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百人一首(19) 難波潟短き葦のふしの間も 品詞分解と訳

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 今回は、「小倉百人一首」収録和歌(歌番号 19番)の現代語訳(口語訳・意味)・品詞分解・語句文法解説・修辞法(表現技法)・作者・出典・英訳・MP3音声・おすすめ書籍などについて紹介します。


小倉百人一首 歌番号(19) 伊勢
 
   
難波潟短き葦のふしの間も 逢はでこの世を過ぐしてよとや


<平仮名> (歴史的仮名遣い)

なにはがた みじかきあしの ふしのまも あはでこのよを すぐしてよとや


<読み(発音)>

ナニワガタ ミジカキアシノ フシノマモ アワデコノヨヲ スグシテヨトヤ


<音声> ※音声はDownloadして自由に使って下さい。

百人一首019.mp3
(クリックすると、ちょっと音痴なカワイイ棒読みちゃんが歌を読んでくれます。)


<現代語訳>

難波潟に生える短い葦の節と節の間ほどの、ほんのわずかの間の逢瀬さえなしに、この世を過ごせとおっしゃるのですか。(まさか、それが本心ではないでしょう・・・。)

(仲がこじれて、少しの間でも逢ってくれなくなった、つれない恋人への抗議の歌。広大な難波潟と、節と節との間が短い葦との対比。そして、奇麗な情景が浮かぶ上の句と、激しい語調の下の句との対比。この対比の技巧が高く評価されているようですね。)


<英訳>

Even for a time
Short as a piece of the reeds
In Naniwa's marsh,
We must never meet again:
Is this what you are asking me?
  
『University of Virginia Library Japanese Text Initiative, Ogura Hyakunin Isshu 100 Poems by 100 Poets 』 より英訳を引用


<出典>

新古今集・巻11・恋歌1・1049 「題しらず・伊勢」

新古今集では「題しらず」だが、伊勢集には、「秋、うたて人の物いふ頃」と詞書にあり、秋頃に関係が悪化してしまった恋人に贈った歌であることがわかる。

うたて :副詞 ますますひどく。


<作者>

伊勢(いせ)
877年頃~天慶年間(938~947)。平安前期の女流歌人。三十六歌仙の一人。伊勢守藤原継陰の娘。宇多天皇の后である温子に使え、のちに宇多天皇の寵愛を受けて皇子を生んだので「伊勢の御」、「伊勢の御息所」と称された。平安中期の女流歌人である中務の母(中務の父は宇多天皇の皇子敦慶親王)。家集「伊勢集」。
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<品詞分解・語句文法解説>

難波潟(なにはがた) :歌枕 大阪湾の入り江で葦の多く生い茂る所とされていた。

短き :形容詞ク活用「短し」の連体形

葦(あし) :名詞 水辺に自生するイネ科の多年草で、節と節との間が短いことで知られる。

の :格助詞

ふし :名詞

の :格助詞

間(ま) :名詞
※短き葦のふしの間 :短い時を表す比喩表現。

も :係助詞

逢は(あは) :動詞ハ行四段活用「逢ふ(あふ)」の未然形

で :打消の接続助詞 ~ないで。

こ :代名詞

の :格助詞

世 :名詞

を :格助詞

過ぐし(すぐし) :動詞サ行四段活用「過ぐす(すぐす)」の連用形

てよ :完了の助動詞「つ」の命令形

と :格助詞

や :疑問の係助詞

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<古典文法の基礎知識>

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◇「現代仮名遣い」のルールについては、「現代仮名遣い・発音(読み方)の基礎知識」の記事をどうぞ。

◇「用言の活用と見分け」については、「用言(動詞・形容詞・形容動詞)の活用と見分け方」の記事をどうぞ。

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<和歌の基礎知識>

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<修辞法(表現技法)・係り結び>

・序詞 :初句~第二句が、「ふし」を導く序詞

・縁語 :「ふし」と「この世」の「よ」が、「葦」の縁語 (節の間のことを「よ」とも言うため。)

・歌枕 :難波潟

・係り結び :「や」→結びの省略 (言ふ)が省略されている。

※「修辞法」が分からない人は、上にリンクをつけてある「修辞法の基礎知識」を、「係り結び」が分からない人は、「文法・用語の基礎知識」を読んでね。

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<関連 :ヨルタモリ>

日本古典文学講座 第2回 百人一首 (2014/11/09)
国文学者 李澤京平(すももざわきょうへい)教授

十九 伊勢路(いせじ)


あなたがた短き足の股の間も 泡でその身をすぐしてよとや


<読み>

あなたがた みじかきあしの またのまも あわでそのみを すぐしてよとや


<歌意・解説>

足の短い不格好な一般庶民男性のあなたがたは、股の間のその身までも、泡ですぐしてほしいとおっしゃるのですか?本当におっしゃるの?と、泡を扱う泡所(あわどころ)に従事していた作者が抱いた、怒りにも近い、ほとばしるような感情を率直な表現手法で詠んだ歌。当時の庶民生活の一端を垣間見る(かいまみる)ことができますね。なお、泡所(あわどころ)は李澤教授の造語だと思われます。


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