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百人一首(5) 奥山にもみぢ踏み分け鳴く鹿の 品詞分解と訳

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 今回は、「小倉百人一首」収録和歌(歌番号 5番)の現代語訳(口語訳・意味)・品詞分解・語句文法解説・修辞法(表現技法)・作者・出典・英訳・MP3音声・おすすめ書籍などについて紹介します。


小倉百人一首 歌番号(5) 猿丸大夫
  
  
奥山にもみぢ踏み分け鳴く鹿の 声聞く時ぞ秋は悲しき


<平仮名> (歴史的仮名遣い)

おくやまに もみぢふみわけ なくしかの こゑきくときぞ あきはかなしき


<読み(発音)>

オクヤマニ モミジフミワケ ナクシカノ コエキクトキゾ アキワカナシキ


<音声> ※音声はDownloadして自由に使って下さい。

百人一首005.mp3
(クリックすると、ちょっと音痴なカワイイ棒読みちゃんが歌を読んでくれます。)


<現代語訳>

※この歌の解釈には諸説あるので、その違いを知るために辞書・参考書の訳を引用しておきます。

奥深い山の中で、散り敷いた紅葉を踏みわけて鳴いている鹿の声を聞く時が、秋はとりわけ悲しく感じられる。
(旺文社古語辞典より訳を引用)

奥山で散り積もった紅葉を踏み分けて、鳴く鹿の声を聞くとき、ほんとうに秋が悲しく感じられることだ。
(ベネッセ古語辞典別冊より訳を引用)

奥山で、もみじの落葉を踏み分けて鳴く鹿の、(そのあわれな)声を聞く時がひとしお、秋は悲しい。
(中道館古典新釈シリーズ百人一首より訳を引用)

秋と言えば、一般にもの悲しい季節。でも、暁近く、里近くから奥山に、もみじを踏みけながら帰って行く鹿の鳴き声を、寝覚めの耳に聞く時が、なんといっても身にしみて秋は悲しい。
(例解古語辞典より訳を引用)


<解釈特記>

鹿の鳴き声というものは秋の物悲しさ、寂しさを連想させますね。

ところで、この歌は下記3点において解釈が分かれています。

① (A)作者は鹿と同じ奥山にいる or (B)作者は奥山から離れた所にいる
※(A)「奥山に」→「聞く」に係る or (B)「奥山に」→「鳴く」に係る 

② もみぢを踏み分けるのは (A)鹿 or (B)人

③ 「奥山に」を、(A)奥山で or (B)奥山へ向かって帰る

旺文社古語辞典 ①(A)、②(A)、③(A)、
ベネッセ古語辞典 ①(A)、②(B)、③(A)、
中道館古典新釈シリーズ百人一首 ①(B)、②(A)、③(A)、
例解古語辞典 ①(B)、②(A)、③(B)

わたしは、例解古語辞典の訳、①(B)、②(A)、③(B)、が好きですね。

③を(B)とした方が秋の物悲しさが一層際立つような気がします。
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<英訳>

In the mountain depths,
Treading through the crimson leaves,
The wandering stag calls.
When I hear the lonely cry,
Sad--how sad!--the autumn is.
  
『The English translation of Ogura Hyakunin Isshu from Hyakunin-Isshu (Single Songs of a Hundred Poets)and Nori no Hatsu-Ne (The Dominant Note of the Law)
by Clay MacCauley Yokohama: Kelly and Walsh, Ltd., 1917 Revision』 より英訳を引用


<出典>

古今集・巻4・秋歌上・215 
「是貞の親王の家の歌合の歌・よみ人しらず」

古今集では「よみ人しらず」となっているが、猿丸太夫全集に収録されているため百人一首では猿丸太夫作とされている。

是貞の親王の家の歌合(これさだのみこのいへのうたあはせ)
寛平5年(893年)光孝天皇第二皇子の是貞親王家で催された歌合で、秋の歌のみ約90首が残っていて、古今集には22首が入っている。
歌合=左右二組に分かれて、決められた題のもと一首ずつ和歌の優劣を競う遊戯


<作者>

猿丸大夫(さるまるだいふ・だゆう)
生没年未詳。平安初期の伝承上の歌人。三十六歌仙の一人。

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<品詞分解・語句文法解説>

奥山 :名詞

に :格助詞

もみぢ(紅葉) :名詞

踏み分け :動詞カ行下二段活用「踏み分く」の連用形

鳴く :動詞カ行四段活用「鳴く」の連体形

鹿 :名詞

の :格助詞
 
声(こゑ) :名詞

聞く :動詞カ行四段活用「聞く」の連体形

時 :名詞

ぞ :係助詞

秋 :名詞

は :係助詞

悲しき :形容詞シク活用「悲し」の連体形


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<修辞法(表現技法)・係り結び>

・句切れを含め、修辞は特になし。

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