百人一首(12) 天つ風雲の通ひ路吹き閉ぢよ 品詞分解と訳
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今回は、「小倉百人一首」収録和歌(歌番号 12番)の現代語訳(口語訳・意味)・品詞分解・語句文法解説・修辞法(表現技法)・作者・出典・英訳・MP3音声・おすすめ書籍などについて紹介します。小倉百人一首 歌番号(12) 僧正遍昭
天つ風雲の通ひ路吹き閉ぢよ をとめの姿しばしとどめむ
<平仮名> (歴史的仮名遣い)
あまつかぜ くものかよひぢ ふきとぢよ をとめのすがた しばしとどめむ
<読み(発音)>
アマツカゼ クモノカヨイジ フキトジヨ オトメノスガタ シバシトドメン
<音声> ※音声はDownloadして自由に使って下さい。
百人一首012.mp3
(クリックすると、ちょっと音痴なカワイイ棒読みちゃんが歌を読んでくれます。)
<現代語訳>
空を吹く風よ。雲の切れ間にある天と地とを結ぶ通い道を吹き閉ざしておくれ。美しく舞う天女たちの姿をもうしばらくこの地上にとどめておこう(と思うから)。
<英訳>
Let the winds of heaven
Blow through the paths among the clouds
And close their gates.
Then for a while I could detain
These messengers in maiden form.
『University of Virginia Library Japanese Text Initiative, Ogura Hyakunin Isshu 100 Poems by 100 Poets 』 より英訳を引用
<出典>
古今集・巻17・雑歌上・827 「五節の舞を見て詠める・良岑宗貞」
<作者>
僧正遍昭(そうじょうへんじょう)・良岑宗貞(俗世時代の名:よしみねのむねさだ)
816年~890年。平安前期の歌人、僧。六歌仙、三十六歌仙の一人。桓武天皇の孫。
仁明天皇の寵を受けて左近衛少将、蔵人頭に昇進したが、その崩御によって850年に出家。比叡山で円仁に学び、京都花山に元慶寺を創立して座主となり僧正の位に至った。
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<品詞分解・語句文法解説>
天つ風(あまつかぜ) :名詞 空を吹く風。
※「つ」は、「の」の意味の上代の格助詞
雲 :名詞
の :格助詞
通ひ路(かよひぢ) :名詞
※「雲の通ひ路」 :天女が天上へ帰る時に通る道。
吹き閉ぢよ :動詞ダ行上二段活用「吹き閉づ(ふきとづ)」の命令形
をとめ :名詞
の :格助詞
姿 :名詞
しばし :副詞 少しの間。
とどめ :動詞マ行下二段活用「とどむ」の未然形
む :意志の助動詞「む」の終止形
<古典文法の基礎知識>
「古文」を苦手科目から得意科目にする古典文法の基礎知識です。
◇「現代仮名遣い」のルールについては、「現代仮名遣い・発音(読み方)の基礎知識」の記事をどうぞ。
◇「用言の活用と見分け」については、「用言(動詞・形容詞・形容動詞)の活用と見分け方」の記事をどうぞ。
◇「助動詞・助詞の意味」や「係り結び」・「準体法」などについては、「古典文法の必須知識」 の記事をどうぞ。
◇「助動詞の活用と接続」については、「助動詞の活用と接続の覚え方」の記事をどうぞ。
◇「音便」や「敬語(敬意の方向など)」については、 「音便・敬語の基礎知識」の記事をどうぞ。
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<和歌の基礎知識>
◎和歌の文法、用語、和歌集、歌風などについては、「和歌の文法・用語の基礎知識」をどうぞ。
◎和歌の修辞法(表現技法)については、「和歌の修辞法(表現技法)の基礎知識」をどうぞ。
