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百人一首(17) ちはやぶる神代も聞かず竜田川 品詞分解と訳

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 今回は、「小倉百人一首」(歌番号 17番)と「伊勢物語 竜田川」(第106段)収録和歌の現代語訳(口語訳・意味)・品詞分解・語句文法解説・修辞法(表現技法)・作者・出典・英訳・MP3音声・おすすめ書籍などについて紹介します。


小倉百人一首 歌番号(17) 在原業平朝臣 & 伊勢物語 第106段 「竜田川」

    
ちはやぶる神代も聞かず竜田川 からくれなゐに水くくるとは


<平仮名> (歴史的仮名遣い)

ちはやぶる かみよもきかず たつたがは からくれなゐに みづくくるとは


<読み(発音)>

チハヤブル カミヨモキカズ タツタガワ カラクレナイニ ミズククルトワ


<音声> ※音声はDownloadして自由に使って下さい。

百人一首017.mp3
(クリックすると、ちょっと音痴なカワイイ棒読みちゃんが歌を読んでくれます。)


<現代語訳>

神代の昔にも聞いたことがない。竜田川が水を深紅にくくり染めにするとは。

(一面に紅葉の流れる竜田川の流れを、くくり染めの織物に見立てている。)


<英訳>

Even when the gods
Held sway in the ancient days,
I have never heard
That water gleamed with autumn red
As it does in Tatta's stream
  
『University of Virginia Library Japanese Text Initiative, Ogura Hyakunin Isshu 100 Poems by 100 Poets 』 より英訳を引用


<出典>

古今集・巻5・秋歌下・294
「二条の后の、東宮の御息所と申しける時に、御屏風に、竜田川に紅葉流れたるかたをかけりけるを題にて詠める・業平朝臣」
(二条の后が、東宮の御息所と申し上げていた時に、御屏風に、竜田川に紅葉が流れている様子を描いてあったのを題として詠んだ歌。)

東宮・春宮(とうぐう) :皇太子。皇太子の宮殿。

御息所(みやすんどころ) :天皇の寵愛を得た女御・更衣。皇太子・親王の妃。

東宮の御息所 :この場合は、東宮の母君である御息所の意味。869年~876年の間、陽成天皇が即位するまでの呼び名。

※「五節の舞」や「大嘗祭」については、「天つ風~」の記事下段にある<関連>を参照のこと。
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<二条の后(にじょうのきさき)>
842年~910年。藤原長良(ふじわらのながら)の娘で高子(たかいこ)。清和天皇の即位に伴う大嘗祭(859年)において、五節の舞姫を務め、清和天皇が東宮であった時に女御(866年)となり、貞明親王(後の陽成天皇)を生んで(869年)、中宮(877年)を経て皇太后(882年)となった。


<作者>

在原業平(ありわらのなりひら)
825年~880年。六歌仙、三十六歌仙の一人。平城(へいぜい)天皇の皇子である阿保(あぼ)親王の第五子、母は桓武天皇の皇女である伊都(いと)内親王。在原の姓を賜って皇族の身分を離れ臣籍に下る。在原行平の異母弟。容姿端麗、奔放でおおらかな性格であったといわれており、「伊勢物語」の主人公「昔男」のモデル。また、「源氏物語」の主人公「光源氏」のモデルとする説も一部にはある。蔵人・右馬頭などを経て蔵人頭・右近権中将・美濃権守に至る、従四位上。在五中将(在原家の五男の意味)、在中将と呼ばれた。朝臣(あそん)は、五位以上の人の姓名につける敬称。


<品詞分解・語句文法解説>

ちはやぶる(千早振る) :枕詞

神代(かみよ) :名詞 人の代に対する神の代のことで、様々な不思議なことがあった神武天皇以前の神々の時代。

も :係助詞

聞か :動詞カ行四段活用「聞く」の未然形

ず :打消の助動詞「ず」の終止形

竜田川(たつたがは) :歌枕 今の奈良県にある川で紅葉の名所。立田川とも書く。

からくれなゐ(韓紅) :名詞 韓から渡来した濃い紅色。

に :格助詞

水(みづ) :名詞

くくる :動詞ラ行四段活用「括る(くくる)」の終止形 糸で布を括って白い部分を残す染め方。

と :格助詞

は :係助詞

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<修辞法(表現技法)>

・句切れ :二句切れ

・倒置 :初句~第二句と第三句以下が倒置

・枕詞 :「ちはやぶる」が、「神」に係る枕詞
※神威・霊力が盛んである意から神に係る。

・歌枕 :竜田川

・見立て :紅葉の流れる竜田川の流れを、くくり染めの織物に見立てている

・擬人法 :竜田川

※「修辞法」が分からない人は、上にリンクをつけてある「修辞法の基礎知識」を読んでね。

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<関連>

※在原業平と同じ屏風を見て素性法師が詠んだ歌

古今集・巻5・秋歌下・293 素性法師

もみぢ葉の流れてとまる水門には紅深き波や立つらむ

(もみじ葉の流れて行きつく河口では、もみじ葉がたまって紅色の濃い波が立っていることであろうか。)


水門(みなと) :河口

紅(くれなゐ)


<私の一言>

在原業平には良い歌が多いですね。

この歌も、藤原定家が数多い業平の歌の中から、小倉百人一首に選んだのが分かる気がする華麗な歌ですね。

ちなみに、古今和歌集の撰者である紀貫之が、「やまと歌は~」で始まる仮名序の六歌仙評の中で、

「その心あまりて、詞たらず。しぼめる花の、色なくて、匂ひのこれるがごとし。」

(その心が余るほどあるのに、それを表現する言葉が足りない。しぼんだ花の、色つやがなくて、匂いが残っているようなものだ。)

と在原業平を批評しています。

「月やあらぬ~」を見ると紀貫之の気持ちも分かるような気がしますね。

のちに、新古今の藤原俊成や藤原定家によって再評価されますが・・・。

※「しぼめる」や「のこれる」の品詞分解で悩んでしまう人は、「る」の識別の知識がないということですから、上にリンクを付けてある「古典文法の必須知識」を読んでね。


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