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徒然草(51段) 亀山殿の御池に 品詞分解と現代語訳

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 今回は、「徒然草 第51段 亀山殿の御池に」の原文・現代語訳(口語訳)・品詞分解(文法的説明)・語句の意味・文法解説・敬語(敬意の方向)・鑑賞・おすすめ書籍などについて紹介します。


「徒然草(つれづれぐさ) 第51段 亀山殿の御池に」(兼好法師・吉田兼好・卜部兼好)


<原文>

◇全文の「現代仮名遣い・発音・読み方(ひらがな)」は下記の別サイトからどうぞ。
《⇒現代仮名遣いサイトへ行く》

 亀山殿の御池(みいけ)に、大井川(おほゐがは)の水(みづ)をまかせられんとて、大井の土民(どみん)に仰せ(おほせ)て、水車(みづぐるま)を造らせられけり。多く(おほく)の銭(あし)を賜ひ(たまひ)て、数日(すじつ)に営み出だし(いとなみいだし)て、掛けたりけるに、大方(おほかた)廻ら(めぐら)ざりければ、とかく直し(なほし)けれども、つひに廻らで、徒らに(いたづらに)立てりけり。 

 さて、宇治(うぢ)の里人(さとびと)を召し(めし)て、こしらへさせられければ、やすらかにゆひて参らせ(まゐらせ)たりけるが、思ふやうに廻りて、水を汲み入るる(くみいるる)事めでたかりけり。

 万に(よろづに)、その道を知れる者は、やんごとなきものなり。


<現代語訳>

 (後嵯峨上皇が)亀山殿の御池に大井川の水をお引きになろうとして、大井川付近の住民にお言いつけになって、水車をお造らせになった。(上皇は)多くの金銭をお与えになって、(土地のものが)数日のうちに骨を折って作り上げて、取り付けたところが、(水車は)少しも回らなかったので、あれこれと直したけれども、とうとう回らないで何の役にも立たずに空しく立っていたそうだ。

 そこで、(上皇は、水車で有名な)宇治の里人をお呼びになって、水車を造らせなさったところ、やすやすと組み立てて差し上げた水車が、(今度は)思うように回って、水を池に汲み入れることが見事であったそうだ。

 万事につけて、その専門の道をよく心得ているものは、貴重な存在である。


<徒然草(つれづれぐさ)>

作者=兼好法師(けんこうほうし)・兼好(けんこう)は法号、俗名=卜部兼好(うらべかねよし)、通称=吉田兼好(よしだけんこう)・生家が京都吉田神社の神官であることに由来。

文学ジャンル=随筆。

成立=鎌倉時代末期。

「枕草子」(平安時代中期)、「方丈記」(鎌倉時代初期)とともに日本三大随筆のひとつ。

隠者文学(いんじゃぶんがく)=俗世間を離れ、仏道修行や悠々自適の生活を送る者による文学作品の総称。代表的な作者は兼好法師・鴨長明・西行など。
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<品詞分解(文法的説明=文法解釈)>

◇主要な品詞を色別表示にした見やすい品詞分解を別サイトに作成しました。
《⇒品詞色別表示の品詞分解サイトへ行く》

 ※活用の基本形を、ひらがなで示した。動詞は、品詞名を省略した。
 
 亀山殿の御池に、大井川の水をまかせられんとて、
 亀山殿【名詞】 の【格助詞】 御池【名詞】 に【格助詞】、 大井川【名詞】 の【格助詞】 水【名詞】 を【格助詞】 まかせ【サ行下二段活用「まかす」の未然形】 られ【尊敬の助動詞「らる」の未然形】 ん【意志の助動詞「む」の終止形】 と【格助詞】 て【接続助詞】、 
※とて【格助詞】とする立場もある。

大井の土民に仰せて、水車を造らせられけり。
大井【名詞】 の【格助詞】 土民【名詞】 に【格助詞】 仰せ【サ行下二段活用「おほす」の連用形:尊敬の本動詞】 て【接続助詞】、 水車【名詞】 を【格助詞】 造ら【ラ行四段活用「つくる」の未然形】 せ【使役の助動詞「す」の未然形】 られ【尊敬の助動詞「らる」の連用形】 けり【過去の助動詞「けり」の終止形】。

多くの銭を賜ひて、数日に営み出だして、掛けたりけるに、
多く【形容詞・ク活用「おほし」の連用形】 の【格助詞】 銭【名詞】 を【格助詞】 賜ひ【ハ行四段活用「たまふ」の連用形:尊敬の本動詞】 て【接続助詞】、 数日【名詞】 に【格助詞】 営み出だし【サ行四段活用「いとなみいだす」の連用形】 て【接続助詞】、 掛け【カ行下二段活用「かく」の連用形】 たり【完了の助動詞「たり」の連用形】 ける【過去の助動詞「けり」の連体形】 に【接続助詞】、 

大方廻らざりければ、とかく直しけれども、
大方【副詞】 廻ら【ラ行四段活用「めぐる」の未然形】 ざり【打消の助動詞「ず」の連用形】 けれ【過去の助動詞「けり」の已然形】 ば【接続助詞】、 とかく【副詞】 直し【サ行四段活用「なほす」の連用形】 けれ【過去の助動詞「けり」の已然形】 ども【接続助詞】、