<修辞法(表現技法)>
・句切れ :初句切れ 三句切れ
・倒置
・擬人法 :風
・見立て :「をとめ」(五節の舞姫)を天女に見立てている。
<関連>
『 五節(ごせち) 』
五節の舞の略。大嘗祭、新嘗祭の前後に宮中で行われた舞姫の舞楽。大嘗祭は5人、新嘗祭は4人の舞姫。陰暦11月の中の丑の日から豊明節会のある辰の日まで4日間にわたって行われた。
『 大嘗祭(だいじゃうさい) 』
天皇即位後に天皇自らが初めて新穀を神々に供える一代に一度の儀式。陰暦11月の中の卯の日に行われた。即位が7月以前ならばその年の、以降ならば翌年の11月に行われる。
『 新嘗祭(しんじゃうさい・にひなめさい) 』
陰暦11月の中の卯の日に、天皇がその年の新穀を神々に供えて、天皇自らも食した儀式。
『 豊明節会(とよのあかりのせちゑ) 』
大嘗祭、新嘗祭の翌日に豊楽殿で行われた宴会。
<私の一言>
「五節の舞」は天武天皇が吉野の滝の宮で琴を弾かれた時に、天女が舞い降りて袖を五度ひるがえして舞ったのが起源だそうです。
この歌は、五節の舞姫を天女に見立てて、舞姫が舞い終わって退場しようとするのを名残り惜しんだものですね。
よっぽど奇麗なオネエちゃんだったんでしょうね。
今も昔もショータイムの終わりは名残り惜しいものです。
私なんか、オカマバーのショータイムの終わりでさえ名残り惜しいですから(笑)
ちなみに良岑宗貞(僧正遍昭)の出家をめぐるエピソードは大和物語(第168段)に出ています。
<和歌索引>
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天つ風(あまつかぜ) :名詞 空を吹く風。
※「つ」は、「の」の意味の上代の格助詞
雲 :名詞
の :格助詞
通ひ路(かよひぢ) :名詞
※「雲の通ひ路」 :天女が天上へ帰る時に通る道。
吹き閉ぢよ :動詞ダ行上二段活用「吹き閉づ(ふきとづ)」の命令形
をとめ :名詞
の :格助詞
姿 :名詞
しばし :副詞 少しの間。
とどめ :動詞マ行下二段活用「とどむ」の未然形
む :意志の助動詞「む」の終止形
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<修辞法(表現技法)>
・句切れ :初句切れ 三句切れ
・倒置
・擬人法 :風
・見立て :「をとめ」(五節の舞姫)を天女に見立てている。
<関連>
『 五節(ごせち) 』
五節の舞の略。大嘗祭、新嘗祭の前後に宮中で行われた舞姫の舞楽。大嘗祭は5人、新嘗祭は4人の舞姫。陰暦11月の中の丑の日から豊明節会のある辰の日まで4日間にわたって行われた。
『 大嘗祭(だいじゃうさい) 』
天皇即位後に天皇自らが初めて新穀を神々に供える一代に一度の儀式。陰暦11月の中の卯の日に行われた。即位が7月以前ならばその年の、以降ならば翌年の11月に行われる。
『 新嘗祭(しんじゃうさい・にひなめさい) 』
陰暦11月の中の卯の日に、天皇がその年の新穀を神々に供えて、天皇自らも食した儀式。
『 豊明節会(とよのあかりのせちゑ) 』
大嘗祭、新嘗祭の翌日に豊楽殿で行われた宴会。
<私の一言>
「五節の舞」は天武天皇が吉野の滝の宮で琴を弾かれた時に、天女が舞い降りて袖を五度ひるがえして舞ったのが起源だそうです。
この歌は、五節の舞姫を天女に見立てて、舞姫が舞い終わって退場しようとするのを名残り惜しんだものですね。
よっぽど奇麗なオネエちゃんだったんでしょうね。
今も昔もショータイムの終わりは名残り惜しいものです。
私なんか、オカマバーのショータイムの終わりでさえ名残り惜しいですから(笑)
ちなみに良岑宗貞(僧正遍昭)の出家をめぐるエピソードは大和物語(第168段)に出ています。
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