることに原因があると思います。「べし」もク活用型ですからね。

 語学をマスターするために、まとまった文章や例文を覚える時と同じで、無理に暗記しようとしなくても、50回音読する根気さえあれば自然に覚えられます。頭の不器用な人は80回ね。

 動詞、形容詞、形容動詞の活用を覚えたら、その知識を基に、助動詞を接続別と活用型別に分類して、それぞれの助動詞がどの分類型に所属するのかを覚えればいいだけです。

※助動詞の活用表で、「○」表示されている活用形の無い(用例がない)部分は、初めのうちは気にしなくてもいいですよ。
細かいことよりも属する「活用型」を覚えることの方が重要です。
あなたの先生が、「○」の有り無しまでキッチリ覚えろという人であった場合は、自分の不幸を呪いながら諦めて覚えましょう(笑)
ちなみに、活用表で「()」(カッコ)表示されてるものは、「限られた用例しかない」ということです。

 高校1年生のなるべく早い段階で一気に覚えてしまえば、古文が得意科目になって得点源にもなりますし、授業を復習代わりにして、記憶を定着させることができるので、余った時間を英語などの語学や理数系の学習に十分使うことができますね。

 また、古典文法書や古語辞典などで活用形(未然形・連用形・終止形・連体形・已然形・命令形)の働き・用法も理解しておきましょう。
 特に連用形では「中止法」、連体形では「準体法」・「連体形止め」・「係助詞や疑問語による結び」、已然形では「係助詞による結び」、これらをしっかり理解しておくこと。
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<接続って何?>

接続=「前の語」に「くっ付く」こと。(※「後の語」ではありません。)

例えば、打消の助動詞「ず」は「未然形接続」だから、その「前の語」は「未然形」になる。
「捨つ」=タ行下二段活用《て・て・つ・つる・つれ・てよ》
例 :「捨てず」(捨てない)=「捨て」(タ行下二段活用「捨つ」の未然形)+「ず」(打消の助動詞)

完了の助動詞「つ」は「連用形接続」だから、その「前の語」は「連用形」になる。
例 :「捨てつ」(捨てた)=「捨て」(タ行下二段活用「捨つ」の連用形)+「つ」(完了の助動詞)

接続の知識があれば、上一段・上二段・下一段・下二段の動詞のように未然形と連用形が同じ語形でも見分けることができるようになります。
だから、助動詞や助詞の「接続」を覚えることが重要なのです。

さらに、上の2つを合わせると、「捨てざりつ」(捨てなかった)となる。
=「捨て」(タ行下二段活用「捨つ」の未然形)+「ざり」(打消の助動詞「ず」の連用形)+「つ」(完了の助動詞)
※打消の助動詞「ず」は形容詞と同じで、「ず(な)」の系列(本活用)と「ざら・ざり」の系列(補助活用)があり、ほとんどの助動詞は補助活用に接続するから、助動詞「つ」が接続するには「捨てつ」ではなく、「捨てざりつ」となりますね。

ちなみに、基本的な文法事項として、以下の基本を忘れている人たちがいますよ。

「連用形」は、「用言」に連なる形(=後に用言が続く形)だから、基本的には「連用形」の「後の語」は「用言」。
例 :「捨て給ふ」=「捨て」(タ行下二段活用「捨つ」の連用形)+「給ふ」(ハ行四段活用=用言)
(もちろん、後の語が助動詞・助詞の場合や連用形中止法などの場合を除く。)

「連体形」は、体言に連なる形(=後に体言が続く形)だから、基本的には「連体形」の「後の語」は「体言」。
給ふ(たまふ)=ハ行四段活用《は・ひ・ふ・ふ・へ・へ》(または、ハ行下二段活用《へ・へ・ふ・ふる・ふれ・へよ》)
例 :「捨て給ふとき」=「捨て(タ・下二・用)」+「給ふ」(ハ行四段活用「給ふ」の連体形)+「とき」(名詞=体言)
(もちろん、後の語が助動詞・助詞の場合や連体形止め、係り結びによる連体形の結びなどの場合を除く。)

