HOME > 小倉百人一首 > 百人一首(11) わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと 品詞分解と訳

百人一首(11) わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと 品詞分解と訳

Sponsored Links
 今回は、「小倉百人一首」収録和歌(歌番号 11番)の現代語訳(口語訳・意味)・品詞分解・語句文法解説・修辞法(表現技法)・作者・出典・英訳・MP3音声・おすすめ書籍などについて紹介します。


小倉百人一首 歌番号(11) 参議篁(小野篁)
  
  
わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと 人には告げよ海人の釣舟


<読み(発音)>

ワタノハラ ヤソシマカケテ コギイデヌト ヒトニワツゲヨ アマノツリブネ


<音声> ※音声はDownloadして自由に使って下さい。

百人一首011.mp3
(クリックすると、ちょっと音痴なカワイイ棒読みちゃんが歌を読んでくれます。)


<現代語訳>

大海原をたくさんの島を目指して漕ぎだしたと、都の人には告げてくれ。漁師の釣船よ。


<英訳>

Over the wide sea
Towards its many distant isles
My ship sets sail.
Will the fishing boats thronged here
Proclaim my journey to the world?
  
『University of Virginia Library Japanese Text Initiative, Ogura Hyakunin Isshu 100 Poems by 100 Poets 』 より英訳を引用


<出典>

古今集・巻9・羇旅(きりょ)歌・407 

「隠岐の国に流されける時に、船に乗りて出で立つとて、京なる人のもとへ遣わしける・小野篁朝臣」

(隠岐の国に流された時に、船に乗って出発しようとして、京にいる親しい人のもとに贈った歌)


<作者>

参議篁(さんぎたかむら)・小野篁(おののたかむら)
802年~852年。平安前期の廷臣、漢詩人、歌人。小野妹子の子孫。参議、従三位。
838年、遣唐副使に任ぜられたが、大使と争って命に服さなかったため隠岐の島に流された。
朝臣(あそん)は、五位以上の人の姓名につける敬称。
Sponsored Links
<品詞分解・語句文法解説>

わたの原(海の原) :名詞 大海原。

八十島(やそしま) :名詞 多くの島々。

かけ :動詞カ行下二段活用「かく」の連用形 目指す。

て :接続助詞

漕ぎ出で(こぎいで) :動詞ダ行下二段活用「漕ぎ出づ(こぎいづ)」の連用形

ぬ :完了の助動詞「ぬ」の終止形

と :格助詞

人 :名詞

に :格助詞

は :係助詞

告げよ(つげよ) :動詞ガ行下二段活用「告ぐ(つぐ)」の命令形

海人(あま) :名詞 漁師。

の :格助詞

釣舟(つりぶね) :名詞 ※「告げよ」として「釣舟」を擬人化している。

Sponsored Links


<古典文法の基礎知識>

「古文」を苦手科目から得意科目にする古典文法の基礎知識です。

◇「現代仮名遣い」のルールについては、「現代仮名遣い・発音(読み方)の基礎知識」の記事をどうぞ。

◇「用言の活用と見分け」については、「用言(動詞・形容詞・形容動詞)の活用と見分け方」の記事をどうぞ。

◇「助動詞・助詞の意味」や「係り結び」・「準体法」などについては、「古典文法の必須知識」 の記事をどうぞ。

◇「助動詞の活用と接続」については、「助動詞の活用と接続の覚え方」の記事をどうぞ。

◇「音便」や「敬語(敬意の方向など)」については、 「音便・敬語の基礎知識」の記事をどうぞ。


<和歌の基礎知識>

◎和歌の文法、用語、和歌集、歌風などについては、「和歌の文法・用語の基礎知識」をどうぞ。

◎和歌の修辞法(表現技法)については、「和歌の修辞法(表現技法)の基礎知識」をどうぞ。


<修辞法(表現技法)>

・句切れ :四句切れ

・体言止め :釣舟

・擬人法 :釣舟

・倒置

※「修辞法」が分からない人は、上にリンクをつけてある「修辞法の基礎知識」を読んでね。


<私の一言>

 この時の経緯の詳細は、遣唐大使の藤原常嗣(ふじわらのつねつぐ)が自分の乗る船が破損したことを理由に小野篁の船に乗り、代わりに篁を破損した船に乗せようとしたために、言い争いとなって篁は病気を理由にして乗船しなかった。
 そして、さらに篁が朝廷を風刺する漢詩を作ったために嵯峨上皇の怒りに触れて官位剥奪の上、その年の12月に隠岐(おき)に流されました。

この歌は流罪になって難波から船で隠岐へ送られる時のもの。

げっ、ホントに出港しちゃったよ、ホントに島流しにされちゃうんだぁ。
パワハラの被害者なんだよ俺ぇ。余計な漢詩なんか作るんじゃなかったなぁ。
あ~あ、彼女にはヨロシク言っておいてね、漁師さん。
もうこのチャッチイ釣舟に、すがるしかないんだなぁ、俺・・・。

