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百人一首(10) これやこの行くも帰るも別れては 品詞分解と訳

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 今回は、「小倉百人一首」収録和歌(歌番号 10番)の現代語訳(口語訳・意味)・品詞分解・語句文法解説・修辞法(表現技法)・作者・出典・英訳・MP3音声・おすすめ書籍などについて紹介します。


小倉百人一首 歌番号(10) 蝉丸
  
  
これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬも逢坂の関


<平仮名> (歴史的仮名遣い)

これやこの ゆくもかへるも わかれては しるもしらぬも あふさかのせき


<読み(発音)>

コレヤコノ ユクモカエルモ ワカレテワ シルモシラヌモ オーサカノセキ


<音声> ※音声はDownloadして自由に使って下さい。

百人一首010.mp3
(クリックすると、ちょっと音痴なカワイイ棒読みちゃんが歌を読んでくれます。)


<現代語訳>

これがまあ、あの東国へ行く人も都へ帰る人もここで別れ、知っている人も知らない人も出会うという逢坂の関なのだなあ。

(この歌を百人一首の単独の歌として見ると、逢坂の関を初めて見た感動を表しているような印象を受けますが、後撰集の詞書を踏まえると、逢坂の関での日々の様々な人間模様を見て詠んだことが解りますね。ははぁ~ん、だから逢坂の関って言うのかぁ。なるほど、なるほどって感じですかねぇ。この歌は対句がリズム感を生んでいるんですね。)


<英訳>

Truly, this is where
Travelers who go or come
Over parting ways--
Friends or strangers--all must meet:
The gate of "Meeting Hill."
  
『University of Virginia Library Japanese Text Initiative, Ogura Hyakunin Isshu 100 Poems by 100 Poets 』 より英訳を引用


<出典>

後撰集・巻15・雑歌1・1089 「逢坂の関に庵室をつくりて住み侍りけるに、行き交ふ人を見て・蝉丸」


後撰集では第三句が、「別れては」→「別れつつ」になっている。

これやこの行くも帰るも別れつつ知るも知らぬも逢坂の関


つつ :接続助詞 (複数の人が同じ動作をすることを表し)それぞれに~して。


<作者>

蝉丸(せみまる)
生没年不詳。平安時代前期の歌人。宇多天皇の第八皇子敦実親王の雑色(ぞうしき:蔵人所や御所などで雑役を務めた職)とする説、醍醐天皇の第四皇子とする説などがある。盲目で琵琶の名手といわれる。
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<品詞分解・語句文法解説>

これ :代名詞

や :詠嘆の間投助詞

こ :代名詞

の :格助詞
◇「 これやこの(此や此の) 」 :連語: これがまあ、あの。

行く(ゆく) :動詞カ行四段活用「行く」の連体形
◇準体法なので、あとに「人」などを補って訳出する。このあとの「帰る」・「知る」・「知らぬ」の「ぬ」も同じ。
準体法については、下にリンクを付けてある「古典文法の必須知識」を読んでね。

も :係助詞

帰る(かへる) :動詞ラ行四段活用「帰る」の連体形

も :係助詞

別れ :動詞ラ行下二段活用「別る」の連用形

て :接続助詞

は :係助詞

知る :動詞・ラ行四段活用「知る」の連体形

も :係助詞

知ら :動詞ラ行四段活用「知る」の未然形

ぬ :打消の助動詞「ず」の連体形

も :係助詞

逢坂の関(あふさかのせき) :歌枕
平安時代の三関(鈴鹿・不破・逢坂)の一つ。
滋賀県大津市と京都府との境界付近。京の都から東国への出入り口。

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<古典文法の基礎知識>

「古文」を苦手科目から得意科目にする古典文法の基礎知識です。

◇「現代仮名遣い」のルールについては、「現代仮名遣い・発音(読み方)の基礎知識」の記事をどうぞ。

◇「用言の活用と見分け」については、「用言(動詞・形容詞・形容動詞)の活用と見分け方」の記事をどうぞ。

◇「助動詞・助詞の意味」や「係り結び」・「準体法」などについては、「古典文法の必須知識」 の記事をどうぞ。

◇「助動詞の活用と接続」については、「助動詞の活用と接続の覚え方」の記事をどうぞ。

◇「音便」や「敬語(敬意の方向など)」については、 「音便・敬語の基礎知識」の記事をどうぞ。


<和歌の基礎知識>

◎和歌の文法、用語、和歌集、歌風などについては、「和歌の文法・用語の基礎知識」をどうぞ。

◎和歌の修辞法(表現技法)については、「和歌の修辞法(表現技法)の基礎知識」をどうぞ。


<修辞法(表現技法)など>

・歌枕 :逢坂の関

・体言止め :逢坂の関

・掛詞 :「あふ」が、「逢坂」と「逢ふ」の掛詞

・対句 :「行くも帰るも」、「知るも知らぬも」

※「修辞法」が分からない人は、上にリンクをつけてある「修辞法の基礎知識」を読んでね。

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<関連 :ヨルタモリ>

日本古典文学講座 第4回 百人一首 (2014/11/30)
国文学者 李澤京平(すももざわきょうへい)教授

十 熊蝉丸(くまぜみまる)


あれやこれいくもいかぬも別れては 知るも知らぬも大阪の人


<読み>

あれやこれ いくもいかぬも わかれては しるもしらぬも おおさかのひと


<歌意・解説>

「あれやってみよう、これやってみよう」と男女の夜の営みに工夫をこらしながら、「イッた」とか「イカない」とか感想を述べ合うほど仲睦まじいカップルであっても、一旦別れてしまえば、縁戚関係・親戚関係によって別れた後の互いの動向もすべて知れ渡ってしまう京都ではなく、知らない間柄の単なる大阪の人になってしまう。永遠・不変のものはないという世の中の無常を詠んだ歌。

李澤教授によると、
「知るも知らぬも」は、反対のことを言って一方を強調する手法で「知らない」という意味だそうです・・・(笑)


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