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古今集 思ひつつ寝ればや人の見えつらむ 品詞分解と訳

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 今回は、古今和歌集・恋歌二の巻頭を飾る、小野小町の「夢の歌三首連作」第一首目の現代語訳(口語訳・意味)・品詞分解・語句文法解説・修辞法(表現技法)・おすすめ書籍などについて紹介します。

第二首目の「うたたねに~」は、「こちらのリンク(うたたねに~)」から参照してください。

第三首目の「いとせめて~」は、「こちらのリンク(いとせめて~)」から参照してください。


古今集・巻12・恋歌2・552 小野小町 「夢の歌三首連作」の第一首目

題しらず


思ひつつ寝ればや人の見えつらむ夢と知りせば覚めざらましを

※「思つつ」ではありませんよ。歴史的仮名遣いと現代仮名遣いを正しく覚えること。


<平仮名> (歴史的仮名遣い)

おもひつつ ぬればやひとの みえつらむ ゆめとしりせば さめざらましを

※「寝れ」は「れ」。「れ」ではありませんよ(笑)

◇この歌の「現代仮名遣い・発音・読み方」(ひらがな)は下記の別サイトからどうぞ。
《⇒現代仮名遣いサイトへ行く》


<現代語訳>

恋い慕いながら寝たので、あの方が夢の中に現れたのだろうか。もし夢であると分かっていたならば、目を覚まさなかっただろうに。

(せっかく恋しい人に会えたのに、それが夢とは知らずに目を覚ましてしまったことへの悔恨の気持ちを反実仮想を用いて詠んだ歌。)


<私の一言>

「夢の歌三首連作」において、
第一首目の「思ひつつ~」では、夢の名残りを追い、
第二首目の「うたたねに~」では、夢を頼りにし、
第三首目の「いとせめて」では、何とかして恋しい人の夢を見ようとする・・・。

せつない女心ですねぇ。

古今集の恋歌は1~5まであって、ほぼ恋の進行順(恋の初めから終わりまで)に配列されていますが、小野小町の歌では、ここで紹介した「夢の歌三首連作」を含め13首が恋歌に撰集されています(古今集全体では17首)。

その主な歌は、他の記事で紹介した、恋歌5の「色見えで~」、夢の中でさえも会えなくなった嘆きを詠んだ恋歌3・636~638までのもう一つの「夢の歌三首連作」など。
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<品詞分解・語句文法解説>

思ひ :動詞ハ行四段活用「思ふ」の連用形

つつ :接続助詞 ~ながら。

寝れ(ぬれ) :動詞ナ行下二段活用「寝(ぬ)」の已然形

ば :順接確定条件(原因理由)の接続助詞 ~ので。

や :疑問の係助詞 ~か。

人 :名詞

の :主格の格助詞 ~が。

見え :動詞ヤ行下二段活用「見ゆ」の連用形 現れる。

つ :強意の助動詞「つ」の終止形
※完了の助動詞「つ」or「ぬ」+推量の助動詞(「む」「べし」「らむ」など)=完了→強意(確述)を表す。

らむ :現在の原因推量の助動詞「らむ」の連体形 
「つらむ」 :きっと~ているだろう。~たのだろう。

夢 :名詞

と :格助詞

知り :動詞ラ行四段活用「知る」の連用形

せ :過去の助動詞「き」の未然形
※一部に、サ変「す」の未然形とする説もある。

ば :順接仮定条件の接続助詞

覚め(さめ) :動詞マ行下二段活用「覚む(さむ)」の未然形

ざら :打消の助動詞「ず」の未然形

まし :反実仮想の助動詞「まし」の連体形
※「せば~まし」 :反実仮想の構文。 (もし)~だったら~だろうに。

を :接続助詞 ~のに。 ※詠嘆の間投助詞(~のになあ。)とする説もある。

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<文法特記>

反実仮想の構文。 (もし)~だったら~だろうに。
「せば~まし」、「ませば~まし」、「ましかば~まし」、「仮定(未然形+ば)~まし」の4つがある。

「反実仮想」=事実とは反対のことを仮定して想像する。

この歌の「事実」は、「夢であることを知らなかったから、目を覚ましてしまって恋しい人が消えてしまい残念だ。」

この歌の他で、「せば~まし」構文の代表的な和歌としては、「世の中に絶えて桜の~」

※「らむ」、強意の助動詞、接続助詞「ば」などについては、下にリンクを付けてある「古典文法の必須知識」を読んでね。


<古典文法の基礎知識>

「古文」を苦手科目から得意科目にする古典文法の基礎知識です。

◇「現代仮名遣い」のルールについては、「現代仮名遣い・発音(読み方)の基礎知識」の記事をどうぞ。

◇「用言の活用と見分け」については、「用言(動詞・形容詞・形容動詞)の活用と見分け方」の記事をどうぞ。

◇「助動詞・助詞の意味」や「係り結び」・「準体法」などについては、「古典文法の必須知識」 の記事をどうぞ。

◇「助動詞の活用と接続」については、「助動詞の活用と接続の覚え方」の記事をどうぞ。

◇「音便」や「敬語(敬意の方向など)」については、 「音便・敬語の基礎知識」の記事をどうぞ。


<作者>

小野小町(おののこまち)
生没年不詳。平安前期の歌人。六歌仙、三十六歌仙の一人。出羽の国(今の秋田県・山形県)の出身で、宮中で天皇の食事の世話などに携わった女官である采女(うねめ)だという説があり、采女は地方の豪族の子女で容姿の美しいものが選ばれたこともあり、絶世の美女として伝説化されているが、美女のわりには落魄な(落ちぶれた)伝説が多い。

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<和歌の基礎知識>

◎和歌の文法、用語、和歌集、歌風などについては、「和歌の文法・用語の基礎知識」をどうぞ。

◎和歌の修辞法(表現技法)については、「和歌の修辞法(表現技法)の基礎知識」をどうぞ。


<修辞法(表現技法)・係り結び>

・句切れ :三句切れ

・係り結び :「や」→「らむ」

◇「切れ」を「切れ」と誤字で覚えている人たちがいますよ。正しく覚えましょうね。

◇「思ひつつ~」が小倉百人一首に撰集されていると思っている人たちもいるようです。小野小町の歌で小倉百人一首に撰集されているのは、9番「花の色は~」ですよ。

※「句切れ」が分からない人は、上にリンクをつけてある「修辞法の基礎知識」を、「係り結び」が分からない人は、「文法・用語の基礎知識」を読んでね。


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<古文や和歌の学習書と古語辞典>

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Re: ↑の方へ

あら大変!
ごめんなさい。誤字です。
教えてくれてありがとう。
また来てね^_^

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