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漢詩の規則(形式・押韻・対句)と覚えておきたい詩人

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 今回は、漢詩の規則(形式・押韻・対句)と基礎知識(漢詩のリズムや覚えておきたい詩人)などについて紹介します。

 また、このブログで紹介した各漢詩記事へのリンクを付けておきます。


<古体詩>

◇古体詩=近体詩以前の形式(※時代による区分ではない)

四言古詩五言古詩七言古詩楽府
・句数は自由。
・偶数句に押韻するが規則はゆるやか。
途中で韻を換える「換韻」と同じ韻で通す「一韻到底」がある。
字数・句数は自由で長短句が入り混じる。


・換韻(かんいん)の古詩の例 :「桃夭(詩経)」

・近体詩と同じ一韻到底(いちいんとうてい)の古詩の例 :「飲酒(陶潜)」


<近体詩>

◇近体詩=唐代に完成した形式(絶句・律詩)

五言絶句七言絶句五言律詩七言律詩
句数4句8句
字数一句5字・計20字一句7字・計28字一句5字・計40字一句7字・計56字
押韻2・4句の末尾1・2・4句の末尾2・4・6・8句の末尾1・2・4・6・8句の末尾
対句用いても用いなくてもよい。原則、頷聯(3・4句)&頸聯(5・6句)が対句。


◇絶句=起句(第一句)、承句(第二句)、転句(第三句)、結句(第四句)

◇律詩=二句をまとめて「聯(連):れん」という。
・首聯(しゅれん)=第一句・第二句
・頷聯(がんれん)=第三句・第四句
・頸聯(けいれん)=第五句・第六句
・尾聯(びれん)=第七句・第八句


<対句(ついく)>

◇対句=二句の文法構造が同じで(品詞が同じとは限らない)、互いの各語が意味などの上で何らかの対応をしていること。

互いの各語は、意味・内容が対称的なもの(シンメトリー)・同類のものになっているか、できれば対照的なもの(コントラスト)になっていることが望ましい。

・対句の例 :「春望(杜甫)」の首聯(第一句と第二句) 
【国破山河在 城春草木深 : 国破れて山河在り、城春にして草木深し】

《文法構造》
国(名詞・主語)破(動詞・述語)山河(名詞・主語)在(動詞=用言・述語)           
城(名詞・主語)春(動詞・述語)草木(名詞・主語)深(形容詞=用言・述語) 
※「春」は、ここでは「春になる」という意味の動詞として扱う。

《意味・内容の対応》
国(区域)破(状況・破壊)山河(自然・無生物)在(存在・状態)           
城(区域)春(状況・再生)草木(自然・生物)深(存在・状態) 
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◇流水対(りゅうすいつい)=二句が一続きになって一つのまとまった意味を表している対句。

・流水対の例 :「月夜(杜甫)」の頷聯(第三句と第四句) 
【遥憐小児女 未解憶長安 : 遥かに憐む小児女の、未だ長安を憶ふを解せざるを】

《文法構造》
遥(副詞)憐(動詞)小(形容詞=用言)児女(名詞)
未(副詞)解(動詞)憶(動詞=用言)長安(名詞)


◇偸春体(とうしゅんたい)=頷聯(第三句と第四句)が対句ではなく、首聯(第一句と第二句)が、頷聯(第三句と第四句)の対句を先取りして対句となっているもの。借春体(しゃくしゅんたい)ともいう。
・偸春体の例 :「送友人(李白)」


◇全対(ぜんつい)=すべての句が対句になっているもの。
・全対の例 :「登高(杜甫)」


<押韻(おういん)>

◇押韻=朗詠や聞いたときに心地よくなるように、同じ響きの字を句末に置くこと(脚韻:きゃくいん)。 

・塵(jin)・新(sin)・人(jin
・杯(hai)・催(sai)・回(kai

◇踏み落とし(ふみおとし)=七言ではあるが第一句末に押韻しない場合をいう。
・踏み落としの例 :「九月九日憶山東兄弟(王維)」


ほとんどの押韻は日本語の漢字音でもわかりますが、あくまでも詩人たちが生きていた時代(唐や宋など)の中国音での押韻です。

中高生の漢詩学習に平仄(ひょうそく)の知識は必要ありませんが、押韻の中には「行行重行行(文選)」の「離・涯・知・枝」の「涯」のように日本語の漢字音ではわからない(現代の中国音でもわからない)ために漢和辞典で平仄を調べて、平韻なのか仄韻なのかを確認しなければならない場合もあります。

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<漢詩のリズム>

基本的には、白文(漢文の原文)として、「五言=2+3」、「七言=4(2+2)+3」の構成になっている。
これを踏まえて、読み・解釈をすると上手くいく場合が多い。

例えば、「竹里館(王維)」の起句(第一句)の【独坐幽篁裏】を、《独り 幽篁の裏に坐す》(1+4)ではなく、《独り坐す 幽篁の裏》(2+3)と訓読したり、「登鸛鵲楼(王之渙)」の結句(第四句)の【更上一層楼】を、《更に 一層の楼に上る》(1+4)ではなく、《更に上る 一層の楼》(2+3)ように日本語としては倒置的に訓読するのが一般的なのは、原文の構成とリズムを損なわないようにしているため。


<覚えておきたい詩人>

◆東晋の詩人 「陶潜(とうせん:淵明(えんめい)=あざな」 《田園詩人》 「飲酒」

◆盛唐の四大詩人

「杜甫(とほ)」=詩聖(しせい) 《社会の矛盾・人生の苦悩》 「旅夜書懐」「登岳陽楼」

「李白(りはく)」=詩仙(しせん) 《天才肌・自由奔放》 「静夜思」「峨眉山月歌」

「王維(おうい)」=詩仏(しぶつ) 《自然派》 「鹿柴」「送元二使安西」

「孟浩然(もうこうねん)」 《自然派》 「春暁」「臨洞庭」

◆辺塞詩人 辺塞詩(へんさいし)=唐代に中国西域の異民族との戦争・風物・生活などを詠んだ詩。

「王翰(おうかん):初唐」 「涼州詩」

「高適(こうせき):盛唐」 「除夜作」

「岑参(しんじん):盛唐」 「磧中作」

◆中唐の詩人

「白居易(はくきょい:楽天(らくてん)=あざな)」 《平易流暢》 「香炉峰下~」「八月十五日夜~」

「柳宗元(りゅうそうげん)」 《自然派》 「江雪」

◆晩唐の詩人 「杜牧(とぼく)」 「江南春」「山行」

◆北宋の詩人 「蘇軾(そしょく)」 「春夜」

◆南宋の詩人 「陸游(りくゆう)」 「遊山西村」

◆明の詩人 「高啓(こうけい)」 「尋胡隠君」
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