つひに廻らで、徒らに立てりけり。
つひに【副詞】 廻ら【ラ行四段活用動詞「めぐる」の未然形】 で【接続助詞】、 徒らに【形容動詞・ナリ活用「いたづらなり」の連用形】 立て【タ行四段活用「たつ」の已然形】 り【存続の助動詞「り」の連用形】 けり【過去の助動詞「けり」の終止形】。

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 さて、宇治の里人を召して、こしらへさせられければ、
 さて【接続詞】、 宇治【名詞】 の【格助詞】 里人【名詞】 を【格助詞】 召し【サ行四段活用「めす」の連用形:尊敬の本動詞】 て【接続助詞】、 こしらへ【ハ行下二段活用「こしらふ」の未然形】 させ【使役の助動詞「さす」の未然形】 られ【尊敬の助動詞「らる」の連用形】 けれ【過去の助動詞「けり」の已然形】 ば【接続助詞】、 

やすらかにゆひて参らせたりけるが、
やすらかに【形容動詞・ナリ活用「やすらかなり」の連用形】 ゆひ【ハ行四段活用「ゆふ」の連用形】 て【接続助詞】 参らせ【サ行下二段活用「まゐらす」の連用形:謙譲の本動詞】 たり【完了の助動詞「たり」の連用形】 ける【過去の助動詞「けり」の連体形】 が【接続助詞】、 

思ふやうに廻りて、水を汲み入るる事めでたかりけり。
思ふ【ハ行四段活用「おもふ」の連体形】 やうに【比況の助動詞「やうなり」の連用形】 廻り【ラ行四段活用「めぐる」の連用形】 て【接続助詞】、 水【名詞】 を【格助詞】 汲み入るる【ラ行下二段活用「くみいる」の連体形】 事【名詞】 めでたかり【形容詞・ク活用「めでたし」の連用形】 けり【過去の助動詞「けり」の終止形】。

 万に、その道を知れる者は、やんごとなきものなり。
 万【名詞】 に【格助詞】、そ【代名詞】 の【格助詞】 道【名詞】 を【格助詞】 知れ【ラ行四段活用「しる」の已然形】 る【存続の助動詞「り」の連体形】 者【名詞】 は【係助詞】、 やんごとなき【形容詞・ク活用「やんごとなし」の連体形】 もの【名詞】 なり【断定の助動詞「なり」の終止形】。
※万に【副詞】とする場合もある。


<古典文法の基礎知識>

「古文」を苦手科目から得意科目にする古典文法の基礎知識です。

◆「現代仮名遣い」のルールについては、「現代仮名遣い・発音(読み方)の基礎知識」の記事をどうぞ。

◆「用言の活用と見分け」については、「用言(動詞・形容詞・形容動詞)の活用と見分け方」の記事をどうぞ。

◆「助動詞・助詞の意味」や「係り結び」・「準体法」などについては、「古典文法の必須知識」 の記事をどうぞ。

◆「助動詞の活用と接続」については、「助動詞の活用と接続の覚え方」の記事をどうぞ。

◆「音便」や「敬語(敬意の方向など)」については、 「音便・敬語の基礎知識」の記事をどうぞ。

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<語句・文法解説>

◇主な敬語については、「敬意の主体(誰から)」→「敬意の対象(誰へ)」(敬意の方向)を示した。

亀山殿
京都市右京区嵯峨野の今の天龍寺の地にあった後嵯峨・亀山両上皇の離宮

まかせ(引せ) :水を引く

られ :尊敬の助動詞:お~になる。~なさる。
◇「作者(兼好)」→「後嵯峨上皇」への敬意。 (動作主は後嵯峨上皇)

仰せ :尊敬の本動詞:お言いつけになる 
◇「作者(兼好)」→「後嵯峨上皇」への敬意。 (動作主は後嵯峨上皇)

賜ひ :尊敬の本動詞:お与えになる
◇「作者(兼好)」→「後嵯峨上皇」への敬意。 (動作主は後嵯峨上皇)

営み出だし :作り上げる

掛け :取り付ける

大方 :打消と呼応する副詞(陳述の副詞) 少しも~(ない)。全く~(ない)。

とかく :あれこれと

徒らに(いたづらに) :役に立たない。無駄である。

「立てりけり」の「り」(存続の助動詞)などの主な助動詞の意味については、上にリンクを付けてある「古典文法の必須知識」を読んでね。

さて :そこで

宇治 :古来水車で名高い

召し :尊敬の本動詞:お呼びになる。お招きになる。
◇「作者(兼好)」→「後嵯峨上皇」への敬意。 (動作主は後嵯峨上皇)

やすらかに :やすやすと

ゆひ :組み立てる

参らせ :謙譲の本動詞:差し上げる
◇「作者(兼好)」→「後嵯峨上皇」への敬意。 (動作主は宇治の里人)

めでたかり :すばらしい。見事だ。

やんごとなき :尊い。貴重である。


<鑑賞・私の一言>

「万に、その道を知れる者は、やんごとなきものなり」が主題。

その道に熟達した者(専門家)への敬意とその存在の重要性を説いているんですね。

予想テスト問題は、気分が乗ったら、いずれ追記します。


<このブログに収録済みの品詞分解作品>

 品詞分解:ブログ収録作品一覧


<古文の学習書と古語辞典>

 古文を学ぶための学習書や古語辞典については、おすすめ書籍を紹介した下の各記事を見てね。
 《⇒古文学習書の記事へ》 

 《⇒品詞分解付き対訳書の記事へ》 

 《⇒古語辞典の記事へ》
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◇関連記事 (前後の7記事を表示)
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