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古今集・伊勢 老いぬればさらぬ別れもありといへば 品詞分解と訳

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 今回は、「古今和歌集」と「伊勢物語 さらぬ別れ」収録和歌の現代語訳(口語訳・意味)・品詞分解・修辞法(表現技法)・語句文法解説・おすすめ書籍などについて紹介します。

◇「さらぬ別れ」第二首目(返し)「世の中にされぬ~」は、「こちらのリンク(世の中にさらぬ~)」からどうぞ。


古今集・巻17・雑歌上・900 業平朝臣母(在原業平の母)&伊勢物語 第84段 「さらぬ別れ(とみのふみ)」(第一首目)

古今集 詞書

業平朝臣の母のみこ、長岡に住み侍りける時に、業平、宮仕へすとて、時々もえまかりとぶらはず侍りければ、師走ばかりに、母のみこのもとより、とみの事とて、文をもてまうで来たり。開けてみれば、ことばはなくて、ありける歌

(業平の朝臣の母の皇女が、長岡に住んでおりました時に、業平が宮仕えするというので、時たまにも訪ねますことができずにおりましたので、十二月ごろに、母の皇女のもとから、さしせまった用事だといって、(使いの者が)手紙を持ってやって参りました。それを開けてみると手紙はなくて、書いてあった歌)

 
古今集
老いぬればさらぬ別れもありといへばいよいよ見まくほしき君かな

伊勢物語
老いぬればさらぬ別れのありといへばいよいよ見まくほしき君かな


※第二句が古今集「さらぬ別れも」→伊勢物語「さらぬ別れの」


<現代語訳>

年をとってしまうと、どうしても避けることのできない別れということもあるというから、ますます会いたく思われるあなたですよ。


<語句文法解説> 詞書

「えまかり」の「え」 :打消と呼応する副詞(陳述の副詞) ~できない。

まかり :動詞ラ行四段活用「罷る(まかる)」の連用形 ~ます。参ります。
※「まかり+動詞」の形で、かしこまりの気持ちを表現したもの。

とぶらは :動詞ハ行四段活用「とぶらふ」の未然形 (心配して)訪ねる。

とみ :名詞 急ぎ。

まうで来 :動詞カ行変格活用「まうで来」の連用形 やって参ります。

※「まかり」、「まうで来」は、古典文法の例外的な扱いで、「特殊な謙譲語(謙譲語Ⅱ) or 特殊な丁寧語」(荘重体敬語)。
作者が勅撰和歌集である古今集の読者(天皇)に、かしこまりの気持ちを表している。

「特殊な謙譲語(謙譲語Ⅱ) or 特殊な丁寧語」(荘重体敬語)については、 「音便」・「敬語」の基礎知識の記事を参照して下さい。

※ちなみに、伊勢物語「第84段」の本文、「しばしばえまうでず」の「まうで」(参上する)は、「作者」(敬意の主体)→「母」(敬意の対象)に対する謙譲語です。
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<品詞分解・語句文法解説> 歌

老い :動詞ヤ行下二段活用「老ゆ」の連用形 年をとる。

ぬれ :完了の助動詞「ぬ」の已然形

ば :順接確定条件(偶然的条件)の接続助詞 ~と。

さら :動詞ラ行四段活用「避る(さる)」の未然形 避ける。

ぬ :打消の助動詞「ず」の連体形

別れ :名詞

も/の :係助詞/格助詞

あり :動詞ラ行変格活用「あり」の終止形

と :格助詞

いへ :動詞ハ行四段活用「いふ」の已然形

ば :順接確定条件(原因理由)の接続助詞 ~ので。~から。

いよいよ :副詞 ますます。

見 :動詞マ行上一段活用「見る」の未然形

ま :意志の助動詞「む」の古い未然形

く :準体助詞or接尾語
※準体助詞は、用言の後について体言相当の意味を表す助詞
※「見まく」=「見むこと」と同じ意味。

ほしき :形容詞シク活用「欲し(ほし)」の連体形
※「まくほしき」 ~したい。

きみ :代名詞

かな :詠嘆の終助詞

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<古典文法の基礎知識>

「古文」を苦手科目から得意科目にする古典文法の基礎知識です。

◇「現代仮名遣い」のルールについては、「現代仮名遣い・発音(読み方)の基礎知識」の記事をどうぞ。

◇「用言の活用と見分け」については、「用言(動詞・形容詞・形容動詞)の活用と見分け方」の記事をどうぞ。

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◇「助動詞の活用と接続」については、「助動詞の活用と接続の覚え方」の記事をどうぞ。

◇「音便」や「敬語(敬意の方向など)」については、 「音便・敬語の基礎知識」の記事をどうぞ。


<和歌の基礎知識>

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<修辞法(表現技法)>

※句切れを含め、修辞は特にありません。


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