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百人一首(6) かささぎの渡せる橋に置く霜の 品詞分解と訳

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 今回は、「小倉百人一首」収録和歌(歌番号 6番)の現代語訳(口語訳・意味)・品詞分解・語句文法解説・修辞法(表現技法)・作者・出典・英訳・MP3音声・おすすめ書籍などについて紹介します。


小倉百人一首 歌番号(6) 中納言家持(大伴家持)
  

かささぎの渡せる橋に置く霜の 白きを見れば夜ぞ更けにける


<読み(発音)>

カササギノ ワタセルハシニ オクシモノ シロキヲミレバ ヨゾフケニケル


<音声> ※音声はDownloadして自由に使って下さい。

百人一首006.mp3
(クリックすると、ちょっと音痴なカワイイ棒読みちゃんが歌を読んでくれます。)


<現代語訳>

天の川にカササギが翼を連ねて渡した橋に降りた霜が真っ白なのを見ると、もうすっかり夜もふけてしまったのだなあ(という思いがする)。

この歌は解釈において二説あります。
①天の川でカササギが渡す橋に置く霜
②宮中を天上に見立てて、その階段に置く霜

わたしは、幻想的なイメージが沸いてくる①の方が好きですね。


<英訳>

If I see that bridge
That is spanned by flights of magpies
Across the arc of heaven
Made white with a deep-laid frost,
Then the night is almost past.
  
『University of Virginia Library Japanese Text Initiative, Ogura Hyakunin Isshu 100 Poems by 100 Poets 』 より英訳を引用


<出典>

新古今集・巻6・冬歌・620 「題しらず・中納言家持」

※ただし、万葉集には収録されていないことなどから大伴家持の作という確証はないらしい。


<作者>

大伴家持(おおとものやかもち)
718頃~785。奈良時代の歌人。万葉集第四期歌人。大伴旅人の子。中納言従三位。三十六歌仙の一人。
越中守などを経て中納言となったが晩年は藤原氏の隆盛により政治的には不遇であった。繊細で優雅な歌風。万葉集の最終的編者と言われている。
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<品詞分解・語句文法解説>

かささぎ(鵲) :名詞 カラス科の鳥。カラスよりも小さく肩と腹部は白い。尾が長い。

の :主格の格助詞

渡せ :動詞サ行四段活用「渡す」の已然形

る :完了の助動詞「り」の連体形

橋 :名詞

に :格助詞

置く :動詞カ行四段活用「置く」の連体形

霜(しも) :名詞

の :主格の格助詞

白き(しろき) :形容詞ク活用「白し(しろし)」の連体形
※準体法なので、あとに「こと」などを補って訳出。
準体法については、下にリンクを付けてある「古典文法の必須知識」を読んでね。

を :格助詞

見れ :動詞マ行上一段活用「見る」の已然形

ば :順接確定条件(偶然的条件)の接続助詞 ~すると。

夜(よ) :名詞

ぞ :係助詞

更け(ふけ) :動詞カ行下二段活用「更く(ふく)」の連用形

に :完了の助動詞「ぬ」の連用形
※「にけり(過去)」「にき(過去)」「にたり(存続)」の「に」は完了の助動詞。

ける :詠嘆の助動詞「けり」の連体形 
※和歌で使われている助動詞「けり」は詠嘆。

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<文法特記>

『 鵲(かささぎ)の橋 』
①陰暦七月七日の夜、牽牛と織女(しょくじょ)の二星が会う時、カササギが天の川に翼を並べて渡すという想像上の橋。中国から七夕伝説(白孔六帖)とともに日本に伝わる。
②宮中の殿舎の階段。


<古典文法の基礎知識>

「古文」を苦手科目から得意科目にする古典文法の基礎知識です。

◇「現代仮名遣い」のルールについては、「現代仮名遣い・発音(読み方)の基礎知識」の記事をどうぞ。

◇「用言の活用と見分け」については、「用言(動詞・形容詞・形容動詞)の活用と見分け方」の記事をどうぞ。

◇「助動詞・助詞の意味」や「係り結び」・「準体法」などについては、「古典文法の必須知識」 の記事をどうぞ。

◇「助動詞の活用と接続」については、「助動詞の活用と接続の覚え方」の記事をどうぞ。

◇「音便」や「敬語(敬意の方向など)」については、 「音便・敬語の基礎知識」の記事をどうぞ。


<和歌の基礎知識>

◎和歌の文法、用語、和歌集、歌風などについては、「和歌の文法・用語の基礎知識」をどうぞ。

◎和歌の修辞法(表現技法)については、「和歌の修辞法(表現技法)の基礎知識」をどうぞ。


<修辞法(表現技法)・係り結び>

・見立て :宮中の階段を天上に見立てているとする説もある。

・係り結び :「ぞ」→「ける」

※「修辞法」が分からない人は、上にリンクをつけてある「修辞法の基礎知識」を、「係り結び」が分からない人は、「文法・用語の基礎知識」を読んでね。


<関連>

大和物語・125段 壬生忠岑(みぶのただみね)


かささぎの渡せる橋の霜の上を夜半にふみわけことさらにこそ


カササギが渡している橋の霜の上を、夜中に踏み分けてわざわざお訪ねしたのです。(ついでにお寄りしたのではありません。)

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<関連 :ヨルタモリ>

日本古典文学講座 第3回 百人一首 (2014/11/16)
国文学者 李澤京平(すももざわきょうへい)教授

六 中納言家主(ちゅうなごんやぬし)


かさぶたのめくれる端に置く干物 しらきりとうし夜ふいに蹴る


<読み>

かさぶたの めくれるはしに おくひもの しらきりとうし よるふいにける

※「しらきりとし」は、「しらきりとし」の誤りですね。


<歌意・解説>

足のかさぶたをめくるうちに、いつの間にか眠ってしまった作者が、ふと目覚めると、かさぶたがめくれている端に干物が置いてあった。嫁の仕業(しわざ)だと思い、問い詰めるが、「あたしは知らない、あたしは知らない」とシラを切り通す嫁。そんな嫁に腹が立って、ふいに、思わず蹴ってしまったという夫婦間の深い愛情を思わせる一夜の光景を微笑ましい(ほほえましい)表現を用いて詠んだ歌。


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