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新古今集・増鏡 薄く濃き野べの緑の若草に 品詞分解と訳

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 今回は、「新古今和歌集」と「増鏡」収録和歌の現代語訳(口語訳・意味)・品詞分解・語句文法解説・修辞法(表現技法)・おすすめ書籍などについて紹介します。


新古今集 巻1・春歌上・76 宮内卿(くないきょう) & 増鏡 巻1 「おどろの下」

新古今集 詞書

千五百番歌合に、春歌


薄く濃き野べの緑の若草に跡まで見ゆる雪のむら消え


<平仮名>

うすくこき のべのみどりの わかくさに あとまでみゆる ゆきのむらぎえ


<現代語訳>

ある所は薄くある所は濃く生えている野辺の緑の若草によって、雪がむらになって消えたその遅速の痕跡までが見えるよ。


<語句文法解説> 詞書

「千五百番歌合(せんごひゃくばんうたあはせ)」
1202年~1203年成立。後鳥羽院の主催で、当時の代表歌人30人が詠んだ3千首を左右に分かち対戦形式で計千五百番とした最大規模の歌合。判者は後鳥羽院や藤原定家などで、新古今和歌集の撰集資料とされた。


<品詞分解・語句文法解説> 歌

薄く :形容詞ク活用「薄し」の連用形 
※「薄く」は、中止法。「濃き」とともに「緑」を修飾している。
「中止法」=連用形で文を一旦中止して、さらにあとに続けて行く用法で、あとの文には対等の関係で続くことが多い。

濃き :形容詞ク活用「濃し」の連体形

野べ :名詞

の :格助詞

緑 :名詞

の :格助詞

若草 :名詞

に :格助詞

跡(あと) :名詞

まで :副助詞

見ゆる :動詞ヤ行下二段活用「見ゆ」の連体形 見える。

雪 :名詞

の :格助詞

むら消え(むらぎえ) :名詞 (雪などが)まだらに消えること。
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<古典文法の基礎知識>

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<和歌の基礎知識>

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<修辞法(表現技法)>

体言止め :むら消え


<私の一言>

 作者の宮内卿は、後鳥羽院の女房で当時16歳位だったそうですが、凡人では見過ごしてしまうような所に目をつけて詠んだ(実際には想像して詠んだのですが)この歌で、当時60歳位だった寂蓮法師に勝ったことによって、「若草の宮内卿」と呼ばれています。詳しくは下の<関連>を参照してください。

 その一方で、この歌を詠むにあたっての気苦労で血を吐いたので、「吐血の宮内卿」とも呼ばれたそうで、歌道熱心なあまりに早世したと言われています。

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<関連>

「増鏡」・巻1・「おどろの下」の中で、千五百番歌合の折、後鳥羽院によって抜擢された作者のこの歌は、

「草の緑の濃き薄き色にて、去年(こぞ)のふる雪の遅く疾く(とく)消えけるほどを、おしはかりたる心ばへなど、まだしからん人は、いと思ひよりがたくや」

(草の緑の濃かったり薄かったりする色で、去年の古雪が、あるところは遅く、あるところは早く、まだらに消えた程度を推測した趣向などは、未熟な人には、とても思いつきにくいだろうよ。)

と評されている。

ちなみに、この千五百番歌合で宮内卿に負けた対戦相手は、
小倉百人一首の87番で、

村雨の露もまだ干ぬ槙の葉に霧立ちのぼる秋の夕暮れ

と詠んでいる寂蓮法師(じゃくれんほうし)です。

そして、千五百番歌合で宮内卿に負けた歌は、

谷の戸を出でしも雲に入りにけり花に木づたふ野べの鶯


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