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◇助動詞の接続別分類


<未然形接続>

四ナラ「る」「す」、その他「らる」「さす」

「しむ」「ず」「じ」「む」「むず」「まし」「まほし」


※「る」「す」は四段・ナ変・ラ変の未然形に接続する。
(四段・ナ変・ラ変の未然形活用語尾は「書か」の「か」のようにア段だから、助動詞「る」「す」は動詞のア段音に接続する性質を持つということ。)
※「らる」「さす」は、四段・ナ変・ラ変以外の未然形に接続する。


<連用形接続>

「つ」「ぬ」「たり(完了)」「き」「けり」「けむ」「たし」

※「たり(完了)」はラ変以外の連用形に接続する。
※「き」はカ変・サ変には特殊接続で未然形・連用形に接続する(こし、こしか、きし、きしか、せし、せしか、しき)。


<終止形接続(ラ変型には連体形接続)>

「らむ」「らし」「めり」「べし」「まじ」「なり(推・伝)」「べらなり」

※「久しかるべき」のように、形容詞の補助活用・形容動詞・打消の助動詞「ず」を含むラ変型の場合は、連体形に接続する。 
(このグループの助動詞はウ段音に接続する性質を持つということ。)
形容詞活用型や助動詞「ず」の補助活用に終止形がないのはこのため。
だだし、「多し(おほし)」だけは例外で、補助活用に「多かり(終止形)」と「多かれ(已然形)」がある。


<体言・連体形接続>

「たり(断定)」体言に接続する。

「なり(断定)」体言・連体形、一部の副詞・助詞に接続する。
※例外的に形容詞の本活用に接続する(例:高きなり)。

「ごとし」「やうなり」連体形・助詞「の」「が」などに接続する。
※中世以降「ごとし」は体言に接続する場合もある。
※「やうなり」は名詞「やう」+「断定・なり」から成立した助動詞なので、形容詞の本活用に接続する(例:かろがろしきやうなり)。

<完了の助動詞「り」>

さみしい(サ未四已) 「り」 

※サ変の未然形・四段活用の已然形に接続する。
助動詞「り」の前はエ段音だということ。※前がア段音である助動詞「る」との識別時に重要。
※(サ未四命)とする立場もあり、上代(奈良時代以前)のサ変命令形には「せよ」だけではなく「せ」もあったとされていることから、(サ命四命)とする立場もある。

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◇助動詞の活用型別分類


<四段型> 
「む」「らむ」「けむ」

<下二段型> 
「る」「す」「らる」「さす」「しむ」「つ」

<サ変型> 
「むず」

<ナ変型> 
「ぬ」

<ラ変型> 
「たり(完了)」「けり」「めり」「なり(推・伝)」「り」

<ク活用型> 
「べし」「たし」「ごとし」

<シク活用型> 
「まじ」「まほし」

<ナリ活用型> 
「なり(断定)」「やうなり」「べらなり」

<タリ活用型> 
「たり(断定)」

<無変化型> 
「じ」「らし」

<特殊型> 
「ず」「き」「まし」


※助動詞を活用型に分類すると、ある程度似た形でグループを形成していますね。
 
新たに活用を覚える必要があるのは特殊型の「ず」「き」「まし」だけです。

◇活用特殊型助動詞「ず」・「き」・「まし」の活用表

特殊型未然形連用形終止形 連体形已然形命令形 
(ず)
(な)
ざら

(に)
ざり




ざる


ざれ


ざれ
(せ)しか
ましましか
(ませ)

まし
まし
ましか

 
※助動詞「ず」の「な・に」は、古い未然形(例:くに・知ら)。
※未然形「ず」(例:は)を認めない立場もある。未然形の「ず」を認める立場では「は」を接続助詞、認めない立場では「ず」を連用形・「は」を係助詞とする(形容詞の未然形「く・しく」の有無もこれと同じ)。
※助動詞「き」の未然形「せ」は、反実仮想構文「ば~まし」の「せ」。
※助動詞「まし」の未然形「ませ」は、反実仮想構文「ませば~まし」の「ませ」。