って感じですかねぇ。

でも、この2年後には許されて、召しかえされたようです。

ご苦労様でしたね。

Sponsored Links


<関連 :ヨルタモリ>

日本古典文学講座 第7回 百人一首 (2015/03/15)
国文学者 李澤京平(すももざわきょうへい)教授

十一 衆議篁(しゅうぎのたかむら) 


鱈の腹八十日かけて漬け込みぬと 人には告げよ甘の漬け汁


<読み>

たらのはら やそにちかけて つけこみぬと ひとにはつげよ あまのつけじる


<歌意・解説>

※上にも書いたように、実際の篁(たかむら)が隠岐(おき)に流罪になった経緯は若干違いますが、李澤教授の解説に従っておきます。

 李澤教授によると、作者は非常に才能豊かな人で、その才を買われて遣唐副使に任じられたが、あてがわれた船が破損していることに腹を立て、「やってられるかい!」と乗船を拒否。さらには遣唐使を批判する詩まで作ったために隠岐(おき)に流罪となる。この歌はその時のもので、いくつもの意味が込められた複雑かつ味わい深い歌。

 ぱっと見、作者が、「鱈の腹=現在で言うと明太子(めんたいこ)」を80日もかけて漬け込み、しかも甘い漬け汁まで自分で考えて大切に作ったんだぞ、ということを人には言ってくれよと詠んでいるように見えるが・・・実は違う。

 「鱈の腹」は、「タラフク(お腹いっぱい食べた時)」を意味し、「流罪になった私には鱈の腹のように、お腹いっぱいの不満があるんだぞ」、しかもそれは、「80日間も溜め込んだ不満なんだぞ」、そして、その不満を腹の中に収めた上で、「私は隠岐へ流罪となるこの場に今いるんだぞ」ということを都の人に言ってくれと詠んだもの。
 しかし、これではちょっと角が立つので、結句(第五句)に「甘の漬け汁」と緩和する表現を使うことによって、上手に逃げを打っているところに作者の才能が光る。


※李澤教授~
「しゅうぎたかむら」ではなく、「しゅうぎたかむら」だと思いますよぉ。
それと、和歌を「この句」と言うのは止めましょうね・・・。「この歌」です。
和歌で「句」という語を使うのは、第一句(初句)~第五句(結句)、上の句・下の句などの場合です。
「この句」は、俳句などに使うものです。
今の世の中、和歌と俳句を区別できない中学生・高校生がたくさんいますから、ヨルタモリを見た彼らがますます阿呆になってしまいます・・・(笑)


<和歌索引>

◆ブログ内の和歌を探す時は、カテゴリーではなく下に示す各一覧を利用してね。

和歌:ブログ収録・歌別一覧
和歌:ブログ収録・作者別一覧
万葉集:ブログ収録和歌一覧
古今集:ブログ収録和歌一覧
新古今集:ブログ収録和歌一覧
小倉百人一首:歌番号順一覧
伊勢物語:ブログ収録和歌一覧
ヨルタモリ:日本古典文学講座:百人一首一覧


<古文や和歌の学習書と古語辞典>

古文や和歌を学ぶための学習書や古語辞典については、おすすめ書籍を紹介した下の各記事を見てね。
《古文・和歌の学習書の記事へ⇒》

《品詞分解付き対訳書の記事へ⇒》

《古語辞典の記事へ⇒》
Sponsored Links
◇関連記事 (前後の7記事を表示)
 その他の記事は、右サイドメニューの「カテゴリ」(和歌などは索引)からどうぞ。
 

Comment (コメント)

 (任意) 未入力時 = よみ人しらず
 (任意) 入力時もコメント欄には非表示
 (必須) 管理人承認後に表示
Private

まさか李澤教授の解説を原歌と一緒にこんなに真面目に見比べられるなんて。笑
ちはやふると李澤教授のおかげて百人一首がどんどん好きになってます。

Re:

こんばんは。お役に立てたようで良かったです。

5月くらいまでには百首を投稿し終えたいと思っているので、また遊びに来て下さいね。
Categories (カテゴリ)
Search This Blog (ブログ内検索)
Featured Posts (特集・古典の基礎知識)
◆ 古典を得意科目にする記事
My Recommended Books (おすすめ書籍)
◆ 辞書と学習書の記事
Popular Posts (人気記事)
All Posts (すべての記事)
This and That (あれこれ)
  • ブログ記事に誤字や記述間違い等がある場合は、コメント欄から教えてください。
  • このブログのリンクはご自由にどうぞ。
    その際に連絡の必要はありません。
  • 古典作品の解説や和歌の鑑賞文などを目的とした中学生の読者さんもいるようですね。

    このブログの古典文法などは、詳しい文法的説明を求める高校生以上の読者を想定して書いています。一般の中学生には必要のない知識なので、わからなくても気にしないでね。
About This Blog (このブログについて)

んば

Author:んば
Since May 9,2014


くらすらん
暮らす欄くらすらむClass Run

この絵は私のお気に入りで
アンリ・ルソー『眠るジプシーの女』