 活用と接続を覚えたあとは、「望月光 古典文法講義の実況中継(1・2)」などの文法の参考書で、助動詞の意味・訳し方や「ぬ・ね・る・れ・なり・なむ・に」などの識別について徐々に学びながら、「徒然草」のような比較的やさしい作品の「品詞分解付き対訳書」などで実際になるべく多くの作品を読んで練習していけばOK!

 まずは、以下に示す助動詞の「大まかな意味」を覚えておきましょうね。

◇助動詞の意味別分類

・使役・尊敬 「す・さす・しむ」

・受身・可能・自発・尊敬 「る・らる」

・打消 「ず」

・過去 「き・けり」

・完了 「つ・ぬ・たり・り」

・推量 「む・むず・らむ・けむ・まし・べし・べらなり」

・推定 「めり・らし・なり(伝・推)」

・打消推量 「じ・まじ」

・希望 「たし・まほし」

・断定 「なり・たり」

・比況 「ごとし・やうなり」

 これらの大まかな意味別分類を覚えたら、それぞれの助動詞が持つ細かな意味や訳し方を徐々に覚えていきましょう。

 特に多義語の重要な助動詞である「む」の意味は「スイカ買え」、「べし」なら「スイカ止めてギョ」などのように覚えます。

 そして、助動詞を覚えたら、次に主な接続助詞や終助詞を中心に助詞の接続と意味や訳し方などをマスターすれば、品詞分解に基づいた正確な古文解釈ができるようになります。

 中でも、接続助詞の「ば」は、未然形(順接仮定条件)と已然形(順接確定条件)にしか接続しないことは最低限覚えておきましょうね。

 助詞は、数は多いですが、活用はありませんから、まずは、それぞれの助詞にはどの語が属しているのかを自分で適当にゴロを考えるなどして覚えましょう。

 ゴロは、他人が作ったものよりも、自分に合ったものを、自分で考えて作った方が覚えやすいですよ。人それぞれ趣味嗜好や人生経験などによって暗記キーワードやメロディのようなものが違いますからね。

 例えば、私の場合だと、格助詞「が・の・を・に・へ・と・より・から・にて・して」なら、「ガの鬼ヘト(ヘト)よりからにてして~♪」、副助詞「だに・すら・さへ・のみ・ばかり・など・まで・し・しも」なら、「ダニすらさへノミばかり~などまでししも~♪」って感じで覚えてます。

 接続助詞と終助詞は、数が多くて、接続も多様なので覚えにくいですが、自分なりに上手に分類すれば覚えられます。

 自分の好きな歌に合わせて覚えるとか、自分なりにゴロを考えるとか、自分に合った覚え方を工夫しながら、頑張って覚えて下さいね。

 なお、このブログでは、和歌や「徒然草」・「枕草子」などの主要作品を品詞分解つきで投稿していますから、品詞分解の練習に使って下さい。特に入門者は和歌で練習をするといいですよ。
 収録作品の詳細は、「品詞分解:ブログ収録作品一覧」からどうぞ。

■このブログの古典文法関連記事
・「現代仮名遣いのルール」=「現代仮名遣い・発音(読み方)の基礎知識」
・「用言の活用と見分け方」=「用言(動詞・形容詞・形容動詞)の活用と見分け方」
・「助動詞・助詞の意味」や「係り結び」・「準体法」などの基本文法項目=「古典文法の必須知識」
・「音便」や「敬語(敬意の方向など)」= 「音便・敬語の基礎知識」


<古文の学習書と古語辞典>

 古文を学ぶための学習書や古語辞典については、おすすめ書籍を紹介した下の各記事を見てね。
 《⇒古文学習書の記事へ》 

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